【2023/2/4時点】法人の顧問先様の決算報告時の成果物は?「弥生会計をcsvエクスポートして貼り付ける類の経営分析ツール」を使わない理由は?

問題の所在

会計ソフトには、帳簿作成機能の他に、経営分析の帳票の作成機能が装備されていることが通常である。

これに関し、当事務所が使用している弥生会計AEの経営分析の帳票は貧弱(失礼!)のため、各税理士がお手製でエクセルで経営分析ツールを作っていたり、ベンダーが弥生会計対応と称して製造・販売していたりする。

当事務所でもそれを使った方がいいのかを整理したメモ。

 

結論

当事務所では、決算報告時に、「弥生会計をcsvエクスポートして貼り付ける類の経営分析ツール」を使わない。現時点では、当事務所では、以下の通り:

1.月次 → 2つ

・弥生会計AEの、①残高試算表(月次・期間)と、②残高試算表(年間推移)のみ

2.決算時 → 3つ

① 法人税等申告書の添付書類ー決算書

② 弥生会計AEの、最終残高試算表ー前期比較ーエクセル出力

③ STAGEエクセル

 

理由

以下の理由による:

  • 当事務所では、所長が全案件の期中内容と決算内容について関与しているため、踏み込んだ話ができる。それだけで毎回の月次/決算報告の2h程度の時間を取る。
    • 以上は、売上高2億円以下のお客様である。
    • そして、それ以上の規模のお客様は上場会社等のグループ会社であり、税理士に経営分析を聞くニーズはない。
  • また、会計以外にもご質問を頂くことが通常であり、そちらに回答することの期待値の方が高い。
  • だから、それ以外の資料を用意する必要がない。
  • 金額を積み上げた金額を、折れ線グラフや図形で説明するのは、要は、「個別の内容を知らない人が、趨勢だけでコメントするにはいいツールである」
    → 特に、無資格者やパート従業員が担当制で運営している会計事務所では、決算報告をできる形に落とし込むツールとて「都合がよい」
  • 中小企業の成長は、まず、受注(≒売上高)である。次に、受注を処理するための、人の手配である
    → つまり、ツールを使って、売上○○比率を見て、「次期にこの比率を上げましょうねー」という、評論家みたいな話をすることは、実は意味がない。

 

補足

会計事務所のサービスは、無形のため、つい形があるものを使いたいという誘惑はある。

この点を突いて、TKCシステムや、弥生会計の提携業者の分析ツールなどは、(企業向けではなく)会計事務所・税理士向けに宣伝をしている。

仮に、極端な例で、「顧問先が、元上場企業の経理部長で、名門企業で社内管理が好き」という人が社長であれば、以上の経営分析ツールを使って作成した帳票を納品することに意義があるかもしれない(→いや、そんな社長なら、自社内で分析しているであろう)

現在の当事務所の顧問層にはないが、「非上場のオーナー系の、売上高20億円以上」のセグメントの会社では、ニーズがあるかもしれない。
それでも、優先順位は、取引の税務調査対応chであろう。そのため、より優先順位は毎月の消費税chであろう。