保証協会の保証料への川崎市の補助金 ①計上は前受金a/c?

問題の所在

以下の事例:

・川崎市からの川崎信用金庫から、1,500万円の借入を実行し、返済期間が84回(7年間)。

・保証料は額面は 664,125円だが、川崎市の「SDGs・脱炭素化取組支援融資」の補助を活用し、結果、70%補助(=431、392円)をget。(自己負担分は30%=232,733円)。

・なお、上の補助は、借入実行時に補助金額分をネット後の、自己負担分のみキャッシュアウトする。

・なお、当社の会計実務は、(いわゆる税務会計ではなく)なるべく厳密さを求める方針である。

保証料分は、長期前払費用a/cで計上し、借入期間に渡って償却するのはOKとして、

上の補助分を、

1)一時の益金とする、

2)借入期間に渡って取崩する、

のいずれを選択するかが問題となる。

 

結論

・上の、「 2)借入期間に渡って取崩す 」を採用。

・なお、BS科目は、以下の補足で検討した通りで、前受金a/c。

・計上のタイミングは、会社で計算しない(=税理士が計算する)ため、計算は月割ベースでするが仕訳のタイミングは決算整理で。

★なお、「会社側で、月次で計上する」場合に起こりがちなリスクとしては、
「基本的に自社の計算金額に基づき計上する(=唯一の金額ではない)ため、端数等の処理も自由なため、仮に会社が間違えていても、税理士側では「きっと誤差なのだろう」とスルーして、ポテンヒット的に決算金額を間違えるリスク」
がある。

(勘定奉行クラスの会計ソフトであれば、リース償却計上画面のような毎月に計上する分設定機能があるので、最初にその画面の設定を確認すれば済むが、弥生会計クラスではそんな機能はない)

もし、会社側で毎月、計上したい希望があれば、上のリスクを低減するためには、「答えを用意しておく」。つまり、
毎月の計上予定額と期末残高をエクセルで表に固めておき、その決まった金額で毎月計上する、という運用がベター。

 

理由

当該会社は、適正な期間損益計算を志向しているため。

 

補足

・上場会社を前提にしたルールは以下:

会計制度委員会研究報告第18号「補助金等の会計処理及び開示に関する研究報告」及び「公開草案に対するコメントの概要及び対応」の公表について

https://jicpa.or.jp/specialized_field/20250626ibr.html

(以下、冒頭の趣旨説明の一部を抜粋)

本研究報告は、昨今の激しい経済環境の変化に合わせて、様々な補助金及び助成金が国又は地方公共団体(これらに準ずるものを含む。)から交付される事例が数多く見られているものの、我が国には、現時点においては補助金等に関する会計基準は存在しておらず、補助金等に係る会計処理及び開示について、様々な実務が行われていることが想定されることを踏まえ、補助金等に関する会計処理及び開示(圧縮記帳に関する会計処理及び表示を含む。)について、国際的な会計基準における取扱いを参考にしつつ、実務上の課題等を整理し、主に収益認識の時期、総額表示・純額表示及び表示区分等について、現時点における考えを取りまとめたものです。

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研究報告とは、理論的な説明であり、直ちに適用しなくても罰則等はない。なお中身は、かの黒澤清や企業会計原則まで遡るような、学者のような議論 (*^^*)。

以下に、ちょっとだけ引用すると、

1)概要(以下、研究報告の一部抜粋)

このような経緯があるものの、補助金収入については、前述のとおり、過
去の検討の結果、実務上のニーズがないものとして、繰延収益アプローチの
導入は純資産会計基準以前に見送られていたことから、現状の制度会計では、
繰延収益として負債として処理することは認められないものと考えられる。
近年では、資産に関する補助金交付の要件として、例えば、従業員の新規
雇用と雇用の継続、一定割合の賃上げや操業の維持など、補助金等の交付後
も一定期間にわたる付帯条件の遵守が要求される取引や付帯条件自体が増
加している。付帯条件を満たすことができなくなった場合、補助金等を全部
又は一部返還する義務が生じるため、企業会計基準委員会における過去の検
討経緯を踏まえると、将来、収益に計上される可能性よりも外部に返還され
る可能性を重視して、補助金収入の全部又は一部の金額について仮受金等と
して負債に計上するアプローチも考えられる。当該仮受金アプローチについ
ては、返還の可能性がある場合、現行の制度会計上は必ずしも否定されない
会計処理であると考えられる。

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入口で、収益に関する補助金と、資産に関する補助金(圧縮記帳を除く)とを区別し、

前者はコロナ禍補助金のようなものは都度収益認識であり、後者は(繰延収益ではなく)いったん全額を負債計上だそう (^o^)

★前者については以下の記事も:

新型コロナ対応借入金に対する、利子補給、保証料補助は、繰延収益処理なの?

2)科目

上の引用中、仮受金等 と規定されているのは、「上場会社の会計実務では、前受金は期間按分の対象には使わないため、次善の科目」として紹介したものと推察する。

この点に関し、中小企業の申告実務では、仮払金a/cや仮受金a/cは使わないことが推奨されるため、直感的には、前受金a/cでいいと考える。