消費税法上、非課税取引(の資産)を輸出したら非課税?免税? それは非課税資産の種類によって異なるの?
問題の所在
消費税上、限定列挙で非課税取引が明記されているが、それを輸出したら、、、非課税取引?免税取引?
課税売上割合の算出にも影響するような気がするが、、、
結論
消費税の課税対象のルール上は、非課税取引の分類が免税取引の分類に先立つため、理論上は、非課税取引になるハズ、、、
→ しかし、非課税資産の輸出販売を非課税取引として控除対象仕入税額の計算を行うと、非課税売上にのみ対応する課税仕入れは原則として仕入税額控除ができない(→ その分を売価の値上げで取り戻そうとされると、消費税の課税の公平化上、マズイ)
→ そこで消費税法第31条「非課税資産の輸出等を行った場合の仕入れに係る消費税額の控除の特例」規定により、非課税資産の輸出は輸出取引とみなして、免税売上げとし、仕入税額控除ができるよう納付税額の計算を行えるようにした。
→ 具体的には、消費税法施行令第17条第3項で、上の当該行為に係る金銭債権の債務者が非居住者であるものについて定めた。
→ もっとわかりやすく、質疑応答事例「外債の受取利子で輸出取引とみなされるもの」で公開した。
→ ★ただし上の太字の弊害がないものは、消費税施行規則51条で、戻って理論上の扱い通りに、非課税取引とした。
理由
以下の記事が秀逸である:
非課税資産の輸出とは?~誰でもわかる素人のための消費税18〜
https://japanex.jp/book/?p=5043
(以下、一部抜粋)
非課税資産の輸出等を行った場合の特例とは
「非課税資産の輸出等を行った場合の仕入れに係る消費税額の控除の特例」とは、車椅子や補聴器などの身体障害者用物品を国外に輸出したり、非居住者である国外銀行に預け入れた預金の利子を収受した場合は、消費税法第31条「非課税資産の輸出等を行った場合の仕入れに係る消費税額の控除の特例」の規定により輸出取引等を行ったものとみなされ、非課税資産の輸出売上高は課税売上割合の計算上分子に算入されます。
消費税の取引の分類を行う上で、下記の図のように、非課税取引かどうかの判定は、免税取引の判定より先に行われるため、身体障害者用の物品などの非課税資産の譲渡等は、国内販売、輸出販売に係らず「非課税取引(※)」に分類されることになります。
(引用者、途中省略)
よって、身体障害者物品等の非課税資産を輸出販売した場合、本来であれば、「非課税取引」に該当するものとして納付税額の計算を行うことになります。
しかし、非課税資産の輸出販売を非課税取引として控除対象仕入税額の計算を行うと非課税売上にのみ対応する課税仕入れは、原則として、仕入税額控除ができないため、その分が価格に転嫁されてしまうおそれがあるため、消費税法第31条「非課税資産の輸出等を行った場合の仕入れに係る消費税額の控除の特例」規定により、非課税資産の輸出は輸出取引とみなして、免税売上げとし、仕入税額控除ができるよう納付税額の計算を行います。(詳しくは後述)
(非課税資産の輸出等を行つた場合の仕入れに係る消費税額の控除の特例)
第三十一条 事業者が国内において第六条第一項の規定により消費税を課さないこととされる資産の譲渡等(以下この項において「非課税資産の譲渡等」という。)のうち第七条第一項各号に掲げる資産の譲渡等(以下この項及び次項において「輸出取引等」という。)に該当するものを行つた場合において、当該非課税資産の譲渡等が輸出取引等に該当するものであることにつき、財務省令で定めるところにより証明がされたときは、当該非課税資産の譲渡等のうち当該証明がされたものは、課税資産の譲渡等に係る輸出取引等に該当するものとみなして、前条の規定を適用する。 消費税法第31条1項 引用
非課税資産の輸出となる取引
非課税資産の輸出の取扱いの対象となる取引は例えば、次のようなものがあります。
- 身体障害者用物品の輸出
- 教科用図書の輸出
- 貸付金の利子でその借入者が非居住者であるもの
- 手形の割引による収入で、割引を受けた者が非居住者であるもの
非課税資産の輸出とならない取引
逆に非課税資産の輸出の取り扱いの対象とならない取引もあります。
次の通りになります。
- 有価証券の輸出
- 金銭債権の輸出
- 抵当証券の輸出
以上の通り、有価証券及び支払手段、金銭債権の輸出は、この非課税資産の輸出の特例の取扱い対象となりません。
非課税資産の輸出を行った場合の課税売上割合の算出
先程、非課税資産の輸出は輸出免税取引とみなして、納付税額の計算を行うと説明しましたが、具体的にどのような計算を行うのか。
それは、課税売上割合(※)の計算の際に使います。
(引用者、途中省略)
非課税資産の輸出があった場合、非課税資産の輸出売上の金額を、資産の譲渡等の対価の合計額(分母)と課税資産の譲渡等の対価の額の合計額(分子)の両方に含めて計算します。
ちなみに非課税資産の輸出にならず、非課税取引であるだけだと分母に含めるだけで分子には含めません。ここに違いがあります。
計算式で表すと下記の式の通りになります。
消費税の申告書上(付表2-3)では、以下のように記載します。