個人事業主時代の乗用車を、法人成り後に法人へ移管(売却)する場合の税務処理は?
問題の所在
以下の事例:
・個人事業主1年目の2月に、事業用乗用車を取得し使用。
・2年目の1月末に、法人成りし、その乗用車をその法人へ移管(売却)
この場合、法人側での減価償却計算はどうなる?
中古車の耐用年数は以下の記事にあるように短縮可能であるが、だと、法人成りしたときに乗用車を移管するのはすごくメリットありすぎな気もするが、、、
【2024/1/21修正】【2023/12/29訂正】取得した中古自動車(中古車)の耐用年数が法定耐用年数の6年を経過済の場合に、当てはめる耐用年数は何年?
結論
なんと、中古資産の取得の耐用年数の圧縮が原則のよう!
理由
以下の記事が多面的にまとめられていて、大変参考になる:
Q168 【法人成り】償却資産の引継価額は簿価?仕訳は?引継後の償却方法や耐用年数は? /個人と法人の減価償却方法の違いは?
1. 引継価額は?
(1) 法人側の処理
原則として時価で受入処理を行いますが(法法22条)、実務上は、簿価での受入処理も許容されます。法人税上、「再取得価額」をもとに計算した旧定率法未償却残額=時価とする規定があります(法基通9-1-19)。当該規定は、直接的には「資産の評価損」の規定ですが、一般的に、償却資産の「受入時価」として、「未償却簿価」が許容される根拠と解釈されています。
ただし、中古トラックのように、明らかに時価が高いような場合は、原則通り、時価での受入となるものと考えます。
【所得税基本通達 9-1-19】
2. 法人側の受入後の耐用年数・償却方法
(1) 耐用年数
個人時代に利用していた償却資産については、法人側は、「中古資産」として受入処理を行い、「中古資産」の耐用年数で償却を行います。個人時代の「未償却年数」を引き継ぐわけではない点にご留意ください。
(2) 償却方法
法人と個人では、「法定償却方法」が異なります。法定償却方法とは、税務署に償却方法の届け出を行わない場合の、原則的な償却方法です。以下の通りです。
法人(法人税) | 個人(所得税) | |
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建物 | 定額法(※) | 定額法 |
建物付属設備 | 定額法(※) | 定額法 |
構築物 | 定額法(※) | 定額法 |
工具器具備品 | 定率法 | 定額法 |
車両運搬具 | 定率法 | 定額法 |
機械装置その他 | 定率法 | 定額法 |
(※) 平成28年4月1日以降取得分
したがって、例えば、個人時代に定額法で償却していた車両を、法人成り後も「定額法」で償却を継続したい場合は、法人成り後に、税務署に「減価償却資産の償却方法の届け出」を行う必要があります。
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補足
特記事項なし
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