当事務所用)当事務所の顧問先様での出張日当は、@5千円? @1~2万円?▼工事中

問題の所在

中小企業の節税手法として流布している、出張手当に関し、(社長の)出張日当(出張手当)の単価の水準はいかの2説がある:

1)@5千円 説

出張手当については、まず所得税基本通達の決まりは以下の通り:

https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shotoku/02/02.htm#a-02

(以下、一部抜粋。なお赤太字は引用者加筆:)

〔旅費(第4号関係)〕

(非課税とされる旅費の範囲)

9-3 法第9条第1項第4号の規定により非課税とされる金品は、同号に規定する旅行をした者に対して使用者等からその旅行に必要な運賃、宿泊料、移転料等の支出に充てるものとして支給される金品のうち、その旅行の目的、目的地、行路若しくは期間の長短、宿泊の要否、旅行者の職務内容及び地位等からみて、その旅行に通常必要とされる費用の支出に充てられると認められる範囲内の金品をいうのであるが、当該範囲内の金品に該当するかどうかの判定に当たっては、次に掲げる事項を勘案するものとする。(平23課個2-33、課法9-9、課審4-46改正)

(1) その支給額が、その支給をする使用者等の役員及び使用人の全てを通じて適正なバランスが保たれている基準によって計算されたものであるかどうか。

(2) その支給額が、その支給をする使用者等と同業種、同規模の他の使用者等が一般的に支給している金額に照らして相当と認められるものであるかどうか。

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上の赤太字について、通常はそんな客観的な目安はないと思ったところ、以下の記事中で引用されている調査結果を引用している記事が散見された。

出張旅費規程を作れば節税できる?メリットと注意点【サンプル付き】

★蛇足だが、この記事中では、出張手当は給与所得に該当すると言っているが、、、、(以下、自粛)

(以下、一部抜粋)

参考:産労総合研究所 2019年度国内・海外出張旅費に関する調査

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2023年度版は有料配布。無料配布はこの2019年度以前のみ (*^^*))

(以下、一部抜粋)

(2)日当の平均支給額

日当を出張の距離・時間・地域等によらず一律にしている企業の平均支給額は,社長4,458円,専務3,781円,常務3,716円,取締役3,613円,部長クラス2,666円,課長クラス2,479円、係長クラス2,224円,一般社員2,094円となった。
この平均支給額を一般社員を100とした指数でみると,社長212.9,専務180.6,常務177.5,取締役172.5,部長クラス127.3,課長クラス118.4,係長クラス106.2となっている。

表2 通常の日帰り出張(早朝出発,時間外〈深夜〉帰着を除く)における日当の平均支給額(距離・時間・地域区分がない場合)

表2 通常の日帰り出張(早朝出発,時間外〈深夜〉帰着を除く)における日当の平均支給額(距離・時間・地域区分がない場合)

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2)1万~2万円 説

以下の書籍のp98からp101で解説されており、主な根拠は以下の通り:

① 上の産業労研究所のデータの存在は認めつつ、

「上記をそのまま中小企業、特に高所得者オーナーに無理にあてはめる必要はありません。当局調査においても当局は、上記資料を参考にしません。当該論点については過大役員給与、過大役員退職慰労金と異なり、判例の蓄積も皆無に等しいため、明確な反論材料もありません」

と指摘されている。

 

 

結論

従来と同様に、通常の国内の従業員に対する、給与の源泉所得税と年末調整だけでOK。

 

理由

論点は以下の2つ:

1)B氏のリモートワークが、PEに該当するリスクがあるか?

・上の問題の所在にあるとおり、当社A社はドメドメの会社である。

・PEの有無の視点からいえば、B氏はマニラで自宅でリモートするので(=A社はB氏のために事務所を借りるなんてしないので)、PIEなんてない。

2)非居住者等に対する源泉徴収の要否

・B氏の毎月の給与(+年2回の賞与)から源泉所得税を徴収するか否かが問題となる。

・リモートワークは、実態としては、国内で勤務していると考えられる。

・まずB氏は、いわゆる非居住者等に該当する。

・ルール上、非居住者の社員に対して支払われる給与等のうち、日本国内で行われた勤務に対する部分だけが、国内源泉所得に該当する。

・ゆえに、端的には、国内の他の従業員と同様に、源泉徴収と年末調整をすることになるし、それだけで足りる。

 

補足

上の2)は、以下の本のp39→p43が参考になる: