前任税理士の申告書のミスを発見した場合、①修正・更正申告書の要否、②添付書類で説明する要否、は?
問題の所在
前任税理士から引き継ぐ場合、100点の申告書等にお目にかかる機会はないが、
困るのが、間違えている場合。最近の事例から、備忘メモ。
前期の申告書で、以下の点の誤りがある場合、①修正・更正申告書の要否、②添付書類で説明する要否、をどうするか?
なお、会社は一人会社で、売上6千万強の工務店(自ら受注し、工事は外注業者へ依頼)。
5期目での税理士チェンジの理由は、創業時に大学の先輩に相談して紹介された程度で、前期、持続化給付金の申請を相談したら当社には適用できないと言われたこと等。チェンジしたこともあり、チェンジ後にあまり連絡はしたくないとのこと。
- 別表四、別表五(一)の誤り
具体的には、法人税等の中間納付税金の還付処理誤り
→別表四で約8万円の過大計上
(厳密には、当期に、更正の請求を出すべき) - 決算書の誤り
過去の決算書の体系は、わざわざCR(=製造原価報告書)を作成し、外注費だけ計上している。
前期末にBS上で仕掛品を計上したが、CR上で期末仕掛品を計上もれ(=CRには、外注費 43,866千円 1本が記載のみ)
→期末仕掛品a/cの金額は3,500千円。同額の利益過大。
→なお、当期末の状況を社長に確認したところ、そもそも前期末時点で完了していたとのこと(そもそも仕掛品計上自体が不要だった)
(厳密には、当期に、更正の請求を出すべき)
結論と理由
- → オーナーに影響額を説明し、更正の請求を実施した場合の当事務所への報酬支払いとを勘案すれば損得無い旨を説明した。
→ また、更正の請求をしないのだから税務署からの照会もないであろうから、わざわざ添付書類を要しない。
∴「更正の請求はパス+添付書類の作成もパス」 - → 前期と当期を通算すれば損得無しなので、当期に当事務所で作成するCR上も仕掛品に触れないように(=不表示に)した。
→ 結果、当期は利益過少になる。そのため、当期だけについて税務署から後日照会があるかもしれない、、、、が、そのときは笑顔で「では、前期は利益過大なので、前期分について更正の請求とセットで出しますね」と言えば税務署は嫌がると推定される。
→ だから、おそらく、前期について修正依頼は来ないと思われる
→ だから、以上の前期、当期の流れは、敢えて文書化する必要がない。
∴ そこまで見通して、「(前期の)更正の請求はパス+添付書類の作成もパス」
補足
せいぜい、税務権限代理証書と、法人事業概況説明書の末尾の空欄に、税理士が交代した旨を追記する程度。
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