申告期限の延長をしていない会社で、消費税の申告書の期限内申告を失念し期限後申告したが、無申告加算税が免除されたって?

問題の所在

事例は、

  1. グループ子会社のため、株主総会は毎年6月20日前後
  2. 5月末に法人税、消費税とも予納し、
  3. かつ5月末に消費税等確定申告書を提出し(つまり、消費税で2年前から可能になった申告期限の延長の届をせず)、
  4. 6月の株主総会の翌日に、法人税等確定申告書を提出

で、上の3.を失念した。この経緯は、

  • 6月19日に所轄の税務署から、消費税等確定申告書が未提出の旨、問い合わせの電話があり、
  • その朝に、未提出だと気が付いたので、認め、
  • 「無申告加算税の「可能性があります」」の旨のコメントがあり、承知し、
  • その日の午後に、レターパックライトで郵送提出した
  • (6月末までに提出する法人税等確定申告書は、上のレターパックライトとは別に郵送した)
  • (会社にも、7月冒頭の年度報告の際に上の無申告加算税の件を説明し、全額、当事務所が負担する旨ご説明し、ご了解いただいた)

ところが、その後、7月21日に、〇〇行政センタ―の担当官よりお電話を頂き、

・今回は、無申告加算税は「課からない」

・根拠は、国税通則法第66条第7項、及同施行令第27条の(→正確には後述の、第27条の2第2項「初回宥恕」の規定)

とのこと。

★なお、この記事は、期限後申告でも「無申告加算税が免れる」だけで、青色申告取消リスクは当然あるので、期限内申告がベターであることはもちろんである。

 

結論

圧縮して言うと、

・5月末までの予納が、全額の納付になっていれば、

・6月中に申告書を出せば、・無申告加算税は課されない、

ということ。

 

概略は以下の記事が分かりやすい:

作成日:2015/07/28 申告延長法人への朗報 無申告加算税の改正

https://tax.mykomon.com/daily_contents_28754.html

以下の記事は、うまく圧縮してあるが、その分、分かりにくい

無申告加算税の不適用

https://www.zeiken.co.jp/yougo/%E5%9B%BD%E7%A8%8E%E9%80%9A%E5%89%87%E6%B3%95/%E9%99%84%E5%B8%AF%E7%A8%8E/%E5%8A%A0%E7%AE%97%E7%A8%8E/%E7%84%A1%E7%94%B3%E5%91%8A%E5%8A%A0%E7%AE%97%E7%A8%8E%E3%81%AE%E4%B8%8D%E9%81%A9%E7%94%A8.html

 

理由

まず、国税通則法第66条第7項:

7 第一項の規定は、期限後申告書の提出が、その申告に係る国税についての調査があつたことにより当該国税について第二十五条の規定による決定があるべきことを予知してされたものでない場合において、期限内申告書を提出する意思があつたと認められる場合として政令で定める場合に該当してされたものであり、かつ、法定申告期限から一月を経過する日までに行われたものであるときは、適用しない。

 

同条第一項の規定 は・・・・

(無申告加算税)

第六十六条 次の各号のいずれかに該当する場合には、当該納税者に対し、当該各号に規定する申告、更正又は決定に基づき第三十五条第二項(期限後申告等による納付)の規定により納付すべき税額に百分の十五の割合(期限後申告書又は第二号の修正申告書の提出が、その申告に係る国税についての調査があつたことにより当該国税について更正又は決定があるべきことを予知してされたものでないときは、百分の十の割合)を乗じて計算した金額に相当する無申告加算税を課する。ただし、期限内申告書の提出がなかつたことについて正当な理由があると認められる場合は、この限りでない。

 

期限内申告書を提出する意思があつたと認められる場合として政令で定める場合 は・・・・

→ 同施行規則第27の2第2項

2 法第六十七条第三項(不納付加算税)に規定する法定納期限までに納付する意思があつたと認められる場合として政令で定める場合は、同項に規定する納付に係る法定納期限の属する月の前月の末日から起算して一年前の日までの間に法定納期限が到来する源泉徴収等による国税について、次の各号のいずれにも該当する場合とする。

一 法第三十六条第一項(第二号に係る部分に限る。)(納税の告知)の規定による納税の告知(法第六十七条第一項ただし書に該当する場合における納税の告知を除く。)を受けたことがない場合

二 法第三十六条第一項(第二号に係る部分に限る。)の規定による納税の告知を受けることなく法定納期限後に納付された事実(その源泉徴収等による国税に相当する金銭が法定納期限までに法第三十四条の三第一項(第一号に係る部分に限る。)の規定による委託に基づき納付受託者に交付されていた場合及び当該国税について法定納期限までに同項(第二号に係る部分に限る。)の規定により納付受託者が委託を受けていた場合並びに法第六十七条第一項ただし書に該当する場合における法定納期限後に納付された事実を除く。)ない場合

 

法第三十六条第一項(第二号に係る部分に限る。)(納税の告知)の規定による納税の告知 は・・・

→(納税の告知)

第三十六条 税務署長は、国税に関する法律の規定により次に掲げる国税(その滞納処分費を除く。次条において同じ。)を徴収しようとするときは、納税の告知をしなければならない。

一 賦課課税方式による国税(過少申告加算税、無申告加算税及び前条第三項に規定する重加算税を除く。)
二 源泉徴収等による国税でその法定納期限までに納付されなかつたもの
三 自動車重量税でその法定納期限までに納付されなかつたもの
四 登録免許税でその法定納期限までに納付されなかつたもの

 

納税の告知を受けることなく法定納期限後に納付された事実(都中略ない場合 は・・・・

→ 今回の事例に引き直すと、

「消費税の予納が未了の場合に納付しろと税務署から言われること」がない場合

→ 5月に予納済なので、当然、該当無し。

 

補足

3月決算会社が5月末までに「申告書の」提出を失念する事案が多く生じていたための規定だったそう。

なお、「有名な扱いなら、最初の所轄税務署の担当官も「無申告加算税はたぶん生じない」くらい言ってほしかったが、、、(以下、自粛)