控除限度額を超えた寄付を行った場合の自己負担増加額の計算ルールについて解説していきます。自分自身の自己負担金額を計算してみましょう。
多くの方が誤解しているのですが、控除限度額を超えた寄付を行った場合、オーバーした分全額が自己負担となるわけではありません。オーバーした分はふるさと納税の特例範囲外にはなりますが、国が認めた「寄附金控除」は問題なく適用されます。寄附金控除は、ふるさと納税だけでなく、公益社団法人や公益財団法人などへの寄付金も合わせて対象となるものです。
そのため、たとえば控除限度額5万円の人が、6万円ふるさと納税を行った場合、自己負担金額は通常2000円+超えた分1万円=1万2000円よりも少なくなります。
これは、ワンストップ特例制度または確定申告で、オーバーした分も含めて全額を申請した場合に受けられますので、「限度額を超えたとしても、ふるさと納税をおこなった金額をオーバー分も含めてしっかりと申請する」ことが大切です。
控除限度額の範囲内で寄付を行う場合は、確定申告を行っても、ワンストップ特例制度を利用しても、同じだけ税金の控除または還付が行われますが、実は超過分については確定申告の場合のほうが、自己負担金額が少なくなります。
これは、ワンストップ特例制度を利用する場合、寄附金控除が「住民税から10%分」だけとなるのに対して、確定申告を行うと、「住民税から10%分」の住民税控除に加え、「所得税から所得税率分(約5%-45%」の所得税還付を受けられるためです。
そのため、控除限度額を超えて寄付を行った場合は「確定申告のほうが自己負担が少ない」といえます。
これらを踏まえ、「控除限度額を1000円超えた際の自己負担分」について早見表をご覧ください。
課税所得の範囲 | 所得税率 | 確定申告の場合 | ワンストップの場合 |
〜194万9千円 | 5% | 849円 | 900円 |
195万〜329万9千円 | 10% | 798円 | 900円 |
330万〜694万9千円 | 20% | 696円 | 900円 |
695万〜899万9千円 | 23% | 665円 | 900円 |
900万〜1799万9000円 | 33% | 563円 | 900円 |
たとえば、課税所得400万円の人が、控除限度額を1万円オーバーした場合、確定申告の場合は「6960円」、ワンストップ特例制度の場合は「9000円」が自己負担金額にプラスされるという計算になります。
この早見表からも、オーバーした場合は確定申告のほうが、ワンストップ特例制度を利用する場合よりも自己負担金額の増加が小さいことがわかります。