退職給付会計上、DC確定拠出年金制度に伴う拠出金の支払額・未払金計上額はどう扱う?

問題の所在

顧問先様(上場会社のグループ会社))の事例。

DC確定拠出金は、企業にとって確定債務なため、退職給付会計で退職給付引当金a/cに計上する対象ではない、対象外である。

そうすると期中の支払時ごとに、(借)◯◯(費用科目)10 (貸)普通預金a/c 10、という仕訳になると思うが、◯◯はどの科目か?

これに関し、退職給付費用a/cは、

・退職給付引当金a/cとセットで使う気がするし、

・当社はPBOの数理計算結果の取り込みに合理的に転がし計算を行わないので、退職給付費用a/cの金額は期首に確定するのであるが、DC確定拠出の支払いごとに期中変動してしまう、

が、、、、

 

結論

1.科目について

・その、退職給付費用a/c

・なお、期末未払金も、退職給付引当金a/cで計上する。

2.企業型DC確定拠出年金制度の拠出金の期末未払分の法人税上の扱い

・会計上は未払金a/cで計上することが求められているが、、、、損金不算入。

 

理由

1.科目について

・◯◯は、よく考えると、これしかない。

・確かに、DC確定拠出年金の支払いで、退職給付費用a/cは期中に増加するが、それは仕方がない (^^)。だから退職給付費用a/cの予算金額は、①(期首時点で確定済の)退職給付費用a/cの年額、と、②DC確定拠出費用、の2つの合算金額。

・以下の記事が的確である:

Q33.確定拠出年金(DC)の会計処理について知りたい

https://www.tr.mufg.jp/houjin/jutaku/pdf/taishoku_q.pdf

(以下、一部抜粋)

<回答>
退職給付に関する会計基準第 31 項で、「確定拠出年金については、当該制度に基づく要拠出額をもって費用処理する。また、当該制度に基づく要拠出額をもって費用処理するため、未拠出の額は未払金として計上する」とあります。

当初の退職給付会計基準は、確定給付型の制度の会計処理を取り扱うものと位置づけられていましたが、2012 年の改正時に上記の第 31 項が追加され、確定拠出年金が退職給付会計に包含されることとなりました。

とはいえ、会計処理の方法が変わったわけではありません。上記の通り、会計処理方法が明示されたことに加え、確定拠出年金の要拠出額の開示が求められるようになったことが変更点です。

要拠出額は、会計期間中に支払うべき掛金という意味です。確定拠出年金の掛金は当月分について翌月に拠出されるため、会計期間末には未拠出分が残ります。第 31 項の「また」以下で示されているように、この未拠出額は費用として処理したうえで、貸借対照表に未払金として計上します。

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2.企業型DC確定拠出年金制度の拠出金の期末未払分の法人税上の扱い

ググってみると意外とヒットしないが、かろうじて以下の記事が参考になる:

確定給付企業年金(DB)と企業型確定拠出年金(企業型DC)の掛金拠出時と給付金受給時の税務

確定給付企業年金(DB)と企業型確定拠出年金(企業型DC)の掛金拠出時と給付金受給時の税務

(以下、一部抜粋)

掛金拠出時の税務

事業主である法人が支出した次に掲げる掛金の額は、事業主の法人税の課税所得の計算上、損金の額に算入されます。

(1) 確定給付企業年金法第3条第1項に規定する確定給付企業年金に係る規約に基づいて支出した掛金
(2) 確定拠出年金法に規定する企業型年金規約に基づいて企業型年金加入者のために支出した事業主掛金

掛金の額は実際に支出をした日の属する事業年度の損金に算入され、未払部分については、例え、その未払部分に係る期間を経過していても損金の額に算入することはできません(法令135、法基通9-3-1)。

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補足

上の記事の、従業員についての記事も参考になる。