L様用)貸倒引当金の会計方針で「法定繰入率+個別引当」を採用している場合の将来減算一時差異の金額は?

問題の所在

非上場ではあるが、グループ会社決算の会社であるためか、会計上の貸倒引当金の会計方針は、

① 一般債権については貸倒実績率(→運用上、税法基準すなわち、一括評価分について法定繰入率(この場合3%)で計上)

② いわゆる貸倒懸念債権分について、個別100%引当計上

であるが、

対応する税法限度額は、②の分の金額には単純には一致しないいことの備忘メモ。

 

結論

対応する税法限度額は、

①’=①と同額

②’=①と同様=②の3%相当額

のため、

・会計上の計上額=①✕3%+②✕100%

・税務上の損金算入限度額=(①+②)✕3%

となり、将来減算一時差異の金額は、②✕97%、となる。

 

理由

具体的に金額例で確認すると、長期貸付金a/c 300 = ①一括評価分100 + ②100、とすると、

会計上の貸倒引当金a/cは、以下から103。

① 一括評価分について、法定繰入率(この場合3%)で計上 → 100✕3%=3

② いわゆる貸倒懸念債権分について、個別100%引当計上 → 100✕100%=100

他方、税務上の損金算入限度額は、以下から6。

①’=①と同額 → 3

②’=①と同様=②の3%相当額 → 3

∴ 将来減算一時差異は、103-6=97であり、これを短絡的に②の100そのまま、と誤解なきよう。

 

補足

実際の将来減算一時差異の金額の算出は、別表十一(一の二)上で算出するのがベター。