賃貸物件の内装工事の資産計上の減価償却の法定耐用年数は、賃貸物件に対するものなら、法定耐用年数よりも短くすることが可能なの?
問題の所在
実務上、耐用年数は法定耐用年数だけで、例外は、中古資産の場合くらいと思っていたが、、、、知らなかったので、微簿メモ。
結論
税法上は、賃借建物の内装工事にかかる、減価償却の耐用年数には特例があり、次のどちらかを選択できる。
・ 用途や材質に応じて「合理的に見積った耐用年数」
・ 賃借期間(期間の定めがあり、更新や買取請求等ができないもの)
理由
以下のブログ記事参照。上の見積もり期間も、「賃貸物件での内装工事の、合理的に見積もった耐用年数は概ね10~15年くらいが一般的でしょうか。」と明言している:
(以下、一部抜粋)
1.勘定科目は?
(1)税務上の考え方
税法上、「内装工事」については、内装工事を行う「建物自体の価値が増加する」と考えています。
(法令解釈通達1-2-3 要約)
●内部造作(内装工事)については、元々の「建物の耐用年数」を適用して減価償却を行う。
●ただし、建物付属設備に該当するものは除く
(2)勘定科目は?
上記の通達から読み解くと・・原則、内装工事等の内部造作の勘定科目は「建物」になるんですね。
賃借する建物に「内装工事」を行った場合は、原則として、支出を行った賃借人が「建物」として資産計上することになります(「少額資産」の例外はあります)。
ただし、内部造作のうち、「建物付属設備」に該当するものは除かれています。
つまり、内部造作については、まず「建物付属設備」に該当するものは「建物付属設備」で処理し、それ以外のものは「建物」で区分することになります。
内容 | 勘定科目 |
---|---|
建物付属設備に該当する内装工事 | 建物付属設備 |
上記以外 | 建物 |
(3)建物付属設備の具体例
例えば、以下のようなものは「建物付属設備」に該当します
・ | 電気設備(照明設備)及び通信設備 |
---|---|
・ | 給排水又は衛生設備及びガス設備 |
・ | 冷房、暖房、通風又はボイラー設備 |
(4)既にある内部造作の撤去・修繕は?
例えば、テナントとして新たに入る際、以前の賃借人が施した内部造作を撤去する費用等については、費用計上可能です。こちらについては、Q64をご参照ください。
また、既にある内部造作を維持管理するための費用については、収益的支出として「修繕費」で計上できるものと考えられます。
2. 自己所有建物の「内部造作」耐用年数は?
(引用者、中略)
3. 賃借建物の「内部造作」耐用年数は?
(1) 税務上の考え方
「建物」の耐用年数は、長いものでは50年のものもありますし・・賃借している建物の内装工事にこの「耐用年数」を適用する・・っていうのも、ちょっと違和感ありませんか?建物自体は自分のものじゃないですし。
そこで、税法上は、賃借建物の「内装工事」に関して、耐用年数の特例があり、次のどちらかを選択できます。
・ | 用途や材質に応じて「合理的に見積った耐用年数」 |
---|---|
・ | 賃借期間(期間の定めがあり、更新や買取請求等ができないもの) |
現実的には、「賃貸借契約」で更新ができない契約は・・ほとんどないような気がします。
したがって、実務上は「合理的に見積もった耐用年数」の方を適用することが多いです。
(2) 合理的に見積もった耐用年数とは?
合理的に見積もった耐用年数は概ね10~15年くらいが一般的でしょうか。
厳密にはそれぞれの工事ごとの「見積耐用年数」で加重平均して算定しますが、どこまで行っても「見積」です。
一般的には、10~15年の耐用年数であれば、実務上、問題になることはほとんどないと思います。
(3)賃借建物内装工事まとめ
賃借建物に対する「内装工事」の耐用年数をまとめると、以下の通りとなります。
内容 | 勘定科目 | 耐用年数 |
---|---|---|
建物付属設備に該当する内装工事 | 建物付属設備 | 各々建物付属設備の耐用年数 |
上記以外の内装工事 | 建物 | 合理的に見積もった耐用年数(10~15年程度) |
4. 複数の造作物(内装工事)は、まとめて1つの資産で計上
(引用者、中略)
5. ご参考~建物・建物付属設備の償却方法・耐用年数~
(1) 建物・建物付属設備の償却方法
現在は、どちらも「定額法」での償却となります。
建物 | 定額法で償却 |
---|---|
建物付属設備 | 定額法(注)。 |
(注)平成28年度3月31日以前に取得のものは「定率法」
(2) 建物付属設備の耐用年数
参考に、建物付属設備の耐用年数を記載します。
6.参照URL
他人の建物に対する造作の耐用年数
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5406.htm
建物の内部造作物(耐用年数取扱通達1-2-3)
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kobetsu/sonota/700525/01/01_02.htm
他人の建物に対する造作の耐用年数(耐用年数取扱通達1-1-3)
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kobetsu/sonota/700525/01/01_01.htm
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なお、具体的には、耐用年数通達 1-1-3
No.5406 他人の建物に対する造作の耐用年数
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5406.htm
補足
特記事項なし
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