L社様)業務改善のご相談への回答は?

1.問題の所在

以下の顧問先様からのご相談への回答の事例:

・関東の県の非上場グループ企業(親会社の売上は500億円超)の100%子会社。

・保険の代理店。資本金1千万円。売上は1億円前後。本店・支店は計3つ。

・会長は親会社の社長、社長・非常勤監査役等は親会社の役員が兼務。

・給与計算は親会社と全く一緒ではないが準じており、昨今の中小企業のそれよりも複雑である、

・最近、親会社が給与支給日を変更したが、それに乗り遅れたため、給与の支給日があっておらず、若干の給与関係のミスが散発している。

・給与計算のコストは経営指導料の内数にカウントされていることになっている ★実際の金額計算は異なる。

・当事務所は、記帳代行と申告と、連結決算と統計資料提出の支援をしており、評価されているため、給与計算を報酬欲しさに受嘱するモチベーションはない。

以上の前提で、以下のご相談を頂いた:

① 給与計算を、従来、親会社の総務に委託していたが、親会社から止めたいオーラが出ているので、①顧問税理士に委託か、②社労士等の適当な外注先の紹介、をお願いしたい。

② 現金精算を廃止したい。

③ e-tax等による電子納税を進めたい。

 

2.結論

以下のとおり:

① 給与計算は、従来通り、親会社に委託がベストとかんがえる。なお、前後するが、給与支給日を親会社に統一する。

② 現金精算の廃止は、トップが全員へ指示できて運用できることが前提。

③ e-tax等による電子納税は、可能。

 

3.理由

▼税理士事務所、社労士事務所等に委託しても、以下の理由で、満足な先を探すのが難しい:

・報酬が安いので、社労士自身ではなく無資格のスタッフに作業をさせる、事務所が大半であり、知識と経験が不足していることが多い、

・入退社が頻繁のため、以前と同じミスを繰り返す

・特に上場会社、またはそれに準じた細かい給与体系の会社(例 手当が複数ある、給与テーブルがある、出向者がいる)は、

▼給与ソフトを購入して内製化を企図しても、以下の理由で、

・給与ソフトは、ピンからキリまであるが、たとえば弥生給与(店頭価格は年間使用料5万円前後)でも、実現できない条件が多々ある(例 2か月後の締め)

・給与計算は細かい、また社会保険等の料率の改正が毎年あるがその適用月を間違えるリスクもある。なので、給与計算対象者が100人くらいいて、業務のうち給与計算を50%専任の人が2名程度いる状況でないと、毎月、正確な運用は難しい。

▼今の親会社への給与事務委託は、上のデメリットがない点でベターと考えます。

 

・業務改善の要諦は、トップダウン。導入した方が明らかに全社的な観点から効率化が達成されるとしても、人間は感情の生き物なので、嫌なものは嫌的な思考が働く。なので、有無を言わさずに導入するのは、トップダウンしかない。

・ツールについては、結局、承認ワークフローがコアになる。ならば、導入時に他の決済業務も取り込むのか、現金精算に特化するのかの意識合わせを導入時に共有する。見聞きしたところでは、最初は現金精算に特化したサービスを導入し、この運用が軌道に乗ったところで、他の決済業務もこのフローに乗せるか否かを検討する2STEPが、失敗が少ないよう。

・外出する従業員の方からの協力を得やすいように導入するのがコツ。帰社して、残業して、会社のパソコンから精算手続をするのがイヤな方が大半なので、たとえばスマホを貸与しているのであれば、スマホから申請できる仕組みが賛成を得やすいし、実際、最近のサービスはそのようなものが多い。

 

・これはこの2,3年でかなり環境が整備されている。

・課題は、国の提供しているe-tax(web)、eltaxの操作性が悪いこと。なので、導入と慣れに若干時間がかかる。それでもトータルでは省力化になる。

 

4.補足

特記事項なし