フリンジ・ベネフィットって、法人で従業員の家賃負担をゼロで、給与所得もゼロとする方法なの?

問題の所在

お客様から、新卒採用の家賃補助に係る税務上の扱いに係る質問を受けて、レポートを書いていたら、

フリンジ・ベネフィットって、法人で従業員の家賃負担をゼロで、給与所得もゼロとするような記事があった。

フリンジベネフィットとは?意味や非課税となる支給方法・種類や問題点を解説

→ 所得税法上、家賃を全額、会社負担にできるのは、====以下の所得税基本通達9-9の例示列挙だけのはずだが、、、

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(職務の遂行上やむを得ない必要に基づき貸与を受ける家屋等)

9-9 令第21条第4号に規定する「職務の遂行上やむを得ない必要に基づき使用者から指定された場所に居住すべきものがその指定する場所に居住するため」に貸与を受ける家屋には、次に掲げるようなものが該当する。(平14課法8-5、課個2-7、課審3-142改正)

(1) 船舶乗組員に対し提供した船室

(2) 常時交替制により昼夜作業を継続する事業場において、その作業に従事するため常時早朝又は深夜に出退勤をする使用人に対し、その作業に従事させる必要上提供した家屋又は部屋

(3) 通常の勤務時間外においても勤務を要することを常例とする看護師、守衛等その職務の遂行上勤務場所を離れて居住することが困難な使用人に対し、その職務に従事させる必要上提供した家屋又は部屋

(4) 次に掲げる家屋又は部屋

イ 早朝又は深夜に勤務することを常例とするホテル、旅館、牛乳販売店等の住み込みの使用人に対し提供した部屋

ロ 季節的労働に従事する期間その勤務場所に住み込む使用人に対し提供した部屋

ハ 鉱山の掘採場(これに隣接して設置されている選鉱場、製錬場その他の附属設備を含む。)に勤務する使用人に対し提供した家屋又は部屋

ニ 工場寄宿舎その他の寄宿舎で事業所等の構内又はこれに隣接する場所に設置されているものの部屋

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結論

弊理解通りであり、家賃を無料にはできない。

ただ、給与から家賃分を控除(=天引き)することで、現物給付的な給与所得は生じないことになる。

 

理由

実は上の記事でも、そう言っている。

(以下、一部抜粋)

社宅

社宅の運営費用も福利厚生費として計上することができます。

企業が借りている賃貸住居を社員に貸し出す「借り上げ社宅」、土地・建物を会社が保有する「社有社宅」のどちらもこれに該当します。

一般の賃貸住宅を借りるより安い賃貸料で住まいを確保することができたり、人事異動で転勤となった場合の負担を軽減することができたりと、従業員にとってもメリットが大きい社宅制度。

給与の一部と見なされて所得税がかかる住宅手当とは異なり、給与から社宅の費用が引かれる形のため、課税の対象になりません。

ただし、非課税にするには家賃を通常の賃貸料の半額(賃貸料相当額)以上に設定する必要があります。賃貸料相当額は下記の合計で決まります。

  1. (その年度の建物の固定資産税の課税標準額)×0.2%
  2. 12円×(その建物の総床面積(平方メートル)/3.3(平方メートル))
  3. (その年度の敷地の固定資産税の課税標準額)×0.22%

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なお、別の記事も参照(といっても、ほとんど同じことを言っている):

フリンジベネフィットとは【企業導入事例や具体例を詳しく解説します】

https://global-saiyou.com/column/view/fringe

(以下、一部抜粋)

社宅の運営費用は福利厚生費として計上できます。企業が賃貸住居を借りて社員に貸し出す借り上げ社宅、会社が土地・建物を保有する社有社宅のどちらでも該当します。一般の賃貸住宅より安い賃貸料で住居を確保でき、人事異動で転勤となった従業員の負担を軽減できるなど、従業員にも大きなメリットがあります。住宅手当の場合は給与の一部と見なされて所得税がかかりますが、社宅の費用は給与から引かれる形になるので、課税の対象になりません。ただし、非課税にするには家賃を通常の賃貸料の半額以上に設定しなければなりません。

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補足

特記事項なし