賞与の源泉所得税の納付を失念しても、1か月以内に納付すれば不納付加算税は課されないって?
問題の所在
顧問先様で、夏季賞与の源泉所得税の納付を失念したので、延滞税の計算をしてほしいとご連絡があった。
延滞税は税務署側から計算され通知される旨をご説明し、納得いただいたが、念のためググった際の備忘メモ。
結論
そもそも賞与の源泉所得税の納付を忘れても、翌月に支払えば、延滞税は課されないよう。
具体的には、
(1) (確かに納付は遅れたが、納付の意思はあったと認められる。→)その納付期限の前月の末日から1年前まで遡って、延滞して税務署から告知処分を受けたり、期限を過ぎた納付をしたことが無い
(2) 納期限から1ヶ月内に納付している
を満たす場合(→通常、そうだから)、延滞税は課されないそう。
理由
ググったところ、以下の記事が参考になる;
賞与(ボーナス)の源泉所得税の納付を失念してしまいました・・・
(以下、一部抜粋。段組みは筆者)
源泉所得税は原則、給与等を支給した日の翌月の10までに納付する義務がありますが、それを遅れて納付すると本税の他に不納付加算税を課されることとなります。不納付加算税については国税通則法第67条に規定されています。
国税通則法
(不納付加算税)
第六十七条
1 源泉徴収による国税がその法定納期限までに完納されなかつた場合には、税務署長は、当該納税者から、…納付された税額に百分の十の割合を乗じて計算した金額に相当する不納付加算税を徴収する。
2 源泉徴収による国税が…納税の告知を受けることなくその法定納期限後に納付された場合において、その納付が、当該国税についての調査があつたことにより…告知があるべきことを予知してされたものでないときは…当該納付された税額に百分の五の割合を乗じて計算した金額とする。
法定納期限までに源泉所得税を納めていない場合、税務署からの指摘により本来の税額の10%(第1項)、指摘される前に自主的に納付すると5%(第2項)の不納付加算税が徴収されることとなります。
ただし第3項には次の通り、宥恕(ゆうじょ)規定が定められており、一定の条件を満たせば不納付加算税の納付が免除されることとなっています。
3 前項の規定に該当する納付がされた場合において、…法定納期限までに納付する意思があつたと認められ…かつ、当該納付に係る源泉徴収による国税が法定納期限から一月を経過する日までに納付されたものであるときは、適用しない。
すなわち、
(1) 確かに納付は遅れたが、納付の意思はあったと認められる。
(2) 納期限から1ヶ月内に納付している。
の、両方の条件が揃えば加算税は免除しますという規定です。そして、この「納付の意思があったと認められる場合」について、国税通則法施行令でもう少し詳しく書かれています。
国税通則法施行令
(期限内申告書を提出する意思等があつたと認められる場合)
第二十七条の二
法第六十七条第三項 (不納付加算税)に規定する法定納期限までに納付する意思があつたと認められる場合と…は、同項 に規定する納付に係る法定納期限の属する月の前月の末日から起算して一年前の日までの間に法定納期限が到来する源泉徴収による国税について、次の各号のいずれにも該当する場合とする。
一 …納税の告知…を受けたことがない場合
二 …法定納期限後に納付された事実…がない場合
すなわち、その納付期限の前月の末日から1年前まで遡って、延滞して税務署から告知処分を受けたり、期限を過ぎた納付をしたことが無い場合、納付する意思があったとみなすということです。
以上をまとめると、
(1) 過去1年間に納期限を経過した後に遅れて納付したことがなく
(2) 今回の納付につき、納期限から1ヶ月内に納付している
場合、不納付加算税は免除されることとなります。
お尋ねの場合、前年の7月1日以降納期限経過した後に遅れて納付したことがなく、今回の源泉所得税の納付を9月10日までに納付した場合、不納付加算税の免除を受けられることとなります。
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補足
なお、同じ記事に、具体的手続きが不要な旨も付記されている。
(以下、一部抜粋)
この免除は、特に手続きが必要なわけではありません。税務署の判断で不納付加算税の賦課決定を決議しないということとなります。
また、雑感として、条文の構成が、消費税の期限後申告の宥恕規定と似ている。
なお、上の「一ヶ月以内」は文字通りであり、その日が休日になっても納税者有利の翌日にはならない点は注意!
「賞与の源泉所得税の納付を失念しても、1か月以内に納付すれば不納付加算税は課されないって?」っていわれるのに課された時の理由は?
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