不動産仲介業の会社で、定款にない「ネイルサロンの開業のためのスクール費用」は損金性があるか?

問題の所在

以下の事例:

  • 当社は不動産仲介業。
  • 将来的にネイルサロンの開業を視野に入れて、従業員である妻に資格を取得してもらう為に、資格取得のスクールに通ってもらう(後述の金額を支払済)
  • これに関わる費用は、会社の経費とすることは可能か?
  • ちなみに、内訳は、入学金33.000円(振込払い)、授業料253.935円(クレカ払い)、教材費75.680円(クレカ払い)、で、計362.615円。
  • ちなみに会社の定款の目的は以下:

(1)不動産の仲介、売買、管理、賃貸及び斡旋
(2)宅地建物取引業法に基づく宅地建物取引業
(3)不動産に関するコンサルタント業務
(4)損害保険代理店及び生命保険の募集に関する業務
(5)ファイナンシャルプランニング業
(6)内装工事請負業
(7)飲食店の経営
(8)雑貨及び衣料品の販売及び輸出入
(9)インターネットを利用した通信販売業
(10)前各号に附帯関連する一切の事業

  • なお当社は当期、かなりの利益計上が見込まれる。

 

結論

理屈上は、以下の理由にあるとおり、会社経費に計上する合理性はないと考える。

 

理由

まず、会社経費に認められるためには、事業関連性、つまり「会社の事業に関連した支出であること」が基本である。

会社の事業とは、定款の目的に記載されている。当社の場合、仮に、「マナー教室への参加」の支出であれば、現在の不動産仲介業に関連するので、研修費として会社経費計上は許容される。

ゆえに、ネイルサロンの開業が、上の会社の定款の目的に明記されていれば、不動産仲介業とネイルサロン経営は、(例えば、そば屋がうどん屋を新設するのは違って)各々が別の事業のため、開業準備費用として計上することが可能。

しかし、現在の上の会社の定款の目的の文言解釈をしても、ネイルサロンは合致しないと判断するため、会社の経費に計上することはできないと考える。

以上の点は、「今からすぐに」定款の目的に「ネイルサロンの経営」を追加し、(公証役場への定款認証は不要で)法務局で変更登記をすれば、クリアされる。

定款の目的の変更の変更登記は、印紙税が2万円、司法書士等の手間賃が2万円前後、といったところ。自身でやれば印紙税の分だけで済む。

では、「今は定款の目的の変更はせず、税務調査や、税務署から問い合わせがあったときに、急いで変更したら?」と考えるかもしれないが、趣旨からは、事前に変更しないと意味がない。

また、法人税では、形式以上に、実態判断が認められる。

例えば、「奥様がネイルサロンの学校を卒業し、速やかに開業した。ただし定款の目的の追加の変更を忘れていた」としたら、、それでもネイルサロンの営業の実態があるので、戻ってネイルサロンの学校の支出は会社経費に認められる。

★もしも、「学校を卒業後、開店準備行為の開始前のタイミングにピンポイントで、税務署から問い合わせが来たら、、、アウト」ということになる。

★逆にいうと、「上の定款を変更しても、学校を卒業したところまでで、開業準備行為をしなかったら、、、アウト」ということになる。

 

補足

あとは、相対でご説明します (^o^)