いわゆる税務会計では、所有権移転外ファイナンスリースが賃貸借処理でOKで、申告書上も特段の処理が不要である根拠は?

問題の所在

上場企業では、以前は、所有権移転外ファイナンスリースは賃貸借処理が認められていたが、リース会計基準の改正で、平成20年以降はファイナンスリースは全てオンバランス処理になっている(リース契約1件当たりの契約が300万円以下のケースなどでは重要性の原則が明文の規定で賃貸借処理がみとめられてはいるが)。

ただし、中小企業の会計に関する指針では、「上場会社の関係会社や(非上場なのにわざわざ会計監査人を選定している会社」以外の会社では、賃貸借処理を認めています。

では、税務上はどうかというと、中小企業では、その実務感から、直観的にはオンバランス処理は難しいので、賃貸借処理でよいという規定があります。

 

結論

まず、条文等は以下:

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法人税法施行令
(昭和四十年政令第九十七号)
施行日: 令和二年四月一日
最終更新: 平成三十一年三月二十九日公布(平成三十一年政令第九十六号)改正

第131条の2第三項

3 第六十四条の二第一項の規定により売買があつたものとされた同項に規定するリース資産につき同項の賃借人が賃借料として損金経理をした金額又は同条第二項の規定により金銭の貸付けがあつたものとされた場合の同項に規定する賃貸に係る資産につき同項の譲渡人が賃借料として損金経理をした金額は、償却費として損金経理をした金額に含まれるものとする。

(リース取引に係る所得の金額の計算)
第六十四条の二 内国法人がリース取引を行つた場合には、そのリース取引の目的となる資産(以下この項において「リース資産」という。)の賃貸人から賃借人への引渡しの時に当該リース資産の売買があつたものとして、当該賃貸人又は賃借人である内国法人の各事業年度の所得の金額を計算する。
2 内国法人が譲受人から譲渡人に対する賃貸(リース取引に該当するものに限る。)を条件に資産の売買を行つた場合において、当該資産の種類、当該売買及び賃貸に至るまでの事情その他の状況に照らし、これら一連の取引が実質的に金銭の貸借であると認められるときは、当該資産の売買はなかつたものとし、かつ、当該譲受人から当該譲渡人に対する金銭の貸付けがあつたものとして、当該譲受人又は譲渡人である内国法人の各事業年度の所得の金額を計算する。

賃貸借処理をしている場合であっても、税務上は減価償却費として経理しているものと同様の処理をしているものとして扱うことができることになっています。

リース料総額をリース資産の取得価額として処理しているかぎり(法人税法基本通達7-6の2-9原則参照)、リース期間におけるリース料が均等であれば、毎期のリース料とリース期間定額法による償却額限度額とは一致しますので、このような処理をしている場合であっても賃借料として計上した金額の全額が税務上の経費(損金)として認められることになります。

 

理由

法人税法上、所有権移転外ファイナンスリースは資産計上することは、会計上と同様であり、ではその減価償却計算は、リース期間定額法になります。

ただし、賃貸借処理をしている場合には、それを認めます、つまり例外的に許容するという建付です。

 

補足

減価償却処理をしないで済むので、やれやれです。