M社様用)M社といわゆる兄弟会社であるT社様での、給与等の支給額が増加した場合等の法人税額の特別控除の判定上の「中小企業者」に該当する?

問題の所在

以下の記事で、給与等の支給額が増加した場合等の法人税額の特別控除の判定上の「中小企業者」の該当の有無を検討した:

L社様用、M社様用)いわゆる賃上拡大促進税制でいう「中小企業者」とは?「大規模法人」とは?

上の記事の中のM社の兄弟会社であるT社についても中小企業者 への該当の有無の調査を依頼されたので、検討した際の備忘メモ:

M2社

  • 100%親会社。
  • 親会社の資本金が、6億5,000万円台、自社の資本金は3,000万円。
  • 親会社の期末時点での従業員数が、1,500人超。自社の従業員数は150人。

T社

  • 100%親会社。
  • 親会社の資本金が、6億5,000万円台、自社の資本金は1,000万円。
  • 親会社の期末時点での従業員数が、1,500人超。自社の従業員数は10人。

 

結論

M2社

中小企業者の要件のうち、

(1)以下のいずれかに該当する法人

の当該いずれかのうち1つが該当しないため、中小企業者の要件を満たさない。

T社

中小企業者の要件のうち、

(1)以下のいずれかに該当する法人

に該当するため、中小企業者の要件を満たす。

 

理由

まず、中小企業庁のhpにピンポイントで「中小企業者」の定義が表形式でアップされているが、その脚注に「上記にあげた中小企業の定義は、中小企業政策における基本的な政策対象の範囲を定めた「原則」であり、法律や制度によって「中小企業」として扱われている範囲が異なることがあります。」とあるため、これは参考程度:

中小企業・小規模企業者の定義 1.中小企業者の定義

https://www.chusho.meti.go.jp/soshiki/teigi.html

 

次に、現行の、いわゆる賃上促進税制の記事をアップ:

中小企業向け「賃上げ促進税制」(令和4年4月1日から令和6年3月31日までの間に開始する各事業年度が対象)

制度詳細については「中小企業向け賃上げ促進税制ご利用ガイドブック」、「中小企業向け賃上げ促進税制よくあるご質問Q&A」をご覧ください。

https://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/zeisei/syotokukakudai.html

 

そのガイドブックが以下で、その中での中小企業者の意義は以下の2ページ:

https://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/zeisei/syotokukakudai/chinnagesokushin04gudebook.pdf

そのQ&Aが以下で、その中での中小企業者の意義は以下のQ1:

https://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/zeisei/syotokukakudai/chinnagesokushin04qa.pdf

 

いずれも一言一句同じ文言で以下:

(中小企業者等)

青色申告書を提出する者のうち、以下に該当するものを指します。

(1)以下のいずれかに該当する法人
  (ただし、前3事業年度の所得金額の平均額が15 億円を超える法人は本税制適用の対象外)

①資本金の額又は出資金の額が1億円以下法人
 ただし、以下の法人は対象外
 ・同一の大規模法人(資本金額若しくは出資金が1億円超の法人、資本金若しくは出資を有しない法人
のうち常時使用する従業員数が 1,000 人超の法人又は大法人(資本金の額又は出資金が5億円以上
である法人等)との間に当該法人による完全支配関係がある法人等をいい、中小企業投資育成株式会社
を除きます。)から2分の1以上の出資を受ける法人
 ・2以上の大規模法人から3分の2以上の出資を受ける法人

②資本又は出資を有しない法人のうち常時使用する従業員数が 1,000 人以下の法人

(2)常時使用する従業員数が 1,000 人以下の個人事業主

(3)協同組合等(中小企業、出資である商工※)
  ※協同組合等に含まれる組合は、
農業協同組合、農業連合会、
   中小企業等協同組合、
出資組合である
商工組合及び商工組合連合会、内航海運組合、
出資組合である生活衛生同業組合、
漁業協同組合、漁業協同組合連合会、水産
加工業協同組合、水産加工業協同組合連会、
森林組合並びに森林組合連合会です。

上のオレンジ部分がわかりにくいため、分解すると、

同一の大規模法人(資本金額若しくは出資金が1億円超の法人、資本金若しくは出資を有しない法人のうち常時使用する従業員数が 1,000 人超の法人又は大法人(資本金の額又は出資金が5億円以上である法人等)との間に当該大法人による完全支配関係がある法人等をいい、中小企業投資育成株式会社を除きます。)から2分の1以上の出資を受ける法人

同一の大規模法人(資本金額若しくは出資金が1億円超の法人、資本金若しくは出資を有しない法人のうち常時使用する従業員数が 1,000 人超の法人又は大法人(資本金の額又は出資金が5億円以上である法人等)との間に当該大法人による完全支配関係がある法人等をいい、中小企業投資育成株式会社を除きます。)から2分の1以上の出資を受ける法人

同一の大規模法人資本金額若しくは出資金が1億円超の法人資本金若しくは出資を有しない法人のうち常時使用する従業員数が 1,000 人超の法人又は大法人(資本金の額又は出資金が5億円以上である法人等)との間に当該大法人による完全支配関係がある法人等をいい、中小企業投資育成株式会社を除きます)から2分の1以上の出資を受ける法人

大規模法人 の要件は、以下の「1,2,又は3をいい,中小企業投資育成株式会社を除きます」つまり、いずれかを満たすこと:

  1. 資本金額若しくは出資金が1億円超の法人
  2. 資本金若しくは出資を有しない法人のうち常時使用する従業員数が 1,000 人超の法人
  3. 大法人(資本金の額又は出資金が5億円以上である法人等)との間に当該大法人による完全支配関係がある法人等
  4. 中小企業投資育成株式会社を除きます

以上をこの事例に当てはめると、

  1. 資本金額若しくは出資金が1億円超の法人
    → M2社は100%親会社の資本金は6億円台なので1億円超であるため、該当する
    → T社は100%親会社の資本金は6億円台なので1億円超であるため、該当する
  2. 資本金若しくは出資を有しない法人のうち常時使用する従業員数が 1,000 人超の法人
    → 
    M2社もT社も、100%親会社がそもそも資本金を有しているので、該当無し
  3. 大法人(資本金の額又は出資金が5億円以上である法人等)との間に当該大法人による完全支配関係がある法人等をいい、中小企業投資育成株式会社を除きます
    → M2社は、100%親会社の資本金は6億円台であり、5億円以上であるため大法人に該当し、
    かつ、100%親会社なので完全支配関係がある。
    → T社は、100%親会社の資本金は6億円台であり、5億円以上であるため大法人に該当し、
    かつ、100%親会社なので完全支配関係がある。
  4. 中小企業投資育成株式会社を除きます
    → 100%親会社は中小企業投資育成会社ではないため、該当無し

となり、

・M2社は該当アリ。

・T社も該当アリ。

ゆえに、戻って、事例の会社は、

 

M2社、T社ともに

(中小企業者等)

青色申告書を提出する者のうち、以下に該当するものを指します。

に該当しない。

 

補足

特記事項なし