定款の事業の目的にない取引を、スポットで行う際に、わざわざ定款を変更する(追記する)必要はない根拠は?

問題の所在

以下の事例:

・小規模法人で、電池の開発を目的に起業。 ★当然に、定款の事業目的に「不動産等の売買の仲介」等はない

・本業外で、たまたま、土地の売買の仲介をすることになった。

・この仲介について、顧問税理士から「これは定款の目的にない取引だから無効になる。定款を修正してから行うよう」と助言?されたそう。

・作法として、設立時には「これに附随する一切の業務」だの、妄想的にあり得る業務をこれでもかと定款の事業目的に記載するが、ここでは想定外の取引であることが前提:

 

 

結論

・上の土地の売買の仲介は有効である。

・これが定款の事業目的に記載がないことを盾に、相手から後から取引無効を主張できない(当然、当社からも後で取引無効を主張できない)

 

理由

以下の①②の記事が参考になる:

 

① 定款に記載した目的に違反した場合、罰則はあるのか

https://www.freee.co.jp/kb/kb-launch/teikan-purpose/#content2

(以下、一部抜粋)

事業目的の違反による罰則はない

会社は事業目的に記載されていない事業を営めないことになっているものの、会社法等による罰則規定はありません。

目的の達成に必要な行為は認められる

事業目的以外の取引を行った場合に、目的外の行為であることを理由に取引を無効にすることが認められると、取引相手が不利益を被ります。

一方、事業目的に記載のない取引を理由に、取引の相手方が無効にすることもできません。また、取引が硬直化してしまい、企業の発展の妨げになることも想定されます。

個別の内容によっても判断が分かれますが、定款に明示された事業目的自体ではなくても、「目的の達成に必要な行為」、あるいは「目的の達成に有用な行為」であれば「目的の範囲内の行為」に含むとして、広く解釈することができます。

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② 定款の事業目的に違反した場合罰則はある?注意点や変更手続き

https://www.yayoi-kk.co.jp/kigyo/oyakudachi/teikan-mokuteki/#:~:text=%E5%AE%9A%E6%AC%BE%E3%81%AE%E4%BA%8B%E6%A5%AD%E7%9B%AE%E7%9A%84%E3%81%AB%E8%A8%98%E8%BC%89%E3%81%95%E3%82%8C%E3%81%A6%E3%81%84%E3%81%AA%E3%81%84%E4%BA%8B%E6%A5%AD,%E3%81%A6%E3%81%AF%E3%81%84%E3%81%91%E3%81%BE%E3%81%9B%E3%82%93%E3%80%82

(以下、一部抜粋)

定款の事業目的以外の事業を行うと罰則はないがリスクはある

定款に記載した事業目的に違反して他の事業を行ったとしても罰則はありませんが、いくつかリスクがあります。

事業目的以外の事業を行うリスク

  • 取引先や金融機関からの信用に影響する
  • 業種によっては許認可に影響する

なお、これらはあくまで一例です。罰則がないといっても、定款の事業目的は登記事項証明書(登記簿謄本)にも記載され、手続きを行えば誰でも閲覧することができるものです。事業によってリスクは異なるため、事業目的の記載に悩んでいる人は参考にしてみてください。

取引先や金融機関からの信用に影響する

事業目的以外の事業を行う際のリスクとして、取引先や金融機関からの信用に影響することが挙げられます。事業目的は取引をするか、融資を行うかを判断するために見られる項目の1つです。定款に記載された事業目的が実態と異なる場合、取引先や金融機関から事業内容がわからない会社と判断される可能性があります。会社の信用に影響すると、取引ができなかったり、融資を受けられなかったりして、事業運営自体が難しくなることがありますので気を付けましょう。

金融機関で融資を申し込むときや、法人口座を開設するときには、定款や登記事項証明書の提出を求められます。また、新規の取引先と契約をする際に、信用調査として自社の登記事項証明書を確認されることもあります。罰則がなくても、自社の信用を損なわないようにするには、定款の事業目的を過不足なく記載するようにしてください。

業種によっては許認可に影響する

事業目的以外の事業を行う際のリスクとして、業種によっては許認可に影響することが挙げられます。飲食業や建設業、不動産業といった特定の業種によっては、事業の開始にあたって許認可の申請を行います。その際には、許認可の要件を満たした事業目的が記載された定款や登記事項証明書などが必要です。

また、定款の事業目的は、法律で定められた許認可以外にも影響する場合があります。例えば、保険代理店を始めようと思っても、事業目的に保険の募集に関する内容の記載がなければ、保険会社と代理店契約を結ぶことは難しくなるかもしれません。特定の事業によっては、事業目的に記載していない事業自体が行えないこともありますので、自分の事業にとって必要な記載事項を確認しておきましょう。

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補足

直感的には、事業=継続的に行う営業、ではなくて、スポット取引=継続的でない=事業ではない、ので取引は有効、と整理していい気もする。

会社法の特徴として、会社法が発動されるケースは、関係者の利害が対立するケースである。上の土地の売買の仲介取引の結果、関係者が全員、win-winであり、取引を事後に無効にしたいという誘引がなければ、問題ない。