法人の役員は、健康保険の傷病手当金の支給申請をすることは可能?
問題の所在
以下の2つの事例:
<事例1>
・工務店の社長様が、ガンになり、2/12-2/16の間のみ入院。
・当社の役員報酬は毎月80万円。当月末締めで翌月20日に支払い。
・当社では、上の入金期間に関係なく、役員報酬は同額を支払い済。
<事例2>
・工務店の法人成りの社長様が、5/12に、現場で大けがをされ、それ以降入院。
・当社の役員報酬は毎月30万円。当月末締めで翌月20日に支払い。
・当社では、5/12以降分の役員報酬は以下の記事中の対応済。
↓
・いわゆる経営者労災には未加入。当該現場の元請けが労災を申請したが認められなかったが、別途加入していた民間の保険が好運にも適用される旨。
・他方、社会保険のうち健康保険の傷病手当金の制度がある。親族が病院から説明を受け、協会けんぽへtelしたところ、(個人事業主や一人親方は不可だが)株式会社の社長様なら役員報酬を支払っていないなら可能」の旨の説明を受けた。
↓
「健康保険 傷病手当金 支給申請書」のp3に、
結論
<事例1>
傷病手当金は、本来、申請できない。
<事例2>
傷病手当金は、申請可能。
理由
入院等した期間に対応する役員報酬を、減額しているか否か。
以下の記事が参考になる:
☆法人の役員は傷病手当金をもらえるか?
(以下、一部抜粋)
法人の役員も傷病手当金をもらえます。
ただし、条件が一つ加わります。
- 法人の役員(社長、専務、常務等)につきましても、健康保険の被保険者であることから、一般の従業員さんと同様に傷病手当金をもらう権利が発生します。
- しかし、役員さんの場合には、労働法上は労働者ではありませんので、給料ではなく、役員報酬が支払われています。役員報酬の額は通常は変動しません。
- 全国健康保険協会の場合は、添付書類は不要です。
- 健康保険組合の場合は、その組合により対応が異なります。
- 「役員の場合も一般従業員の例にならい、出社しなかった場合には役員報酬の一部を減額、又は全額を不支給とする」のような内容を株主総会の議事録に記し、その議事録(コピーでOK)を健康保険組合に提出すればOKという健康保険組合が多いと思います。しかし、詳細については御自分の加入している健康保険組合に御確認ください。
- 役員の場合の傷病手当金の受給要件
- 「労務不能」であること。=一般従業員
- 3日間の待期期間を経過すること。=一般従業員
- 傷病手当金を受給開始した日から起算して、1年6か月が経過していないこと。=一般従業員
- 退職日が「労務不能」であること(退職後の傷病手当金の場合)。=一般従業員
- 退職日まで継続して1年以上の一般被保険者期間が有ること(退職後の傷病手当金の場合)。=一般従業員
- 退職日の前日までに連続3日以上の「労務不能」期間が有ること(退職後の傷病手当金の場合)=一般従業員
- 退職日が「労務不能」であること(退職後の傷病手当金の場合)。=一般従業員
- 退職日以前4日以上前に、傷病手当金に係る傷病についての初診日が有ること(退職後の傷病手当金の場合)。=一般従業員
従業員5人未満の法人役員は業務上傷病でも傷病手当金申請可能
- 平成25年10月1日以降に発生した業務上の疾病・負傷については、健康保険被保険者5人以下(代表取締役も含めて)の法人役員の場合で労災保険の給付が受けられない場合には、傷病手当金も含めて健康保険を使ってOKとなりました。
- 業務上傷病の場合でも、病院で健康保険の保険証を使ってもOK
- 業務上傷病の場合でも、健康保険協会や健康保険組合へ傷病手当金の申請手続きをしてもOK
- 健康保険被保険者5人以下(代表取締役を含めて)の法人役員が労災保険の給付を受けられないケースは以下の通りです。
- 労災保険の特別加入者となっていないこと。
- 労災保険の特別加入者となってはいるが、傷病と業務との関連性が認められないこと=業務起因性・業務遂行性が認められないこと
- 業務との関連性が認められないということは、健康保険でカバーする範囲ということになります。当然ですが。
平成25年10月1日施行の改正ポイント
① 労災保険の給付が受けられない場合には、健康保険の対象とすること。(第1条)
② 役員の業務上の疾病・負傷については、小規模な法人の代表者等の場合には傷病手当金も含めて健康保険の給付対象とすること。(第53条の2)
※この改正内容については、平成25年10月1日以降に発生した事故に起因する業務上の事由による傷病等について適用されること。(附則 第1条)
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補足
なお、AIの回答は以下:
- 健康保険の被保険者であれば受給資格あり:社長や役員も健康保険の被保険者であれば、一般の従業員と同様に、病気やケガで働けない場合に傷病手当金を受給する権利があります。
- 役員報酬と傷病手当金:
- 役員報酬が支払われている場合、傷病手当金は支給されません。
- 役員報酬が支払われない、または減額された場合に、傷病手当金の支給対象となります。
- 役員報酬の減額は、取締役会などで決定し、議事録に記載する必要があります。
- 役員報酬が支払われている場合、傷病手当金は支給されません。
- 傷病手当金の支給条件:
- 病気やケガで療養のために休業していること。
- 連続3日間休業し、4日目以降も休業が続いていること。
- 休業期間中に給与が支払われていないこと、または一部支給されている場合は、その差額分が支給される。
- 労務不能であることの医師の証明が必要。
- 病気やケガで療養のために休業していること。
- その他:
- 傷病手当金の受給期間は、原則として1年6ヶ月です。
- 傷病手当金は非課税のため、申告の必要はありません。
- 傷病手当金の受給期間は、原則として1年6ヶ月です。
- 傷病手当金を受給するためには、上記以外にも細かい条件があります。
- 会社の状況や役員の状況によって、受給できる場合とできない場合があります。
- 不明な点は、加入している健康保険組合や社会保険労務士に相談することをおすすめします。
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