K様用)【2024/11/28時点】住宅ローン控除の適用開始を、令和6年度と令和7年度のいずれから開始した方がベターか?

問題の所在

お客様から、「住宅ローン控除の適用開始を令和6年度と令和7年度のいずれから開始した方がいいか?」と質問を受けた。その時、調べたことの備忘メモ。

なお、具体的な情報は以下の通り:

・ご夫婦で、マイホームを購入。

・一戸建て

・金融機関(具体的名称不明)から住宅ローンを6,500万円

・債務者は 夫が100%

・完成と入居は、2024/12/25

・頭金の有無と金額 不明

・住宅の認定住宅の有無 不明

・中古か新築か 不明

・夫の源泉所得税の見込み額 不明

急いで付言しますが、住宅ローン控除の制度は大変複雑であり、正確な結論を得ようとすると、もう、税理士側でゼロから作成する手間をかけないと難しいですし、事前に正確な比較計算も難しいです。

また、この12月から来年の3月にかけて令和7年度の税制改正が国会審議を経て確定していきますので、令和7年度の見込みが変更される可能性があります。

ですので、以下に視点を絞ってコメントします。

 

結論

主な視点として以下の3点:

論点1 通常の、ローン残高の点から

・控除税額の計算の構造から、ローン残高が多い方が控除税額は多い

∴ この点からは、令和6年度に申告開始した方が有利。

 

論点2 通常の、居住開始日が操作できない場合

・実際の居住開始日が令和6年12月25日だとして、某D和ハウスのように居住開始証明書を出す会社だと、居住開始日は令和6年度中でもう確定。

・その場合に敢えて令和7年度から住宅ローン控除申請をしてしまうと、マイナス1年カウントになる:

住宅ローン控除の適用で、居住開始が令和6年12月の場合でも敢えて令和7年度に申告すると、そこから適用は12年間になってしまうの?

(・ただ、そのような証明書がないなら、住人が引越し後に住民票の届を、令和7年1月以降に出してバレないようなら、まあ令和7年度から居住開始と主張する余地はあるのかもしれないが。。。。)

 

論点3 税制上)借入残高の上限の点から

・たとえば、「認定長期優良住宅、認定低炭素住宅」の場合、

令和6年度であれば借入残高の上限は、子育て世帯・若者夫婦世帯は 5,000万円/他世帯は 4,500万円

令和7年度であれば借入残高の上限は、一律に 4,500万円

∴ 子育て世帯・若者夫婦世帯であれば、令和6年度に申告開始した方が 5,000万円-4,500万円=500万円だけ上限を確保できる点で有利。

【2024/11/30時点】令和7年度の扱いについて、上の見込みから最新ニュースで変更が伝えられた:

https://topics.smt.docomo.ne.jp/article/yomiuri/politics/20241130-567-OYT1T50099?fm=topics&fm_topics_id=f780b9e4e3902dbf60384964e1f913c2

(以下、一部抜粋)

借入限度額は24年の入居分から縮小されることになっていたが、24年度税制改正で、夫婦のどちらかが40歳未満か18歳以下の子供がいる世帯については、優遇措置として従来の限度額を1年維持することが決まった。25年度改正でさらに1年延長される見通しだ。

政府・与党は、住宅リフォームに関する子育て・若年世帯向けの優遇措置についても24年末までの期限を延長する方針だ。手すりや対面キッチンの設置工事などが対象で、工事額250万円を上限に、所得税から最大25万円を差し引く。

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論点4 本人の住宅ローン控除前の所得税額の点から

・本人の所得税額が多くない場合、住宅ローン控除の全額を引けないが、その場合でも、翌年の住民税翌年度の個人住民税において住宅ローン控除が適用されます。

・それでも控除未済分があったら、それは切り捨てになります。

∴ 所得税が多額が出ない場合、住宅ローン控除の全額を使えない点で、令和6年度でも令和7年度でもトータル13年間の控除税額が大差ない可能性がある。

 

理由

上の結論の論点1,2,3の順に以下の通り:

論点1 通常の、ローン残高の点から

→ 以下の記事が参考になる:

知っておきたい!住宅ローン控除の期間と注意したいポイント

https://madoguchi.iyell.jp/loan/after/koujyo/koujo-kikanpoint-sumi1/#:~:text=%E4%BD%8F%E5%AE%85%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%B3%E6%8E%A7%E9%99%A4%E3%82%92%E5%8F%97%E3%81%91%E3%82%8B%E3%81%9F%E3%82%81%E3%81%AB%E3%81%AF,%E6%89%8B%E7%B6%9A%E3%81%8D%E3%81%A8%E3%81%84%E3%81%86%E3%81%93%E3%81%A8%E3%81%A7%E3%81%99%E3%81%AD%E3%80%82&text=%E3%81%93%E3%81%AE%E7%A2%BA%E5%AE%9A%E7%94%B3%E5%91%8A%E3%81%AE%E9%9A%9B,%E3%81%AE%E8%A8%BC%E6%98%8E%E3%81%AB%E3%81%AA%E3%82%8A%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82

(以下、一部抜粋)

1月と12月に入居しても控除される金額は影響がないのか?

住宅ローン博士:窪田
ところで、12月と1月のどちらに新しい家に引っ越しをしたいですか?

30代男性
そうですね、新規一転で1月に引っ越しをしたいです。

住宅ローン博士:窪田
それもいいですね。
しかし、住宅ローン控除のことを考えると12月に引っ越しをすることをおすすめします。なぜなら、12月または1月のどちらに入居するかによって、住宅ローンの控除金額が変わってくるからです

30代男性
そんな!どんな風に影響があるのですか?

住宅ローン博士:窪田
これには、住宅ローンの控除額の算出方法が関係してきます。住宅ローン控除額は『年末の住宅ローンの残高×1%』という計算方法で算出します。ということは、年末残高が多くあった方が、控除される金額も多くなりますよね?

30代男性
確かにそうですね。ということは、12月に入居を開始した場合は、返済をまだ開始していないため、借入金の全額が控除額の対象。しかし、1月に入居を開始した場合は、一年間返済した後の年末残高が対象となるため、控除額は低くなってしまう、ということですね。

住宅ローン博士:窪田
その通りです。つまり1月に入居するよりも、12月に入居した方が、住宅ローン控除は多くもらえます。

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論点2 通常の、居住開始日が操作できない場合

特記事項なし

論点3 税制上、借入残高の上限の点から

以下の記事が参考になる:

入居時期で変わる「住宅ローン控除」

https://www.homes.co.jp/cont/money/money_00029/

(以下、一部抜粋)

控除の対象となる年末のローン残高の上限額は、2021年以前は長期優良住宅とそれ以外の住宅の2段階でしたが、2022年以降は4段階に分類され、入居年によっても異なります。また、2024年度の税制改正でも一部要件が変更されています。

2024年4月現在における、新築・買取再販住宅と中古住宅の借入残高の上限額は以下のとおりです。

 

【新築住宅・買取再販住宅の場合】

住宅の環境性能借入残高の上限額
2022年〜

2023年入居

2024年

入居

2025年

入居

認定長期優良住宅

認定低炭素住宅

5,000万円子育て世帯・若者夫婦世帯は5,000万円

他世帯は4,500万円

4,500万円
ZEH水準省エネ住宅4,500万円子育て世帯・若者夫婦世帯は4,500万円

他世帯は3,500万円

3,500万円
省エネ基準適合住宅4,000万円子育て世帯・若者夫婦世帯は4,000万円

他世帯は3,000万円

3,000万円
省エネ基準に適合しない「その他の住宅」3,000万円0円(2023年末までに建築確認を受けた場合は2,000万円。控除期間は10年に短縮)

※子育て世帯とは、19歳未満の子を有する世帯。若者夫婦世帯とは、夫婦のいずれかが40歳未満の世帯

2024年以降の住宅ローン控除における注意点は、省エネ基準に適合しない新築・買取再販住宅は原則として控除の対象外となる点です。ただし、2023年末までに建築確認を受けた場合は適用され、2024年6月までに竣工した場合も特例の適用によって控除対象となる場合があります。

また、2024年の税制改正により、新築・買取再販住宅に子育て世帯・若者夫婦世帯が2024年に入居する場合は、2022年〜2023年入居時の借入残高上限額が維持されることとなりました(2025年も同様の方向で検討)。

 

【中古住宅の場合】

住宅の環境性能借入残高の上限額
2022〜2023年

入居

2024年

入居

2025年

入居

認定長期優良住宅

認定低炭素住宅

ZEH水準省エネ住宅省エネ基準適合住宅

3,000万円
省エネ基準に適合しない「その他の住宅」2,000万円

中古住宅は新築と比べて借入限度額は少なくなりますが、入居年による違いはなく、省エネ基準適合住宅か非適合住宅かによって変わる仕組みとなっています。

 

控除額は年末のローン残高によって計算されるので、仮に初年度の年末残高が3,000万円だった場合の控除額は3,000万円×0.7%で21万円となりますが、翌年の年末残高が2,800万円に減っていれば、2,800万円×0.7%で19.6万円となります。

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論点4 本人の住宅ローン控除前の所得税額の点から

上の論点2のところで引用した記事の後段が参考になる。

なお文中で「損ということはありません」とあるが、控除未済分が残ったら、切り捨ての意味で損になると考える。

(以下、一部抜粋)

なお、この制度は税額控除なので、払った所得税以上に税金が戻ることはありません。たとえば年間の源泉徴収額(所得税)が15万円だった場合で、住宅ローンの控除額が20万円だとしても、戻ってくる税金は15万円が上限ということです。ただし、控除しきれなかった残りの税額は翌年の住民税から差し引かれる(最大で9万7,500円)ので、損ということはありません。

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補足

一般のサラリーマンの場合には、住宅ローン控除の未済が生じることが多い。