士業等の請求書について① 電車代等の税込金額の経費を、報酬の一部として得意先への請求書上でオンする場合、インボイス制度後の請求書どのように記載する?
問題の所在
コンサル、監査法人、税理士等で、お客様への請求書中、電車代等の経費を、業務委託契約書上「経費はお客様側の負担」の旨を明記して、請求書上でオンすることがある。(厳密には単なる立替金なので、よくない慣行かもしれないが)
例えば、請求書の様式が、
① 報酬 10,000円、
② 経費 110円
③ 小計(10%相当額) 10,110円
④ 消費税額 (10,110円×10%)=1,011円
⑤ 合計 10,110円+1,011円=11,121円
となってもOKなのか?
これは、経費に二重に消費税がオンされていることになるが、OKなのか?
結論
結果的に二重にオンされるが、それでOK。
理由
大前提で、契約書上、実費相当分がお客様側の「負担」の旨の文言があること(★当該文言がなかったら、立替金処理になる。)
そして、この場合には、業者側で支払った額(上の場合110円)が「実費」になる、「報酬と実費」の額が、課税対象額になる、という理屈。
なお、今回のインボイス対応上は、上の①から⑤のままでもOK。
補足
論点としては、課否判定になるので、消費税の厚めのQ&Aの専門書の、冒頭あたりに、解説されていることが多い。
例えば、令和4年版 消費税実務問答集 峨家誉之、清文社、p50、などで、国税庁hpの以下の質疑応答を丸ごと引用している:
実費弁償金の課税
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shohi/02/12.htm
(以下、一部抜粋)
【照会要旨】
弁護士の収入の中には実費弁償たる宿泊費又は交通費が含まれていますが、これらの宿泊費や交通費は、立替金として処理していれば、課税の対象外として取り扱ってよいでしょうか。
【回答要旨】
弁護士の業務に関する報酬又は料金は、弁護士がその業務の遂行に関連して依頼者から支払を受ける一切の金銭をいうものと解されています。
したがって、実費弁償たる宿泊費及び交通費であっても、ホテルや交通機関等への支払が実質的に依頼者による直接払と認められるものでない限り、弁護士の報酬又は料金に含まれ課税の対象となります。
なお、依頼者が本来納付すべきものとされている登録免許税や手数料等に充てるものとして受け取った金銭については、それを報酬又は料金と明確に区分経理している場合は、課税の対象となりません(基通10-1-4(注))。
【関係法令通達】
消費税法第2条第1項第8号、消費税法基本通達10-1-4
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(参考)消費税法第2条第1項第8号
八 資産の譲渡等 事業として対価を得て行われる資産の譲渡及び貸付け並びに役務の提供(代物弁済による資産の譲渡その他対価を得て行われる資産の譲渡若しくは貸付け又は役務の提供に類する行為として政令で定めるものを含む。)をいう。
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なお、この論点インボイス対応の論点ではない。
だから、この点は、インボイス制度対応の論点として議論されることが少ないので、ググっても見当たらない。
インボイス制度は、基本的に、既存の制度に二階建てをしたもの。だから従来の論点(上の論点)の解釈は従前のままでOK。
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