消費税の課否判定)(SL社様用)経過勘定、期首・期末商品、貯蔵品(事務用品費)の洗替仕訳は?
問題の所在
内部管理に熱心な企業にあっては、期末に、
・事務用品(消耗品費a/c)
・切手(通信費a/c)
・収入印紙(租税公課a/c)
などを、貯蔵品a/cに振り替え、翌期首に振り戻す仕訳を起票する。
大前提で、フォーカスするのは、消耗品費a/c、通信費a/c、租税公課a/cであり、貯蔵品a/cではない。貯蔵品a/cは仮勘定、経過勘定に過ぎない(だから画一的に不課税取引)。
これらは実際の金額は少額なことが多く、間違ってもあまり問題ではないきもしつつ、引継ぎ案件で、自分の理解が間違えていて、決算をやり直した苦い思い出の、備忘メモ。
結論
端的には以下の通りで、「不課税取引にする」→「不課税ならば金額は税抜ベース」である:
- 期末に、貯蔵品a/cに振り替え時;
(借)貯蔵品 100(不課税、税抜)(貸)消耗品費 100(不課税、税抜) - 翌期首に、貯蔵品a/cから振替え時;
(借)消耗品費 100(不課税、税抜)(貸)貯蔵品 100(不課税、税抜)
個別には以下のとおりだが、切手(通信費)だけ実務上の特殊事情がある(後述):
・事務用品(消耗品費a/c)
- その事務用品110を期中に購入時(=入力は、消耗品費110(内税))
(借)消耗品費 100(課税、税抜)(貸)現金 110(不課税、税込み)
あああ仮払消費税等 10 - 期末に、貯蔵品a/cに振り替え時;
(借)貯蔵品 100(不課税、税抜)(貸)消耗品費 100(不課税、税抜) - 翌期首に、貯蔵品a/cから振替え時;
(借)消耗品費 100(不課税、税抜)(貸)貯蔵品 100(不課税、税抜)
つまり、期末の振替仕訳では、①税抜金額で、②不課税仕入 で起票する。
・収入印紙(租税公課a/c)
- その印紙100を期中に購入時(=入力は、租税公課100(不課税))
(借)租税公課 100(不課税)(貸)現金 100(不課税) - 期末に、貯蔵品a/cに振り替え時;
(借)貯蔵品 100(不課税)(貸)租税公課 100(不課税) - 翌期首に、貯蔵品a/cから振替え時;
(借)租税公課 100(不課税)(貸)貯蔵品 100(不課税)
つまり、期末の振替仕訳では、不課税仕入 で起票する。
・切手(通信費a/c)
- その切手84を期中に購入時(=入力は、通信費84(内税))
(借)通信費 76(課税、税込み)(貸)現金 84(不課税、税込み)
あああ仮払消費税等 8 - 期末に、貯蔵品a/cに振り替え時;
(借)貯蔵品 8476(不課税、税込み)(貸)通信費 8476(不課税、税込み) - 翌期首に、貯蔵品a/cから振替え時;
(借)通信費 8476(不課税、税込み)(貸)貯蔵品 8476(不課税、税込み)
理論的には、以上のように、①税抜金額で、②不課税仕入 で起票するべき、つまり上ので76で計上すべきなのであるが、
- 会社から受領する貯蔵品棚卸リスト上では、事務用品は税抜・税・税込みの各金額が明記されるが、切手は額面(税込)金額のみしか記載されていない
- その合計金額を、会計ソフトの仕訳上、不課税取引にし+内税方式で税込で86→86のまま
- 電卓で84から76を算出した金額に置き換えるよりも、86のまま計上した方が、棚卸リストと金額が一致する点でわかりやすい ★こうしてもこの事例の会社では貯蔵品の金額はそもそも僅少である。
理由
法人税法上、例外的に、期末に資産に救い上げることが容認されているが、他方、消費税では、法人税とは関係なく、「支出時に課税仕入」の原則しかない。(以下の記事参照)
http://higuchi-tax.com/taxnews/pdf/Higuchi_Tax_News_1703_087.pdf
補足
なお、課税取引である、
・事務用品(消耗品費a/c)
・切手(通信費a/c)
については、
期末の振替仕訳でも、課税仕入+内税 で起票できれば、弥生会計AEでのデフォルトの設定のまま起票すればよいためラクなのであるが、、、、実務上は、通年で仮払消費税額は一致するので、「課税仕入+内税金額」で起票しても実害は小さいと思うが、、、、
また、以下の記事は網羅的に解説がなされている
Q75【貯蔵品とは?】事務用品費・切手・商品券等の税務処理/消費税の取扱い・勘定科目は?
この解説では、そもそも切手の仕訳を「期中購入時に貯蔵品a/cに計上し、期中使用時に通信費a/cに振り替える」前提である。
正論ではある、、、、がこの貯蔵品だけ費用化のタイミングが異なる運用を、間違えないように継続することになるが、これを会社担当者側および会計事務所側で守られるか?
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