納税管理人を指定した納税者に係る実務論点は?
問題の所在
海外赴任等のため、日本に不在の間に、納税管理人を指定(=依頼)するのが通常です。
ここでは特に以下のA様の事例について整理する:
・令和3年度の所得税等の確定申告で、中古購入のマンションにつき、住宅ローン控除を申請。
・令和4年3月に、タイへ海外赴任開始(帰国は3年後の予定)。
・納税管理人を指定して出国した。
・令和4年5月から、当該マンションを賃貸開始。
結論
以下の通り:
① 源泉徴収票が、令和5年1月から3月までの給与所得分について発行される
★翌年(=令和6年度)以降は、もう帰国するまで無い。
② 国外居住者ですが、不動産所得は生じるので令和4年の確定申告をする(上の①の3か月分の給与所得もオンする)
③ 令和4年度以降の確定申告では、住宅ローン控除が適用停止になる。
→ なお例外あり!
理由
上の①について
→ 非居住者 → 現地での収入は、現地でもらう
→ タイでも基本どの国でも、給与支給時に課税されて、その国に支払う(当然!)
上の➁について
→ 非居住者だが、その間に日本で生じた所得は、、、、わざわざタイで申告などしない。
→ なら、原則に戻り、日本で課税するハズ。
参考記事は以下:
No.1926 海外勤務中に不動産所得などがある場合
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1926.htm
(以下、一部抜粋)
日本国内の会社に勤めている給与所得者が1年以上の予定で海外の支店などに転勤すると、一般的には、日本国内に住所を有しない者と推定され、所得税法上の非居住者となります。
このように海外勤務等により非居住者となる人に、国内にある不動産の貸付けによる所得や国内にある資産の譲渡による所得などの、日本国内で生じた所得(源泉分離課税となるものを除きます。以下、「国内源泉所得」といいます。)があるときは、日本で確定申告が必要になる場合があります。
========================
上の③について
1)
納税管理人を指定すると、税務署にその届を出し、税務署は「Aさんが在外邦人になる」と把握します。
→「令和4年度から向こう10年の、いわゆる住宅ローン控除証明書」の発行がされません。
★換言すると、「毎年、秋ごろに一斉郵送発送する対象」から外します。
2)
Aさんが、金融機関にも出国前に海外赴任の旨を届け出ます(注)ので、金融機関も把握します。
→ 上の税務署の対応と連動して「金融機関から年末時点での借入金残高証明書」が郵送されません。
(注)海外転勤が決まり、家を賃貸に出す場合、住宅ローンを借り入れている金融機関にその旨を報告する必要があります。
届け出をしておかないと、その家に住んでいないことが金融機関のほうで判明した時点で住宅ローンの一括返済を請求され、一括返済できないと家は競売にかけられることになります。
参考記事は以下:
補足
以下の記事が参考になる:
海外勤務中の非居住者も確定申告が必要?課税のしくみや納税管理人の選定方法を解説!
https://biz.moneyforward.com/tax_return/basic/54429/
No.2029 確定申告書の提出先(納税地)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2029_qa.htm
なお、都市伝説で、
海外赴任中も住宅ローン控除をgetしたいため、納税管理人を指定しない、
という人もいるよう。
■