有限会社の滞納税金は、相続財産(負債)にカウントされない?
問題の所在
以下の事例:
・被相続人A氏は生前、有限会社B社を経営。産廃業。
・社員はA氏のみ。
・業務は(当時)従業員の息子と2名でやっていましたが、後述の税金の滞納で会社は休眠し、息子は独立して別会社C社を設立して営業中。
・なお、当該息子の独立に際し、国税等によるB社の財産の差押を回避する目的で、B社の財産を不当にC社へ移動させてはいない。
・会社の税金の滞納で国税分が約6千万円(重課税分を含むか否かは不明)。
・返済をしていたのですが5月下旬、ガンでご逝去。享年58才。闘病期間2年ほど。その間は奥様が会社の事務作業に関与。
・A氏の主な財産は自宅の一軒家で、土地及び建物ともA氏名義。住宅ローンの残債があったが団体保険で完済済。
・相続人は奥様と子ども4名。
・場所は三鷹市。市税は支払ったので差し押さえはない。
・A氏または奥様が、税務署へ、B社の滞納税金分を個人として支払う旨の念書の類も、ない。
・奥様としては上の自宅は相続したい希望があるが、相続した結果、上の滞納分も相続されて返済義務が生じるのであれば、金額が大きいので相続放棄も検討しなければならないのかと思案中。
・なおB社の顧問税理士からは「滞納税金分は、引き継がれるかもしれないし、引き継がれないかもしれない」と言われたとのこと。。。。。(?)
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直感的には、株主有限責任であるから、有限会社の滞納税金の納税義務が、役員等ではない奥様等の親族に及ぶことはないハズ。
しかし滞納税額が巨額であることから、念のためルールを確認する。
結論
・国税徴収法をchしたところ、法人税については、会社法の規定・趣旨に沿った有限責任の原則に内容である。
ゆえに、B社の滞納税金の納付義務は、A氏の親族には及ばないと考える。
ゆえに、相続人である奥様は、被相続人A氏の財産を相続して問題ないと考えます。
・なお、B社は休眠会社にしていたようだが、相続を機にハッキリと清算した方がベターと考える。★この2年間に整理してきて、残余財産はほとんどないと推定しますし。
理由
まず、有限会社であるので、いわゆる有限責任の原則のため、原則として、奥様が役員ではない場合には、B社の債務を返済する義務はないと考えられる。
今回は、あえて個人として納付するといったへ念書の類もないならば、奥様が個人として返済する義務はないと考えられる。
また、悪意のある納税者に対する規定である、国税徴収法の第二次納税義務の規定も検討すると、今回の事例に関連する可能性のあるものは以下:
第三章 第二次納税義務
第二十七条から第三十一条まで 削除
(清算人等の第二次納税義務)
第三十四条 法人が解散した場合において、その法人に課されるべき、又はその法人が納付すべき国税を納付しないで残余財産の分配又は引渡しをしたときは、その法人に対し滞納処分を執行してもなおその徴収すべき額に不足すると認められる場合に限り、清算人及び残余財産の分配又は引渡しを受けた者(前条の規定の適用を受ける者を除く。以下この項において同じ。)は、その滞納に係る国税につき第二次納税義務を負う。ただし、清算人は分配又は引渡しをした財産の価額の限度において、残余財産の分配又は引渡しを受けた者はその受けた財産の価額の限度において、それぞれその責めに任ずる。
2 信託法(平成十八年法律第百八号)第百七十五条(清算の開始原因)に規定する信託が終了した場合において、その信託に係る清算受託者(同法第百七十七条(清算受託者の職務)に規定する清算受託者をいう。以下この項において同じ。)に課されるべき、又はその清算受託者が納付すべき国税(その納める義務が信託財産責任負担債務(同法第二条第九項(定義)に規定する信託財産責任負担債務をいう。)となるものに限る。以下この項において同じ。)を納付しないで信託財産に属する財産を残余財産受益者等(同法第百八十二条第二項(残余財産の帰属)に規定する残余財産受益者等をいう。以下この項において同じ。)に給付をしたときは、その清算受託者に対し滞納処分を執行してもなおその徴収すべき額に不足すると認められる場合に限り、清算受託者(信託財産に属する財産のみをもつて当該国税を納める義務を履行する責任を負う清算受託者に限る。以下この項において「特定清算受託者」という。)及び残余財産受益者等は、その滞納に係る国税につき第二次納税義務を負う。ただし、特定清算受託者は給付をした財産の価額の限度において、残余財産受益者等は給付を受けた財産の価額の限度において、それぞれその責めに任ずる。
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補足
記載した事例の内容を前提とすれば、やはり有限会社(株式会社)の、有限責任の原則が成立するので、奥様には納税義務は生じないハズであり、
この顧問税理士が通常の知見があるのであれば、上の結論と同様のコメントになるところ、
>・なおB社の顧問税理士からは「滞納税金分は、引き継がれるかもしれないし、引き継がれないかもしれない」と言われたとのこと。。。。。(?)
とコメントしているのが??? (上の問題の所在に記載した前提以外の、別の事情でもあるのかしら?)
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