保険の解約返戻金(収入)は消費税の課否判定上、(非課税取引ではなく)不課税取引である根拠は?

問題の所在

消費税の解説書を見ると、非課税取引の限定列挙中に、「利子・保証料・保険金」と記載されていることが通常である。

例 国税庁 No.6201 非課税となる取引

2 主な非課税取引

  1. (4) 預貯金の利子及び保険料を対価とする役務の提供等
    預貯金や貸付金の利子、信用保証料、合同運用信託や公社債投資信託の信託報酬、保険料、保険料に類する共済掛金など

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6201.htm

そうすると、反射的に、「保険の解約返戻金も、上に含まれて、非課税取引」と考え

→ 多額だと、課税売上割合が95%未満 → 個別対応方式か一括比例配分方式かの選択を考え、

→ 通常、個別対応方式が有利

→ 仕入の消費税を
【1】課税売上のみに対応する仕入の消費税
【2】非課税売上のみに対応する仕入の消費税
【3】課税売上と非課税売上に共通する仕入の消費税
に分ける

。。。。。。。。。と、仕事が際限なくひろがってしまうが、果たしてそう?

 

結論

そもそも、最初の「保険の解約返戻金が非課税取引」が間違い。

保険の解約返戻金は不課税取引である。

(冒頭の国税庁のHPの非課税取引の例の引用でも、保険料を対価とする役務の提供等 であり、保険料自体を非課税取引と言っているわけではない)

 

理由

参考リンク先:

1.欠番

2.消費税課否判定表

https://tool.yurikago.net/41/yurikago/

=========================

(4) 保険金や共済金:資産の譲渡等の対価といえないからです。

=========================

 

3.解約返戻金の仕訳と税金(消費税含む)と益金算入時期を理解する5つのポイント

http://tokyo-startup.com/cash-surrender-value

=========================

解約返戻金は対価性がありませんので、不課税になります。「No.6157 課税の対象とならないもの(不課税)の具体例」をご参照ください。

=========================

 

4.国税庁「No.6157 課税の対象とならないもの(不課税)の具体例」

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6157.htm

=========================

(4) 保険金や共済金:資産の譲渡等の対価といえないからです。

=========================

 

なお、2.では、「受取保険料」の備考欄に「対価補償金は課税」とあるが、保険料の解約返戻金で対価補償性のあるもの云々は、手元の書籍やググった範囲では該当がなかった。

そのため、「不課税取引」と決め打ちしてよいと考える。

 

補足

ちなみに、同じ営業外収益項目であっても、消費税の課否判定上は分かれる

営業外収益項目課否判定
受取利息非課税
受取配当金不課税
解約返戻金不課税

 

また、あわててググると、所得税について「非課税」といった解説記事があり、それを消費税と混同するようなことのないように留意する。