当事務所用)「やよいのかんたん会社設立」の利用上の留意点は?

問題の所在

freeeや、弥生で、会社設立のウェブページがある。

だれでも使えるのだが、説明がやや不十分で、全体として、どこまでできるのかが分かりにくいので、その備忘メモ。

以下では、

  • 税理士が発起人の代理人として作業する
  • 電子作成
  • 忙しい発起人本人とは、作業途中は会わない(メールとクラウドでのファイルのやりとりで完結する)

ことを前提にまとめる。

また、以下では、弥生のかんたん会社設立のご担当者を「行政書士」、士業を「公認会計士」と略記する。

 

結論

会社設立は、①定款、②登記、③諸届、に分かれるが、要約すると、以下のとおりである:

 

0 総論

  • やよいのかんたん会社設立サービス(要は、ウェブサービス)を利用する旨を事前に伝えておく:
    • やよいの会員のため
    • 電子定款もできるし、やりとりが省力化できるからメリットです。
  • 「やよいのかんたん会社設立」のトップ画面には、「士業の方が代理人として作業するのにも使用可」とあるが、基本的な仕様は、発起人本人が定款を受け取りにいくことを前提にしている。
  • ステップ内に代理人の情報を入力する欄があるが、こちらは登記申請にあたって、代表者以外の発起人または登記申請代理資格を有する者の氏名等を記載する部分となっている。
    • そこで作業上は、サイトのお問い合わせ欄などから、会社名と公認会計士が代理人である旨を伝えると、返信メールで「さしあたっては本人申請で進めていただければと存じます。その上で、ご案内の通り先生のご住所等をこちらのメールまでお送りいただければ幸いです」の旨のメールが来る。
  • 定款情報の入力確定は、入力した画面まで自動保存されている(修正があれば、画面を戻って上書き修正可能)。(フィーリング的には「所得税確定申告作成コーナー」のような保存の仕方)
  • 途中から、行政書士とEメールでやり取りすることになる。

 

1 定款(以下、時系列で記載)

  • 「法人名の英字」を入力する箇所がないので、英文名は指定できない。ゆえに事前のチェックリスト上でも外しておく。
    ★そもそも、登記上、英文表記を記載できない以上、定款でわざわざ英文名を指定する必要はない
    (希望者がいたら、そう伝えればよい)
  • 定款情報の確定直前でDLし、公証役場にtelし、事前レビューを受け、指摘箇所を修正入力して、確定処理する。その際、
    1. 修正内容が「会社の目的」などの場合 → 指摘された通りに上書き修正すればよいが、
    2. 修正内容がナラティブ部分の日本語の修正の場合 → 「出来合い」なので修正できないので、pdfに手書きして、サイトのお問い合わせなどから、伝える
      ★ただし、推定だが、上の日本語レベルの修正は無しで押し切っているよう。
  • 定款の確定ボタンを押すと、やよいの行政書士から公認会計士へ以下の2点の連絡が来る:
    • 発起人本人へ、本人確認のための書類を郵送した旨(行政書士へ返送用封筒が同梱)
    • 定款の受取日を印字するため、受取日程を公証役場と調整し、
      確定日情報を、行政書士にも伝えてほしい旨
  • 役員の印鑑証明のアップ
    役員の印鑑証明を添付する画面があるので、つい、「原紙は不要」と思ってしまうが、この後の登記申請時に必須なので、後で郵送等で
  • 復代理情報の入力
    ステップ内に代理人の情報を入力する欄がございますが、こちらは登記申請にあたって、代表者以外の発起人または登記申請代理資格を有する者の氏名等を記載する部分となっております。こちら、さしあたっては本人申請で進めていただければと存じます。その上で、ご案内の通り先生のご住所等をこちらのメールまでお送りいただければ幸いです」の旨のメールが来る。
  • 作成されるものは以下:
    定款pdf
    委任状pdf(完成した定款の受取を、発起人から公認会計士に委任)
    複委任状pdf(定款を電子で申請することを、公認会計士から行政書士に委任
    実質的支配者となるべき者の申告書(株式会社用) (本人に郵送される)
  • 行政書士から発起人へ、以下の2つが郵送され、各々、▼へ返送いただく:
    •  委任状+定款 ▼公認会計士へ
    • 実質的支配者となるべき者の申告書(株式会社用)、身分証明書等のコピー ▼行政書士へ

2 登記

  • 登記申請に係る書類も、定款の時と同様に、発起人本人が提出する前提
    → なので、参考資料として使い、公認会計士が代理人のように、ワードで作り直す必要が生じる。
  • (弥生のかんたん会社設立に限らない話で)
    設立時の取締役(代表取締役、監査役)の就任承諾書は、
    やよいのかんたん会社設立の仕様上、定款内に記載されているのであるが、電子定款のため、全員分が必要になる。
    (∵ 紙の定款ならば最終ページに全員の押印があるが、電子定款の場合、押印がないため)
    (∵「登記申請書に押印があるよ」と思われるかもしれないが、時点が異なるため印鑑証明が変更されているリスクをそうていしているため)
  • とにかく、あらゆる書類に、 捨印 を押してもらう
  • 日付欄は、当日に、手書きでOK

 

諸届

  • 諸々の届などは、一通りある。
    法務局の類似サービスと異なり、委任者の電子証明書による承認がなくて済む分、やりやすい。

 

理由

特記事項なし

 

補足

定款のところで、委任状を作成する必要がないのは、バックオフィスが行政書士であるためであることと、実績のためであろう。

登記申請は、代理人がweb上から作業をしようとすると、「委任者(発起人)による委任状への電子承認」の壁があり、難しい。

また、士業の職域問題で、登記サポートは原則、司法書士しかできないが、これを公認会計士、または税理士ができるか否かについては、以下の記事を参照:

会社設立業務の中で、商業登記申請代行は公認会計士は可で税理士は不可なの?