M社様用)DC(確定拠出年金)の掛金が返金されたときの仕訳の貸方の科目が保険運用益a/cな理由は?
問題の所在
以下の事例:
・上場会社で、退職給付会計を適用。
・入社3年未満の退職者がいた場合、確定拠出企業年金(DC)の掛金が会社に戻ってくる。
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以下の記事では、貸方科目は、退職給付費用a/cとされている。
入社1年未満の退職者の確定拠出年金掛け金が会社へ返金された場合の経理処理
https://www.zeiri4.com/c_1032/c_1033/q_4910/
(以下、一部抜粋)
入社○年たたなければ、確定拠出年金は、個人ではなく、会社に戻る、というルールで運用されているということでよろしいでしょうか。
その場合、拠出時に、退職給付費用/普通預金、などと仕訳されていた費用が、戻ってきたと考えられますので、費用のマイナス処理、普通預金/退職給付費用、と仕訳するのがよろしいかと存じます。
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しかし、当社では、(借)普通預金 10 (貸)保険運用益 10、の仕訳をしている。なぜ?
結論と理由
当社は予算を守る風土が強いのであるが、DC分の退職給付費用は予算で部門別配賦計上されている。そしてDCの返金分は、当該部門の努力の成果ではないので部門別計算に取り込みたくない、外したいので、営業外収益で受入れるため。
補足
有報の退職給付関係の開示上、「確定拠出制度への要拠出額」の注記が求められる。
ここで、「支給額」と言わず、「要支給額」と言っている。
「支給額」は、実際支給額、実際負担額の意味であろうから、返金があればマイナスするであろう。
他方、「要拠出額」は、返金分はマイナスしないであろう。
例えば、「今は令和6年で、入社3年未満、入社2年目の途中での退職者Aがいて、令和6年度の会社のDCの支払いが100、Aが入社1年目(=令和5年度)に拠出した分の10が返金された」としたら、令和6年のDCの要拠出額は100であろう。
これを仕訳から集計しようとするならば、引当金繰入分としての退職給付費用の計上済金額が500とすると、
1)上の10を、退職給付費用a/cマイナスで計上した場合
退職給付費用a/cの残高は500+100▲10=490であるが、総勘定元帳の勘定分析でDCの要拠出分は100と抽出することになる。
2)上の10を、保険運用益a/cで計上する場合
退職給付費用a/cの総勘定元帳の勘定分析で、残高は500+100=600で、うち500は退職給付債務分、うち100はDCの要拠出分だと抽出はしやすい。
の2通りが考えられる。
2)の方がベターである気がするが、1)でも運用できないことはない。
だから、1)と2)の違いが、当社で保険運用益a/cを使用している積極的な理由ではなく、むしろ管理会計的な理由の方が強いと考える。
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なお、DCと退職給付会計上の扱いは以下の記事参照:
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