F様用)【2025/6/21追記】法人成りの会社で、社長様が大けがをされて長期入院する場合の、諸手続きは?

問題の所在

以下の事例:

・工務店経営の社長様が、元請け先の現場で大けがをされて、長期入院の見込み。

・法人成りのため、従業員は、別途本業のある妻。なお業績を見て雑給の支払いを止めている。

その際に一連の手続きを棚卸した際の備忘メモ。

 

結論

以下の通り:

 

1.労災の申請

(・不幸にも、経営者労災に加入していなかったため、ご退院後には加入予定。)

・今回分は、元請けの労災を申請していただく。

 

2.役員報酬の減額

・まず、今回の事例が、役員報酬の減額の要因に該当するか否かが問題となる:

いわゆる一人会社(法人成り)で、業績が悪化したという理由だけで、役員報酬は減額しても損金算入可になるの?

(以下、一部抜粋)

一方、同族会社のように株主が少数の者で占められ、かつ、役員の一部の者が株主である場合や株主と役員が親族関係にあるような会社についても、上記①に該当するケースがないわけではありませんが、そのような場合には、役員給与の額を減額せざるを得ない客観的かつ特別の事情を具体的に説明できるようにしておく必要があることに留意してください。

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今回の事例は、「減額せざるを得ない客観的かつ特別の事情」に十分に該当すると判断する。

該当する場合の、具体的な手続は以下の記事:

役員報酬の定期同額給与を減額しうる「業績悪化改定事由」に係る手続は?

(以下、一部抜粋)

  • 「業績悪化改定事由」を適用する場合、対税務署への特段の届の類を作成・提出する必要はない!
  • 作成すべきは、社内の臨時株主総会議事録であり、まさに「業績悪化改定事由」のため役員報酬を減額する決議を書面化して、(どこにも提出せずに)保存しておく
  • (もちろん、確定申告の際に、(税務権限代理証書ではなく)税理士法33条の1に基づく書面添付書類を作成し、その中で説明し、資料で上の臨時株主総会議事録を同封する、、、、のは、かえってやぶ蛇リスクがある気もしつつ、、、)

 

3.社会保険の減額

  • 変更届を該当する年金事務センターに提出する
  • ★なお、即減額は不可。ルーチンの「変更後の3か月平均が、2等級以上の上下」の枠内どまり。以下の記事参照:

4-3:随時改定に該当するとき(報酬額に大幅な変動があったとき)

https://www.nenkin.go.jp/shinsei/kounen/tekiyo/hoshu/20141224.html

健康保険・厚生年金保険 被保険者報酬月額変更届 厚生年金保険 70 歳以上被用者月額変更届

https://www.nenkin.go.jp/shinsei/kounen/tekiyo/hoshu/20141224.files/0000027814D67YcB0BxR.pdf

(以下、一部抜粋)

【標準報酬月額改定の要件】 下記 1 ~ 3 すべての要件を満たした場合、変更後の報酬を初めて受けた月から起算して 4 カ月目の標準報酬月額から改定されます。(例: 4 月に支払われる給与に変動があった場合、7 月)

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今回は、令和7年6月支給分から、月30万円からゼロ円へ減額予定であるが、変更届の申請は、6,7,8月経過後の、令和7年9月になる予定。

 

【2025/6/21追記】4.社会保険の健康保険の傷病手当金の支給申請(not 狭義の給付 but 所得補償)

なお、社会保険に関し、「保険としての給付」は不可能。なぜならば、給付は、

1)業務中 → 労災保険

2)業務外(病気等)→ 社会保険

と、きれいに二分されているところ。今回は本来1)の方のため。

ただし、所得補償の意味での給付はあり得る。

★たとえば、「ガンで手術して6/3-6/17の2週間入院した。6月の役員報酬30万円を7/20の支給日に満額受領した」はダメ。

 

理由

特記事項なし

 

補足

特記事項なし