下請法に基づいて受領した遅延利息の、消費税上の課非判定は?

問題の所在

以下の事例:

・上場会社のグループ会社(非上場、小規模会社)において、下請代金支払遅延等防止法(いわゆる下請法)の第四条の二に該当する受取利息を得た:

(遅延利息)
第四条の二
親事業者は、下請代金の支払期日までに下請代金を支払わなかつたときは、下請事業者に対し、下請事業者の給付を受領した日(役務提供委託の場合は、下請事業者がその委託を受けた役務の提供をした日)から起算して六十日を経過した日から支払をする日までの期間について、その日数に応じ、当該未払金額に公正取引委員会規則で定める率を乗じて得た金額を遅延利息として支払わなければならない。

この受取利息の課非判定は?

直感的には、(受取/支払い)利息は非課税取引だが、、、、

まず、国税庁hpの以下の①②の規定を:

 

① No.6201 非課税となる取引

https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shohi/06/03.htm

(以下、一部抜粋。太字は引用者加筆)

(4) 預貯金の利子および保険料を対価とする役務の提供等

預貯金や貸付金の利子、信用保証料、合同運用信託や公社債投資信託の信託報酬、保険料、保険料に類する共済掛金など

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② 第3節 利子を対価とする貸付金等関係

https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shohi/06/03.htm

(以下、一部抜粋。太字は引用者加筆)

6-3-1 法別表第二第3号《利子を対価とする貸付金等》の規定においては、おおむね次のものを対価とする資産の貸付け又は役務の提供が非課税となるのであるから留意する。(平11課消2-8、平13課消1-5、平14課消1-12、平15課消1-13、平19課消1-18、平20課消1-8、平22課消1-9、令5課消2-9により改正)

(1) 国債、地方債、社債、新株予約権付社債、投資法人債券、貸付金、預金、貯金又は令第9条第4項《支払手段に類するもの》に規定する特別引出権の利子

消費税法施行令
(有価証券に類するものの範囲等)
第九条 法別表第二第二号に規定する有価証券に類するものとして政令で定めるものは、次に掲げるものとする。
(1項から3項は、引用者省略)
4 法別表第二第二号に規定する支払手段に類するものとして政令で定めるものは、電子決済手段、資金決済に関する法律第二条第十四項に規定する暗号資産及び国際通貨基金協定第十五条に規定する特別引出権とする。

★特別引出権とは、、、、国際通貨基金(IMF)が出資比率に応じて加盟国に割り当てる仮想通貨、だそう。。。

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・本件の元本(!?)は売掛金であって、預貯金でも貸付金でもない、、、この点を強調すると、この事例の利子(=利息)は非課税ではない?

・なら不課税?いや売掛金を構成している以上、不課税はありえない?、、、では課税?

 

結論

非課税売上でOK。

 

理由

以下の記事がダイレクトで参考になる:

支払い遅延利息の消費税区分

https://www.zeiri4.com/c_1076/c_1077/q_63057/

(以下、一部抜粋)

支払い遅延利息の消費税区分

宜しくお願い致します。
下請法に該当する業務(金融業でない修理業等の役務の場合)の売掛金の支払いに遅延が発生した場合、下請法遅延利息の規定利率通り遅延利息が支払われた時の消費税区分は非課税となるのでしょうか。
金融業務でない場合の売掛金支払い遅延料は実質割増し料金として消費税課税となる場合とは異質の扱いとなるのか分からなく、ご教示頂けましたら幸いです。

税理士の回答

土師弘之

遅延に伴い発生する費用は、支払利息の性格を持つものであれば非課税、(課税)代金の割増しの性格を持つものであれば課税となります。
下請法(下請代金支払遅延当防止法)に規定する遅延利息(法第四条の二)は、「その日数に応じ、当該未払金額に公正取引委員会規則で定める率を乗じて得た金額を遅延利息として支払わなければならない。」と規定しているところから、支払利息としての性格を持つものと認められますので、「非課税取引」となります。

解答を頂きまして有難うございます。

消費税が非課税となる利子等は預貯金や貸付金の利子など金融取引等によるものが対象だと考えますが、下請け代金の支払遅延はその規約が明確化されていることから、役務提供の割り増し料金ではなく、金融取引として考えるのが妥当なのでしょうか。例えば支払遅延損害金の場合は消費税課税になるケースがあり得ると思いますが、規約や契約の有無でも非課税か課税かの判断に影響を与えるものでしょうか。

土師弘之

規約や契約の有無だけで課非判定に影響を及ぼすのではなく、実質的にどのような取引であるかによって課税非課税が判断されます。
遅延損害金が遅れた分の利息に相当する場合は利息として非課税取引になりますし、取り立ての事務手数料に相当する場合は手数料として課税取引になります。
下請法には、わざわざ「利息」と明記し、しかも、遅れた日数に応じて計算するとしているので、利息以外の何物でもありません。

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以下の国税庁の記事はこの事例にダイレクトではないが、参考にはなる:

No.6241 売掛債権とは別に請求する利子

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6241.htm

(以下、一部抜粋。赤太字は引用者加筆)

概要

預貯金や貸付金の利子、公社債の利子および手形の割引料など利子を対価とする金融取引については非課税とされていますが、売上代金を手形により回収する場合には、手形の支払期間に応じて計算した利息相当額を売上代金とは別にして請求することがあります。このような場合、その利息相当額が適正金利に相当する金額であるときは、売上代金部分だけが課税標準となり、利息相当額は非課税となります。

根拠法令等

消法6、消法別表第2三、消令10、消基通6-3-1・5

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補足

当該事例の取引は、まず直感的には非課税取引であろう。それを具体的な規定で確認しようとするとハマってしまう。

立法論的には、消費税施行規則第10条の限定列挙の規定で、

・「預貯金や貸付金の利子」と、等を入れておく(そうするとこの延滞売掛金が該当する)か、

・単に「利子、利息」とだけ規定する、

でよかったのでは? (*^^*)