【2023/5/19修正】L社様用)賞与引当金を月割計上する場合の、期中と期末の仕訳は?

問題の所在

財務会計上で、損益が月次でブレないよう、賞与引当金を月割計上する会社がある。

感覚的に理解はできるが、全体の仕訳の形、つまり、

  • 賞与引当金a/c
  • 従業員賞与a/c(経費勘定)
  • 賞与引当金繰入a/c

を理解しておく必要があるため、備忘メモ。

(+補足で、引当対象外の人の分についても付記)

 

結論

1.賞与引当金の計算対象者分

3月決算の会社で、

令和4年度(=令和5年3月期)の賞与の年負担額は、120、支給は6月に60、12月に60。実際の支払いの夏季分は 50、冬季分は 60。

令和5年度(=令和6年3月期)の賞与の年負担額は、120、支給は6月に60、12月に60。

毎月の引当計上は 10(→年計上計 120)、したがって、当期末と次期末の賞与引当金a/c金額は 120、

とすると、

  • (期首)
    賞与引当金a/cの期首残高 120
  • (毎月)
    従業員賞与  10  / 賞与引当金 10  (→年計上計 120
  • (夏季、冬季、支給時)
    賞与引当金  50  / 普通預金  50
    賞与引当金  60  / 普通預金  60
  • (期末)
    賞与引当金  120  / 従業員賞与 120
    ※この仕訳で、
    当期の従業員賞与a/cの仮計上額(と見合いで計上される賞与引当金a/cの計上額)を全額取消し、
    従業員賞与  110  / 賞与引当金 110
    ※この仕訳で、
    当期の賞与支給額=従業員賞与a/cの計上額になり、
    かつ賞与引当金a/cの残高を0となる調整をし、
    ・賞与引当金繰入   120  / 賞与引当金 120
    ※この仕訳で、
    「次期に1、期中の12か月間に従業員賞与を計上し、決算整理で整理したら、賞与引当金a/cの残高がゼロになる」ための賞与引当金a/cを計上する。
    =それは、教科書にある、賞与引当金の期末計上額(このケースであれば、当期の1月から3月までの月割分ではなく、12か月分になる。

 

2.応用例

上の1.単純例の、

「毎月の引当計上は 10(→年計上計 120)、当期と次期の賞与引当金a/c金額は 120、実際の支払いの夏季分は 50、冬季分は 60」

に加え、

①従業員にはプロパーと取引会社からの出向者とから成るが、見積もりの計算上はプロパーを対象にする

➁当該出向者の夏季分は 5、冬季分は 6」

を追加すると、

  • 毎月)
    従業員賞与  10  / 賞与引当金 10  (→年計上計 120)
  • 夏季、冬季、支給時)
    賞与引当金    50  / 普通預金  50
    賞与引当金    60  / 普通預金  60
    従業員賞与    11  / 普通預金  11
  • 期末)
    従業員賞与   110  / 賞与引当金   110
    賞与引当金   120  / 従業員賞与   120
    賞与引当金繰入 10  /  賞与引当金   10

 

理由

まず、上の「1.賞与引当金の計算対象者分」の方法だと、当期に計上する賞与引当金繰入a/cの金額が、(多くの会社では、当期の1月から3月までの月割分を計上する=3か月分計上するところ、12か月分を計上するのだから、過大になる気がする。

原因は明らかで、夏と冬に支給する際にも、借方科目に賞与引当金a/cを全額計上するため、最初から12か月分計上しておかないと、賞与引当金a/cが期中でマイナス残になってしまうためである。

ただ、期中で賞与引当金a/cがマイナスになっても構わない気もするが、プラスを維持しつつ、期中の仕訳を簡便化することができる方法ともいえる。

 

次に、上の「2.応用例」については、

赤字 → 支給した時に、機械的に賞与引当金a/cで処理するのがミソ

青字 → 期末に、期中に12ヶ月にわたって引当てた全額を機械的に取り消すのがミソ

緑字 → 当該出向者には引当金の計算外のため、引当金に関わらせないのが理論的

 

補足

特記事項なし