(補助科目をつかわず)会計ソフト上の科目を徹底的に細分化することのメリット・デメリットは?
問題の所在
帳簿上、科目を細分化することにより、法人税等の申告書及び添付資料で必要となるメッシュの金額を試算表上の科目の残高でダイレクトにわかるのがメリットである。
しかし、細分化すると一見、マズイものもある。例えば、金融機関に月次試算表を提供するケースでは、
- 給与(親族)a/cと、給与(親族以外)a/cとに分けると、文字通りその内訳がバレてしまう。
- 交際費(課税)a/cと、交際費(非課税)a/cとに分けると、文字通りその内訳がバレてしまう。
- 地代家賃(A社)a/c、地代家賃(B社)と、口数がわかってしまう。
- 借上社宅があることが試算表から推定可能である(もっともそこまでわかる金融機関の方は稀であろうが)
従来のお客様へ、科目の細分化の提案(お願い)をする際、気を使うあまり、
「期中に銀行に提出する際には、従来のように、科目を統合するように、戻します。前月末日と当月末日で、残高の振替仕訳を計上して試算表を作成し、翌月初に振り戻し仕訳を起票すればOKです」
と言ってやってみると、例えば「令和元年のように消費税率が期中で変更」の場合には、残高で合計仕訳を起票すると、税抜処理をする場合には、消費税が合わなくなってしまう。(この場合なら、税込で試算表を作成すればすむが、、、、)
結論
あくまで、科目細分化を推進する。
「金融機関にだすときには修正します」なんて、自分から言わない。
理由
以下の理由で、あくまで、科目の細分化を推進する。
- 税理士事務所側で工数が削減できることが明らかである以上、躊躇してはいけない。
- 消費税については、実は、試算表を税込で作成した方が、売上高も売上総利益も明らかに増える(ただし営業利益はほとんど変わらない)。決算で税抜処理としても、期中に税込処理をすることは全く問題がない。
- 上に列挙した、心配事は、結局、決算書の勘定科目内訳明細書で明白になる。早いか遅いかだけの話である。
- 「社宅問題」については、そもそも、東京都以外であれば、借上社宅の家賃補助で給与認定されるリスクは小さい。
- なんといっても、税理士側では、決算での消費税のchで「科目別税区分表」を愛用(!)しているところ、これは科目単位でしか集計できないため。
補足
ただし、上の理由は、税理士側の理屈である。
お客様の側では、こちらの想定しない事情があったりするので、やんわり聞いて、どうしてもダメであれば、無理に細分化を推進しない。
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