M社様用)【2023/9/4時点】いわゆる青空駐車場に係る課否判定の論点は?

問題の所在

M社の以下の事例を検討する:

・千葉県の〇市にある事業所 ★本店と支店(以下で「事業所という」は共に千葉県内にあり、事業所は郊外にある。

・税務顧問は、最初のA税理士→10年前に監査法人時代の先輩Aさん→5年前から当事務所が引き継いだ。

・事業所の建物(敷地)に接して砂利の空き地があり、もう20年前からM社はそこの地主B氏(個人)から駐車場用に敷地を賃借している。

・賃貸借契約書のタイトルは「土地賃貸借契約書」と、駐車場の文字がない。また同第1条「契約の目的」で、~下記の土地を駐車場用地に使用する目的のもとに、本件土地を賃貸し、乙はこれを賃借する」とある。

・ロープで区画があり、M社ではこの駐車場賃借料は従来より課税仕入控除処理をしている。

・先月、インボイス番号の照会をかけ、B氏から回答を受領したが(インボイス登録番号は明記)、その中に顧問税理士名で、M社からの駐車場賃料は非課税売上で処理している旨が追記されていた。

・国税庁のhpの記事では以下で、要は青空駐車場は土地の賃貸なので非課税の旨とある。★ただし、後述の「整地費用の負担者が貸主か借主か」については触れていない。

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6213.htm

・ところが、一部の他の記事で、「なお、貸付時点で更地であれば、その後、賃借人がアスファルト敷き詰め等をしたとしても、消費税上、非課税売上となります。」の旨が付言されている記事がネットでは散見されます)。

・そこで、固定資産台帳を調べると、1999年に構築物で駐車場整理支出が計上されているので、貸主の更地に借主が整地してスタートしていたと推定される。★ただ、M社の従来の消費税上の処理については、当時の消費税上の検討に関与していた人がもはやいないので、当時の判断の理由は不明。

・昨日、インターネットで公表されている、国税不服審判所 (平22.3.2、裁決事例集No.79)では、土地の賃貸借で、課税当局は、課税取引である旨の複数の論拠の中で、「2) 本件Q町各駐車場の賃貸借契約書等において、その使用目的が駐車場とされている。」
をあげている。(★ただし、この事例では、整地支出は土地所有者が拠出しているようですが、、、)

https://www.kfs.go.jp/service/JP/79/36/index.html

 

結論

非課税取引であり、M社側では仕入控除は不可。

 

理由

以下のとおり:

論点)青空駐車場の議論のスタート

・貸主が土地だけを賃貸する限り、それは非課税取引

論点)追加して確認していく論点

・整地(例 ロープの囲い、アスファルト)の有無は?→ 無ければ、スタートのまま、有りなら、次の論点へ

・整地費用の負担者での違いは? → 貸主側なら、例外的に課税取引へ、借主側なら取引は土地を貸しただけであることは不変なので、スタートのまま(非課税取引)

・(整地の有無を外して)管理業務をしている者での違いは?→貸主側なら、例外的に課税取引へ、借主側なら当該管理業務がなされていない=課税取引がないので、スタートのまま(非課税取引)

・期間は? → 1か月以内であれば、例外的に課税取引へ。

・貸主からの請求書が来る/来ないは、場合分けになるので、以下の記事を参照:

M社様用)いわゆる青空駐車場の賃借りで、貸主から請求書が来る/来ないで、仕入控除の可否が変わるの?

 

論点)検討に関係ない

・賃貸契約書中に「駐車場としての利用を目的に」の旨の文言がある場合は?→消費税上の判断には関係ない。

せいぜい、貸主側から建物などを建てられないようにプレッシャーをかける程度の意味でしかない。

(∵契約よりも実態を優先する、つまり消費税法に沿った以上の検討結果を優先する ★居住用又は事業用の事実認定のように契約書を優先することはしない)

 

補足

端的にまとめると、「駐車場の整地費用を、借主側で負担したら、もう非課税取引」。

なお、以上は、JICPA租税相談室での質疑を、筆者の責任でまとめた部分を含む。