【2025/12/27訂正 m(_ _)m】士業等の請求書について① 電車代等の税込金額の経費を、報酬の一部として得意先への請求書上でオンする場合、インボイス制度後の請求書どのように記載する?

問題の所在

コンサル、監査法人、税理士等で、お客様への請求書中、電車代等の経費を、業務委託契約書上「経費はお客様側の負担」の旨を明記して、請求書上でオンすることがある。(厳密には単なる立替金なので、よくない慣行かもしれないが)

例えば、請求書の様式が、

① 報酬 10,000円、

② 経費 110円

③ 小計(10%相当額) 10,110円

④ 消費税額 (10,110円×10%)=1,011円

⑤ 合計 10,110円+1,011円=11,121円

となってもOKなのか?

これは、経費に、二重に消費税がオンされていることになるが、OKなのか?

なお、相手側での仕入税額控除の金額は、11,121円÷1.1×0.1=1,011円になるが、
実際の仮払消費税等の金額である、1,000円+21円=1,021円とは10円差が生じる(相手は損になる)が、、、

 

結論

結果的に二重にオンされるが、それでOK。

【2025/12/27訂正】②の経費110円を、÷1.1して、100円に引き直した上で報酬と合計で税込みで請求する。具体的は以下の通り:

① 報酬 10,000円、

② 経費 110円、だが、÷1.1して、100円

③ 小計(10%相当額) 10,100円

④ 消費税額 (10,100円×10%)=1,010円

⑤ 合計 10,100円+1,010円=11,110円

なお、相手側での仕入税額控除の金額も、11,110円÷1.1×0.1=1,010円で、④と一致して整合する。

 

理由

金額まで落とし込まないと、経費をいったん÷1.1する点まで見えてこない。ここまで解説している記事は以下:

Q85 【立替交通費】外注等で立て替えた「交通費等」を請求する際の勘定科目は?/消費税や源泉所得税の取扱い/請求書の具体例

(以下、一部抜粋。なお赤太字部分は引用者加筆)

 

2.取引先への請求仕訳は、2種類

立て替えた「交通費等」を請求する際の勘定科目は、①立替金として実費精算する場合と、②交通費等を報酬に含めて請求する場合で異なります。

(1) 立替金として実費精算する場合

請求書上、「立替金部分」を、本体の売上とは区別して記載し、実費精算する場合です。請求書とは別に、「立替金精算書」などで、別途精算するケースもあります。
この場合は、本来、他人が負担すべき金額を一時的に肩代わりしただけですので、「資産や役務提供等の対価」に該当せず、消費税は課税されません。したがって、交通費支払時、取引先請求時とも、勘定科目は、消費税支払部分も含めて、税込額で「立替金(消費税対象外)」処理を行います。

当該ケースでは、取引先名義の領収書等を入手して、立替金精算時に添付するケースが一般的です。

なお、請求された取引先側は、ご自身が直接支払った交通費と同様、「旅費交通費(課税仕入)」で仕訳を行います。

(2) 報酬に含めて請求する場合

交通費を、立替金ではなく、報酬(=売上)の一部として請求するケースです。例えば、「出張費込の工事代金」などで請求するケースなどです。
この場合は、他人が負担すべき金額の請求ではなく、役務提供等の対価としての売上請求(消費税課税)となりますので、支払う際の交通費も、「消費税課税取引」となります。したがって、交通費支払時は、立替金ではなく、税抜額で「旅費交通費(課税)」処理を行い、取引先に請求した金額も、税抜額で売上(課税売上)処理を行います。

 

3.具体例

● 取引先への売上額10,000(消費税 別途1,000)
● 業務にあたって支払った交通費2,200(税込額)。当該交通費は、取引先に請求するものとする。

 

(1) 立替金として実費精算する場合

支払った交通費を、「立替金」として実費精算する場合、「立替金(消費税対象外)」の勘定科目で仕訳を行います。

借方貸方
交通費支払時(※)立替金(対象外)2,200現金(対象外)2,200
取引先請求時売掛金(対象外)13,200売上(課売)
仮受消費税
立替金(対象外)
10,000
1,000
2,200

(※)立替金の金額は「消費税込み」の金額となります。

 

 

【請求書の記載例】

金額
売上請求分(課税)10,000
消費税1,000
小計11,000
立替金(対象外)2,200
請求額13,200
(2) 報酬に含めて請求する場合

支払った交通費を、役務提供の対価(売上)として請求する場合、「旅費交通費(課税)」・「売上(課税)」の勘定科目で仕訳を行います。

借方貸方
交通費支払時旅費交通費(課仕)
仮払消費税
2,000
200
現金2,200
取引先請求時売掛金13,200売上(課売)(※)
仮受消費税
12,000
1,200

(※)本体10,000+交通費2,000(税抜額)=12,000
⇒交通費も含めた金額を、「課税売上」で計上します。集計金額は、立替金処理の場合と異なり、税抜額となります。

【請求書の記載例】

内容金額
売上本体請求分(課税)12,000
小計12,000
消費税1,200
請求額13,200

【注意事項】

なお、立て替えた交通費は税込額となりますので、「支払った額(=税込額)」に上乗せして消費税の請求はできません。したがって、交通費部分は、支払額ではなく税抜額(支払額÷1.1)を記載する必要があります。

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大前提で、契約書上、実費相当分がお客様側の「負担」の旨の文言があること(★当該文言がなかったら、立替金処理になる。)

そして、この場合には、業者側で支払った額(上の場合110円)が「実費」になる、「報酬と実費」の額が、課税対象額になる、という理屈。

なお、今回のインボイス対応上は、上の①から⑤のままでもOK。

 

補足

論点としては、課否判定になるので、消費税の厚めのQ&Aの専門書の、冒頭あたりに、解説されていることが多い。

例えば、令和4年版 消費税実務問答集 峨家誉之、清文社、p50、などで、国税庁hpの以下の質疑応答を丸ごと引用している:

実費弁償金の課税

https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shohi/02/12.htm

(以下、一部抜粋)

【照会要旨】

弁護士の収入の中には実費弁償たる宿泊費又は交通費が含まれていますが、これらの宿泊費や交通費は、立替金として処理していれば、課税の対象外として取り扱ってよいでしょうか。

【回答要旨】

弁護士の業務に関する報酬又は料金は、弁護士がその業務の遂行に関連して依頼者から支払を受ける一切の金銭をいうものと解されています。
したがって、実費弁償たる宿泊費及び交通費であっても、ホテルや交通機関等への支払が実質的に依頼者による直接払と認められるものでない限り、弁護士の報酬又は料金に含まれ課税の対象となります。
なお、依頼者が本来納付すべきものとされている登録免許税や手数料等に充てるものとして受け取った金銭については、それを報酬又は料金と明確に区分経理している場合は、課税の対象となりません(基通10-1-4(注))。

【関係法令通達】

消費税法第2条第1項第8号、消費税法基本通達10-1-4

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(参考)消費税法第2条第1項第8号

八 資産の譲渡等 事業として対価を得て行われる資産の譲渡及び貸付け並びに役務の提供(代物弁済による資産の譲渡その他対価を得て行われる資産の譲渡若しくは貸付け又は役務の提供に類する行為として政令で定めるものを含む。)をいう。

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なお、この論点インボイス対応の論点ではない。

だから、この点は、インボイス制度対応の論点として議論されることが少ないので、ググっても見当たらない。

インボイス制度は、基本的に、既存の制度に二階建てをしたもの。だから従来の論点(上の論点)の解釈は従前のままでOK。