法人で暗号資産を保有している場合の、期末の決算仕訳は①知識

問題の所在

暗号資産の解説はググるとたくさんヒットするが、中小企業の帳簿にフィットする仕訳の解説がヒットしないので、作成したもの。

 

結論

当期末の決算仕訳は以下の通り;

【設例】

前期中の取得時の価額は 500、前期末の時価が 550、当期末の時価が 700 の場合には以下。なお()は消費税の設定;

【当期末の仕訳】

(借)雑収入(不課税)   50 (貸)暗号資産(不課税) 50
(借)暗号資産(不課税) 200  (貸)雑収入(不課税) 200

【考え方、利益への影響】

2期を通じて、500から700へ、200増加しているが、当期の決算分だけだと利益への影響は、▲50+200=150。

欠ける+50の分は、前期の決算で利益に計上済だから。

 

理由

なお、前期末に、以下の仕訳を計上済であった。

(借)暗号資産a/c(不課税) 50 (貸)雑収入(不課税)   50

【考え方、利益への影響】

・上の結論で述べた通り、前期末までの間で、全体としては、500から550へ、+50増加しているから、前期の決算では利益への影響は、+50。

・上の結論にある通り、この前期末の仕訳を当期末に取り消している。これを会計処理上、「洗い替え」という。

 

補足

当期末の決算仕訳は、ケース分けして、各々、以下の通り;

(1)上の再掲【設例】

前期中の取得時の価額は 500、前期末の時価が 550、当期末の時価が 700 の場合には以下。なお()は消費税の設定;

【当期末での仕訳】

(借)雑収入(不課税)   50 (貸)暗号資産a/c(不課税)) 50
(借)暗号資産(不課税) 200  (貸)雑収入(不課税)   200

 

(2)別の【設例】

前期中の取得時の価額は 500、前期末の時価が 450、当期末の時価が 700 の場合には以下。なお()は消費税の設定;

【当期末での仕訳】

(借)暗号資産(不課税)  50 (貸)雑損失(不課税)  50
(借)暗号資産(不課税) 200  (貸)雑収入(不課税) 200

【考え方、利益への影響】

・前期末に以下の仕訳を計上済であった。
(借)雑損失(不課税)   50 (貸)暗号資産a/c(不課税)) 50

なお、実務上 雑損失a/cに他の取引がないと費用マイナスになってしまい不都合になる。この場合、実務上は、雑収入(不課税)a/cを使用する。その場合、上の当期末での仕訳は以下のようになる:

(借)暗号資産(不課税)  50 (貸)雑収入(不課税)  50
(借)暗号資産(不課税) 200  (貸)雑収入(不課税) 200