【2024/9/13修正】B様用)残債が残っている個人所有の車輛に係る支払を、法人の帳簿へ計上するには?
問題の所在
以下の事例:
・個人事業主を1年(=12ヶ月)経て、法人成り。
・個人事業主の時に、仕入業務用にアルファードをローンで購入。
・「法人化したので、アルファードを法人へ譲渡したい。」とのことだったので、簿価で法人で取得し、役員借入金(債務)a/cで計上し、減価償却費を計上してきている。
・なお譲渡価額は減価償却後の簿価(=時価相当額)。
・形式については、自動車売買契約書ドラフトは作成済。
・名義はまだ個人のまま。
・ローンの支払いは、トヨタクレジットカード(個人名義)の支払いの中に含められて、個人名義の普通預金口座から毎月引き落とされている。(つまり会社から支払ってはいない)
結論
「個人から会社へ、経費や支払の、どこまで移転が可能か?」で、以下の場合分けになる:
① 維持費(=ガソリン代、自動車税)まで → 使用貸借契約まででOK
【メリット】「所有者の名義変更」や「実際の分割返済の支払い」をパスできる。
【デメリット】個人から会社へ移転する範囲が限定的。
② 上の①+ローン支払いまで → 賃借料契約まででOK
【メリット】「所有者の名義変更」や「実際の分割返済の支払い」をパスできる。
【デメリット】オーナーに賃料収入が生じ、事業所得の確定申告が不可避。
③ 上の①+減価償却費+ローン支払いまで → 売買契約+「所有者の名義を変更や、実際の資金移動」が必要
【メリット】譲渡なので、個人の支払いを全部会社へ移転できる。
【デメリット】「所有者の名義変更」(=実際に陸運局で名義変更の手続きをする)や「実際の分割返済の支払い」が不可避。
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上の①②③の仕訳は以下 ★なお当社は個人名義の普通預金とクレジットカードでの支払いが多いためそれらをオンブックしている前提:
上の①(=個人から会社へ売却はせず、使用貸借のみのケース):
取得時)(取得していないので)仕訳なし
毎月 )都度、ガソリン代等の支払い計上のみ
上の②(=個人から会社へ売却はせず、借りて賃借料を支払うケース):
取得時)(取得していないので)仕訳なし
毎月 )(借)役員借入金(返済専用)a/c 10 (貸)普通預金(個人名義)a/c 10
@@@@@@@賃借料a/c 10 (貸)普通預金(会社名義)a/c 10
@@@@@@@普通預金(個人名義)a/c 10 (貸)役員借入金(債務)a/c 10
上の②の省略版(=収支は実行せず、賃借料a/cで損益だけ取り込むケース):
取得時)(取得していないので)仕訳なし
毎月 )(借)役員借入金(返済専用)a/c 10 (貸)普通預金(個人名義)a/c 10
@@@@(借)賃借料a/c 10 (貸)役員借入金(債務)a/c 10
上の③(=個人から会社へ売却し、名義変更までするケース):
取得時)(借)車両運搬具a/c 600 (貸)長期未払金(アルファード)a/c 600
毎月 )(借)長期未払金(アルファード)a/c 10(貸)普通預金(会社名義)a/c 10
@@@@@@@普通預金(個人名義)a/c 10 (貸)役員借入金(債務マイナス)a/c 10
@@@@@@@役員借入金(返済専用)a/c 10 (貸)普通預金(個人名義)a/c 10
@@@@@@@減価償却費a/c 10 (貸)車輛運搬具a/c 10
上の③の圧縮のケース:
取得時)(借)車両運搬具a/c 600 (貸)役員借入金(債務)a/c 600
毎月 )(借)役員借入金(債務)a/c 10 (貸)普通預金(個人名義)a/c 10
@@@@@@@減価償却費a/c 10 (貸)車輛運搬具a/c 10
なお、上の①で以下の仕訳は一見OKに見えるが、、、、
(番外)個人から会社への売却まではしない(名義変更まではしない)が、会社の資産には計上する:
取得時)(借)車両運搬具a/c 600 (貸)役員借入金(債務)a/c 600
毎月 )(借)役員借入金(債務)a/c 10 (貸)普通預金(個人名義)a/c 10
@@@@@@@減価償却費a/c 10 (貸)車輛運搬具a/c 10
コメント)民法の使用貸借では減価償却費は計上できないため、不可。
【参考】この点は以下の記事くらいしかない:
使用貸借の場合における所得税の必要経費について
https://www.cs-acctg.com/column/kaikei_keiri/004934.html
(以下、一部抜粋)
今回の場合は使用貸借に該当しますので、不動産所得を生ずべき業務の用に供されている資産には該当しませんので、固定資産税、減価償却費等は不動産所得の金額の計算上必要経費に算入することは出来ません。
理由
以下の記事が参考になる:
Q40【経費の範囲は?】個人名義の車両はどこまで経費?個人と法人の違い/仕訳・按分方法
(以下、一部抜粋)
2.法人の場合
したがって、個人名義の車両を「法人側」で経費にするためには、なんらかの「法的構成」が、背景として必要です。
具体的に考えられる方法は、以下の通りです。
(1) 車両を法人が買い取る
個人名義の車両を、個人から法人が「買い取れ」ば、車両は法人名義となりますので、車両本体価格は「減価償却」を通じて経費にすることができます。
また、関連の維持費等(駐車場、ガソリン、高速代等)も全額経費計上ができます。
なお、車両を法人が買い取る場合は、名義変更等に手数料がかかったり、陸運局での対応等、少々手間は生じます。
(2) 個人から会社が賃借する
個人名義のまま、法人で利用する場合は、個人から法人が「賃借」する形をとります。
あくまで法人は、個人から車両を借りているだけですので、車両価格本体は経費にできませんが、賃料や関連維持費(駐車場、ガソリン、高速代等)については、経費計上が可能です。この場合は、名義変更等の手間は生じません。
ただし、賃借料を「有料」に設定した場合は、法人側では賃借料を「経費計上」できる一方、個人側で「賃料収入」が発生しますので、場合によっては、個人側で「確定申告の義務」が生じる場合があります。したがって、実務上は、賃借料を無償とする「使用貸借契約書」を、個人と法人間で締結しているケースが多いかもしれません。
補足
なお、法人⇔個人の寄附金課税にについても上のリンク先の記事の後半で開設されている:
(以下、一部抜粋)
3. 高級車は??どこまでが経費?
一般的に仕事で利用する車であれば、「無難な車」を選択することが多いと思います。
しかし、税務上は、どういった車までが経費にできるという「具体的な基準」があるわけではありません。
逆に言うと、「ベンツ」や「ポルシェ」が×・・という基準もありません。
「支出額の妥当性」という論点は、「経営判断」に依拠する場合も多く、税務署も「具体的な反証が難しい」のが・・現実だと思います。
ただし・・税務署は、業種や規模ごとの「経費の目安のデータベース」を持っていると考えられ、同業同種の他社との比較で、おかしいのか?適正なのか?という指摘をしてくることも多いです。
例えば、売上が1,000万しかないのに、1,500万円の車を購入していたら・・?税務署も・・ちょっとあやしい?と思うでしょう。逆に、外車ディーラーの社長様は、自分の会社の車を「販促用」に利用するケースも想定されます。こういった場合は、「経費」の説明もスムーズかもしれません。
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また、個人事業主時代の乗用車を法人化後に法人で計上する際の留意点については、ググるとたくさんの記事がヒットする(赤太字は引用者)
①
個人名義の車を手放すのではなく、自分の法人で買い取る際の注意事項について
https://advisors-freee.jp/qa/tax/2019
(以下、一部抜粋)
まず、1.法人サイドと2.個人サイドで分けて考える必要があります。
1.【法人サイドの注意事項】
法人サイドでは、さらに①ローン残金の支払い、②車の取得価額に分けて考える必要があります。
①ローン残金の支払いについて。
ローン残金を法人が肩代わりして一括返済するということは、法人が個人に対して同額の債権を持つということに他なりません。
ローン残金が「役員借入金残高と②でご説明します車の取得価額を合わせた額」以下あれば、特に問題はありません。
しかし、もしローン残金が「役員借入金の残高と②の車の取得価額を合わせた額」を超える場合は、その差額を車の引き渡し時に個人から法人に支払う必要があります。差額を支払わなかった場合、役員貸付金となり、認定利息を計上する必要が出てきます。
②車の取得価額について。
車の取得価額は、ローン残金とは関係なく時価で計上します。
2.【個人サイドの注意事項】
車の時価が取得費と同額程度でしたら、特に税務上留意すべきことはありません。
ただし、もし希少性のある車など取得費に比べて時価が高額となる場合、譲渡所得が発生し、それに対応する所得税を納める必要があります。
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➁
個人でローンを組んだ車両を法人で支払うことはできますか(法人で使う前提で購入しています)
https://www.zeiri4.com/c_1032/q_75080/
(以下、一部抜粋)
個人のローン返済を法人に負担させることは出来ません。
方法として考えられるのは、法人に賃貸して適正な賃料を受け取りそこからローン返済の一部に充てることです。
なお、法人からの賃料は収入として所得税の課税対象になります。
自身が経営する法人でも、法人と個人は別人格で財布も資産も別モノというのが原則です。
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③
法人成りした際の減価償却とローン残高について
https://advisors-freee.jp/qa/launch/1010
(以下、一部抜粋)
個人事業の簿価を、法人に移してそのまま償却で問題ないです。
法人口座での引き落としでも可能です。その時は、債務引き受け契約を個人と結ぶことになります。
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④
【税理士監修】自家用車を会社で買い取って節税!具体的な手順と注意すべきこと
https://ore-son.com/setsuzei-car/
(以下、一部抜粋)
車を法人名義にする具体的な手順と注意点
適正な価格設定をする
まず検討しなければいけないのは、いくらで譲渡するかです。
経営者と自分の会社の間の譲渡なのでいくらでもいいと考えがちですが、必ず時価(取引相場)で譲渡を行いましょう。この金額が相場と比較してあまりにも高かったり安かったりすると、利益の移転があったとみなされて課税されます。
例えば、時価200万円の中古車を50万円で会社に譲渡したとします。会社は150万円も安く車を手に入れたことになりますよね。極端な話、会社で買い取ってすぐに転売したら150万円儲かってしまうわけです。
税務上はそのような取引は認められず、これが税務調査などで指摘された場合には、その実質的に会社の利益である150万円に対して課税されてしまうことがあります。さらにここでは説明を省略しますが、売り手側の個人の方もみなし譲渡課税といって税金が取られてしまうこともあるんです。
また逆に買取価格が高すぎる場合でも、社長個人が利益を得たとして給与(会社が社長に給与を現物支給したとみなす)として所得税が課税されます。さらに役員である社長の給与は定期同額(事業年度の途中で変更できない)である必要があるため、この給与とみなされた金額は役員賞与として法人の損金として認められず、法人税が課税されます。
高くても安くても余計な税金が取られてしまいますので、必ず「時価」で取引する!ということを覚えてください。
ところで時価(取引相場)ってどうやって調べればいいのでしょうか。
時価とは一言でいうと第三者間で売買される取引相場なので、ネットで調べるのが手っ取り早いですね。会社で買い取りしようとしている車の車種、年式、走行距離、などをGooやカーセンサーなどの中古車検索サイトで確認しましょう。自分の車と似たような状態のものを見つけたら、その金額の記載されたページを2,3台分印刷しておきます。なぜ数台分なのかというと、たまたまその車だけが安かった(高かった)ということも有り得るからです。税務調査の際に、車の時価をちゃんと確認したと証明するために、証拠をちゃんと残すということですね。これを後述する次の手順で解説する契約書などと一緒に保管します。
譲渡契約書を締結し、金銭の授受を行う
会社に車の名義変更をする際には、法人と個人の間で譲渡契約書を結び、実際に会社から個人にお金を支払います。自分の会社だとこのあたりが適当になってしまいがちですが、第三者と取引したのと同じように明確な取引事実を作る必要がありますので必ずこの手順は守りましょう。税務調査では、しっかりとした取引事実があるということが重要になってきます。名義だけ変更してお金のやり取りも行っていない、契約書もないということだと税務調査では否認されてしまう可能性があります。
法人を設立したばかりだと、この車を買い取るお金が会社側になく、車両の購入代金を支払えないこともあります。その場合はローンのような形で返済計画を立てて個人に支払っていく形でもOKです。
陸運局で車両の名義変更を行う
個人と法人との間で契約書を締結しても、車検証に記載されている所有者が個人のままであれば、所有権が移転したという客観的事実として不十分ですし、実際に自動車税などの課税通知も法人ではなく個人に届くことになります。必ず名義変更を行いましょう。
名義変更の手順は割愛しますが、陸運局に行けば詳しく教えてくれます。
また会社の近くで新たに駐車場を借りる場合は、必ず法人名義で賃貸借契約を結びましょう。
これで駐車場代も法人の経費にすることができます。
手順としては以上3ステップです。
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また、名義変更の実務は以下:
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