一般労働者派遣事業に係る監査証明での、「適用可能な財務報告の枠組み」は何?

問題の所在

一般労働者派遣事業に係る監査については、対象が税務会計の中小企業であるため、上場会社のようにGAAPではないため、代わりに、どのような適用すべき財務報告の枠組みを適用したらよいのかが問題となる。

監査基準委員会報告書 800 特別目的の財務報告の枠組みに準拠して作成された財務諸表に対する監査

にも明記されていない。(そりゃ、これを編集しているのは、上場会社の監査を主に担当している大手監査法人の会計士だから)

結論

実質的には、以下の2つ

  1. 期間配分で計上する根拠→臨時計算書類規定
  2. 実質的な会計基準→中小企業の基本要領

理由

私見であるが、ポイントは以下の2点:

  • 上の1.→決算書上、個別注記の箇所に、採用した会計方針を、財規ベースのように書き出す点が明確
  • 上の2.→退職給付引当金の以下の扱いは、実は基本要領でも同様。つまり「引当金を未計上だから『基本要領に依っております』は間違い」ということ。
    • 重要性がないと整理できれば、退職給付会計は省略していい(その場合には、会計方針のところに退職給付引当金については記載しないことでOK)
    • そうではない場合は、逆に、退職金規程等があるハズだから、期末自己都合要支給額基準でOK。

専門書「多様化するニーズに応える 財務報告の枠組みと監査Q&A(結城秀彦、中央経済社)の、p229に、実質的には臨時計算書類規定を適用することが示唆されている。

中小企業の税務会計なので、「中小企業の会計に関する指針」と「中小企業の会計に関する基本要領」を思い浮かべてしまうが、期中処理について触れていないので推奨していないと考える。(というか、より具体的な会計基準まで踏み込むことを回避したようにも思える)

補足

上記1.と上記2.の内容を比較すると、上記1.は例外を規定し、上記2.は具体的中身を規定している点で、上記2.の「基本要領によっている」と書きたい気も大きい。。。。

なお、上述の、臨時計算書類規定を実際に適用する際には、「臨時計算書類作成基準」がある。

会計制度委員会研究報告第12号「臨時計算書類の作成基準について」の改正について(掲載日 2009年12月08日)

が参考になる。(ウェブ上、前文と新旧対照表しかないが、丸々、記載されているので、これでよい)

要は、

  • 原則として年度決算に適用される会計処理の原則および手続に準拠することになるが、
  • 臨時計算書特有の会計処理も認められる

という立ち位置である。

もちろん、今回の目的は、臨時計算書類規定が主旨する「分配可能利益の算定」ではないので、ある程度の取捨選択は可能と解する。

なお、知人の会計士が作成した監査報告書を見せてもらったら、、、、なんと、GAAPの箇所は空欄であった。。。こりゃまずいと思うが、神奈川県には問題なく受理されたよう、、、、、( *´艸`)