s社様用)入社時に雇用保険を申請し忘れていたが、退職時に遡及して2年分だけ加入してあげるか否かの考え方は?
問題の所在
以下の事例:
・当社の兄弟会社のS社は警備業。本社は神奈川県にあるが、栃木県にも後述の取引がある。
・従業員のうちM氏は、以前、警備会社に勤務していた経験を買われて、平成28年3月1日入社。
・M氏は形式的には従業員であるが、専ら営業担当であり、かつ歩合計算で給与が決められる。
・理由は今では不明であるが入社時にM氏の資格取得届は不提出で、毎月の給与からも雇用保険分は源泉してこなかった。
・s社の従業員が3名以上であるため、住民税は毎月、給与から控除してきた。所得税の源泉徴収も控除してきた。
・以上の事情から、毎年、7/10までに提出する労働保険申告書では、M氏は、労災分ではカウントするが、雇用保険分ではカウントしてこなかった。
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・今般、令和6年12月を目処に、S社株式を譲渡する契約が進行中。
・当該譲渡契約の相手方の目的は、神奈川県で開催予定の来年のイベントに係る公共案件の受注上、入れ物としてのS社を欲しているよう。
・その意味では、神奈川県とは関係ない栃木県の取引先や、それに関するM氏は、本音では不要と推察されるが、株式譲渡ゆえ包括承継ゆえ、雇用契約を引き継ぐ予定。
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・今回の、令和6年7月10日提出の労働保険申告書において、仮に、従来通り、雇用保険分でカウントしないで作成した場合、株式譲渡契約の最終局面で、M氏が自由意思で退職を選択した場合には、直後に失業保険はgetできないことになる。
・この株式譲渡については、まだM氏には伝えていない。
・以上の経緯から、M氏へ、①以上の株式譲渡のスケジュールを説明し、②本人の就業の継続の希望の有無を確認したいが、まだ伏せている。
・雇用保険の点だけから考えると、本人に早く伝えて、引き続き就業するか退職するかをはっきりさせてほしいが、「仮に退職する意思表示と、失業保険を受けられるハズだと主張された場合、どうなるか?
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① 雇用保険に加入していないと退職時に、離職票に添付する資格喪失届が渡せない。つまり離職票が渡せない。それらを渡せないと失業保険を受けられない。
② ただ、当社の社長も同意すれば、ミスとして申請し、過去に最大2年分は遡及して雇用保険に加入させることは可能。
★以下の記事が参考になる:
雇用保険の手続きを忘れていたときの対処法 [2013.12.27]
(以下、一部抜粋)
雇用保険の資格取得(入社手続き)を忘れていた場合、過去に遡って手続きを行うことはできますが、原則として2年間しか遡ることができません。
2年以上前から入社をしていた場合、本人の雇用保険加入期間が少なくなり、本人が退職した時に失業給付の額に影響が出る可能性があります。(失業給付は、加入期間によって支給額が変わります。)
ただし、例外として2年以上遡って手続きすることも可能です。
この場合は、当該2年以上前の期間について雇用保険料を天引きしていた事実が必要となります。つまり、過去の賃金台帳を提出して「前から雇用保険に加入しているという前提で保険料天引きをしていたが、たまたま手続きを忘れていただけだ」という状態でなければ2年以上の遡り手続きはできません。
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そうすると、雇用保険の加入を遡及できない期間は、「入社時の平成28年3月から、(本日から2年前、つまり令和6年6月から2年前の)令和4年6月まで」の、6年3ヶ月間が未加入期間になる。
。。。。で、結局、どうする?
結論
最後、M氏が、株式譲渡先への就業を断り、自己都合での退社を選択した場合には、以下を伝える。
・離職票は出せない。(正確に言うと、添付書類の資格喪失届がない)
・M氏と当社との契約の実態は雇用契約ではなく請負契約のため、入社当時に雇用保険の加入条件のうち、「雇用期間が31日以上である場合」を満たさない。
仮に資格取得届を提出してその時に好運に受理されたとしても、その後になにかの事情で確認され否認されたら、当社もハローワークを騙したとペナルティを受けるリスクがある。
・だから、敢えて入社時に資格取得届を提出しなかった。
・それは毎月の給与明細でも雇用保険分を控除していないことでわかるでしょ。
理由
(以下、一部抜粋)
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補足
参考になる記事は以下の2つ:
①
②
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