建物更生共済(建更)①-個人の地震保険料控除としての計上額は?

1.問題の所在

建更とは、ざっくりいうと、火災保険、地震保険、満期積立分の要素を包含している保険です。

このように、お得感のある共済保険であり、したがって、JA(農協)だけしか取り扱いが認めれていない、既特権的な保険です。(その批判をかわすためもあり、農家以外の一般ピープルも加入できます)

個人で法人成りしている方(つまり、株式会社形態である方)で、不動産経営(アパート経営)をされている方で、の多くは、会社を、いわゆる転貸方式にしている方が少なくないと考える。

その場合、建更を、

  1. 個人の所得税の、地震保険料控除に計上する
  2. 個人の、不動産所得の経費に計上する
  3. 会社の、不動産事業の販売費および一般管理費に計上する

の中から選択できる。(計上額は、割戻金を控除した残額であるので、上のαに相当する額だけズレる程度)

さて、どれを選択したらよいのであろうか?

2.結論

選択方法は、損得だけ考えれば、「社長のその年の所得税率(+住民税率)と 会社の法人税実効税率 の大きい方」であり、住民税が効くので、通常、個人の1.か 2.になろう。

さらに、2.の場合には総所得計算上、控除し切れないリスクがあるため、1.(=不動産所得の経費計上)のケースが多いと推定される。

 

3.理由

例えば、「業務用建物契約」と印字されていると、たいてい、そのすぐ下に、

「共済掛金 148,170円、割戻金 71,820円、「必要経費・損金対象額 建物の用途 マンション 56,460円」」などと印字されている場合には、
→ 満期積立金が 71,820円、地震保険が 56,460円 火災保険が 19,890円(=148,170-71,820-56,460)
と評価できます。

この場合には、「業務用」とうたっているのであるから、正論としては、不動産所得の経費として計上することが望ましいであろう。

 

4.補足

以上は、JAの共済掛金領収証の左端の「共済種類」に「建物更生」とあるものが対象である。

例えば、JAの共済掛金領収証の左端の「共済種類」に「がん型」とあれば、生命保険料控除のものである。(通常、「旧制度」で「一般」に該当する)

JAの共済掛金領収証は、基本邸に同じレイアウトで、同じ薄緑色であるので以上を混同しないように留意する必要がある。

また、くどいが、「業務用建物契約」と印字されていることが前提である。


建更の処理は一般的には、

① 所得税上で、所得控除
→ 掛金の支払全額が、地震保険料控除 ★通常、解約返戻金は-(ゼロ)なので、悩まない。

② 所得税上で、非課税(収入に計上不要)& 法人税法上では、益金
→ 火災共済金(お見舞金)

③ 所得税上で、不動産所得、事業所得の経費計上 & 法人税上でも 損金
(=「共済掛金領収証」に「必要経費・損金対象額 建物の用途 マンション 56,460円」などと記載ある場合)

→ 掛金の支払額から積立共済掛金相当額(←割戻金と同額ではなく+αの金額)を控除した金額
(=「共済掛金領収証」に「必要経費・損金対象額 建物の用途 マンション 56,460円」
などと印字されている金額)

④ 所得税上で、不動産所得、事業所得の収入計上 & 法人税上でも 益金

→ 「共済掛金領収証」に「割戻金 71,820円」などと記載されている金額

⇒ただし、④は、①②③のマイナスとして処理することが実務的である。

参考リンクは以下(約款が貼り付けてあり、上の最新のpdfを参照):

https://www.ja-kyosai.or.jp/gokeiyaku/agreement_home/muteki.html