法人で新車を購入時にローンを組み、毎月均等額を支払っていく場合の仕訳は?

問題の所在

法人で車輌を購入する際、ローンを組む場合の仕訳を考えると、つい、リース取引的に考えてしまうが、中小企業の仕訳でいいので、それを確認したときの備忘メモ。

特に、支払明細書で、「毎月均等額の支払い」「その毎回の支払金額中、支払利息の金額は不明」のケース。

 

結論

1)取得時+割賦払い:

(借)車両 110  (貸)長期未払金 110

2)毎月の支払い時:

(借)長期未払金 11  (貸)普通預金 10

 

★単純で、支払利息相当額を、取得価額に含める。

★長期前払費用a/cは使わない。

 

理由

以下の記事がまとまっている ★記事の主旨はコスト比較であるがその前の解説が秀逸:

Q172【徹底比較】割賦購入の会計処理・割賦手数料の取扱いは?/リース購入とどちらが得?

Q172【徹底比較】割賦購入の会計処理・割賦手数料の取扱いは?/リース購入とどちらが得?

(以下、一部抜粋)

1. 会計処理・税務上の取扱い

(1) 固定資産本体価格

割賦で購入する場合も、固定資産を購入する点では「現金一括払」と違いは全くないため、固定資産本体部分は「固定資産」で計上します。

(2) 割賦手数料の取扱い

割賦で購入する場合は、「割賦手数料」が含まれているため、固定資産「本体価格」よりも「支払総額」が多くなるのが一般的です。「割賦手数料」の実質内容は、返済期間に応じた「利息」となります。
「割賦手数料」については、税務上は、下記2つの処理が認められています。

原則取得価格に含める
例外「支払利息」として区分して期間按分

税務上は、実務上の便宜を考慮して、原則として「割賦手数料」部分を区分せず、取得価格に含めて処理することとされています。
ただし、①購入代価と②割賦期間分の利息等が明らかに区分されている場合は、「支払利息」として別建処理し、期間按分することが認められています。

 

2. 具体例

2020年4月に、新車を割賦(ローン)で購入した。
・車両本体価格 3,300(本体3,000、消費税300)
・割賦手数料  500(購入時に一括払するものとする)
・支払総額   3,800● 車両の法定耐用年数:6年(定率法、償却率0.333)
● ローン返済期間:5年(60か月)
● 3月決算の法人とする

※諸費用については省略。車購入時の会計仕訳については、Q56をご参照ください。

 

(1) 原則的な会計処理(手数料を取得価格に含める)

① 取得時

借方貸方
車両運搬具(※1)3,500長期未払金3,800
仮払消費税(※2)300

(※1)3,000+500=3,500
(※2)3,000×10%=300

● 支払期間は5年ですが、消費税は購入時に全額控除可能です。
● 割賦手数料部分は「消費税非課税」ですので、会計ソフト上、本体価格3,000に対応する消費税300は、手入力しないといけない点に注意しましょう。

② 決算時

借方貸方
減価償却費1,165車両運搬具1,165

● 3,500千円×0.333=1,165

原則法では、割賦手数料部分も、固定資産の減価償却計算を通じて償却されますので、実務的には楽ですね。

 

(2) 例外的な会計処理(手数料を支払利息として期間按分)

① 取得時

借方貸方
車両運搬具(※1)3,000長期未払金3,800
長期前払費用(※1)500
仮払消費税(※2)300

(※1)車両本体価格のみが車両運搬具、割賦手数料は「長期前払費用」として、期間に応じて費用化します。

② 決算時

借方貸方
減価償却費(※1)999車両運搬具999
支払利息(※2)100長期前払費用100

(※1)3,000×0.333=999
(※2)500 ÷ 60か月 × 12ヶ月=100

●例外処理の場合の初年度費用合計は1,099(減価償却費999+支払利息100)。
原則処理での費用額1,165と金額が異なってくる点に注意しましょう。

●例外処理では、本体「車両運搬具」部分は定率法、「支払利息」部分は均等償却となるため、原則法とは毎年費用になる金額が異なってきます(割賦期間5年間トータルで比較した場合の「費用合計額」は同じ)。

 

3. 実務上の取扱い

実務上は、契約書や返済予定表で「利息部分」が明示されていない場合が多く、かつ処理も平易であることから、中小企業では「原則法」で処理する場合が多いと思います。
初年度費用額も、ほとんどの場合、「原則法」での会計処理の方が多くなります。

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補足

上の、

>● 割賦手数料部分は「消費税非課税」ですので、会計ソフト上、本体価格3,000に対応する

>消費税300は、手入力しないといけない点に注意しましょう。

に留意!