建物更生共済(建更)②-火災保険料を経費計上してよい可能性は?

1.問題の所在

まず、建更に係る概説は以下の記事参照:

【2022/3/1一部修正】建物更生共済(建更)①-個人の地震保険料控除としての計上額は?

個人で法人成りしている方(つまり、株式会社形態である方)で、不動産経営(アパート経営)をされている方で、の多くは、会社を、いわゆる転貸方式にしている方が少なくないと考える。

さらに、そのマンションの1室を自身及び家族が居住していることも少なくない。

ただ、この場合、建更の契約上(=「共済掛金領収証」の記載上)、業務用建物契約とは記載されず、単なる火災保険見合いになる。

火災保険の場合には、個人の所得税法上、所得控除には使えないのであるが(使えるのは、生命保険と地震保険のみ)、では、不動産所得上の経費としては計上できないか?

 

2.結論

法人税法上、火災保険は、通常、経費計上できると考える。

 

3.理由

仮に、オーナーが不動産管理会社を運営していた場合、当該建更契約の経済実態上の効用・役立ちは、上の議論での個人経営(不動産所得)の場合と同じであり、税金計算上、同じ扱いであることに課税上の弊害は認められないと考えるため、個人の不動産所得上でも、原則として、全額経費計上が是認されるべきである。

なお、計上額は、「共済掛金 148,170円、割戻金 71,820円、「必要経費・損金対象額 建物の用途 マンション 56,460円」」などとは印字されていないため、自力で計算する必要があるが、基本的には、

掛金の支払額 ▲ 積立共済掛金相当額(←割戻金と同額ではなく+αの金額)を控除した金額

でよいと考える。

また、法人での経費計上を間接的に許容している記事は以下:

火災保険は経費にできる?仕訳と勘定科目の解説

(以下、一部抜粋)

火災保険を必要経費を計上する際の注意点

長期契約において契約時に全額の保険料を負担した場合、そのすべてを経費計上できないことに注意してください。経過した期間分だけを当期の費用として計上可能です。

もう一つ把握しておきたいのは個人の所得にかかる取扱いです。個人事業主の場合、確定申告によって自らの所得を計算して当年度分の所得税を納付します。所得税の計算では年金や健康保険の保険料を売上から控除して、節税につなげることが可能です。しかし火災保険料は、これらの保険料と扱いが異なります。

火災保険料は法人会計で経費には計上できますが、個人の所得税における保険料控除の対象ではありません。損害保険料で所得の控除対象となっているのは地震保険だけです。家事按分で経費算入が認められなかったプライベートな費用を、個人の所得から控除する扱いは不可となるため注意しましょう。

=====================

4.補足

他に、建更で経費計上ができる分がある場合、上の火災保険と合算して、不動産事業の経費として計上するのが、(なんとなく)一貫した処理のような気がする。