賃貸物件の内装工事の資産計上の減価償却の法定耐用年数は、賃貸物件に対するものなら、法定耐用年数よりも短くすることが可能なの?

問題の所在

実務上、耐用年数は法定耐用年数だけで、例外は、中古資産の場合くらいと思っていたが、、、、知らなかったので、微簿メモ。

 

結論

税法上は、賃借建物の内装工事にかかる、減価償却の耐用年数には特例があり、次のどちらかを選択できる。

・ 用途や材質に応じて「合理的に見積った耐用年数」
・ 賃借期間(期間の定めがあり、更新や買取請求等ができないもの)

 

理由

以下のブログ記事参照。上の見積もり期間も、「賃貸物件での内装工事の、合理的に見積もった耐用年数は概ね10~15年くらいが一般的でしょうか。」と明言している:

Q43【賃借建物】店舗の内装工事・内部造作した場合の勘定科目や耐用年数・会計処理は?内部造作はまとめて計上・償却OK

(以下、一部抜粋)

 

1.勘定科目は?

(1)税務上の考え方

税法上、「内装工事」については、内装工事を行う「建物自体の価値が増加する」と考えています。

(法令解釈通達1-2-3 要約)
●内部造作(内装工事)については、元々の「建物の耐用年数」を適用して減価償却を行う。
●ただし、建物付属設備に該当するものは除く

 

(2)勘定科目は?

上記の通達から読み解くと・・原則、内装工事等の内部造作の勘定科目は「建物」になるんですね。
賃借する建物に「内装工事」を行った場合は、原則として、支出を行った賃借人が「建物」として資産計上することになります(「少額資産」の例外はあります)。

ただし、内部造作のうち、「建物付属設備」に該当するものは除かれています

つまり、内部造作については、まず「建物付属設備」に該当するものは「建物付属設備」で処理し、それ以外のものは「建物」で区分することになります。

内容勘定科目
建物付属設備に該当する内装工事建物付属設備
上記以外建物
(3)建物付属設備の具体例

例えば、以下のようなものは「建物付属設備」に該当します

電気設備(照明設備)及び通信設備
給排水又は衛生設備及びガス設備
冷房、暖房、通風又はボイラー設備

 

(4)既にある内部造作の撤去・修繕は?

例えば、テナントとして新たに入る際、以前の賃借人が施した内部造作を撤去する費用等については、費用計上可能です。こちらについては、Q64をご参照ください。
また、既にある内部造作を維持管理するための費用については、収益的支出として「修繕費」で計上できるものと考えられます。

 

2. 自己所有建物の「内部造作」耐用年数は?

(引用者、中略)

 

3. 賃借建物の「内部造作」耐用年数は?

耐用年数は?
(1) 税務上の考え方

「建物」の耐用年数は、長いものでは50年のものもありますし・・賃借している建物の内装工事にこの「耐用年数」を適用する・・っていうのも、ちょっと違和感ありませんか?建物自体は自分のものじゃないですし。

そこで、税法上は、賃借建物の「内装工事」に関して、耐用年数の特例があり、次のどちらかを選択できます。

用途や材質に応じて「合理的に見積った耐用年数」
賃借期間(期間の定めがあり、更新や買取請求等ができないもの)

現実的には、「賃貸借契約」で更新ができない契約は・・ほとんどないような気がします。
したがって、実務上は「合理的に見積もった耐用年数」の方を適用することが多いです。

(2) 合理的に見積もった耐用年数とは?

合理的に見積もった耐用年数は概ね10~15年くらいが一般的でしょうか。

厳密にはそれぞれの工事ごとの「見積耐用年数」で加重平均して算定しますが、どこまで行っても「見積」です。
一般的には、10~15年の耐用年数であれば、実務上、問題になることはほとんどないと思います。

(3)賃借建物内装工事まとめ

賃借建物に対する「内装工事」の耐用年数をまとめると、以下の通りとなります。

内容勘定科目耐用年数
建物付属設備に該当する内装工事建物付属設備各々建物付属設備の耐用年数
上記以外の内装工事建物合理的に見積もった耐用年数(10~15年程度)

4. 複数の造作物(内装工事)は、まとめて1つの資産で計上

(引用者、中略)

 

5. ご参考~建物・建物付属設備の償却方法・耐用年数~

(1) 建物・建物付属設備の償却方法

現在は、どちらも「定額法」での償却となります。

建物定額法で償却
建物付属設備定額法(注)

(注)平成28年度3月31日以前に取得のものは「定率法」

(2) 建物付属設備の耐用年数

参考に、建物付属設備の耐用年数を記載します。

 

 

6.参照URL

他人の建物に対する造作の耐用年数
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5406.htm

建物の内部造作物(耐用年数取扱通達1-2-3)
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kobetsu/sonota/700525/01/01_02.htm

他人の建物に対する造作の耐用年数(耐用年数取扱通達1-1-3)
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kobetsu/sonota/700525/01/01_01.htm

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なお、具体的には、耐用年数通達 1-1-3

No.5406 他人の建物に対する造作の耐用年数

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5406.htm

 

補足

特記事項なし