税理士用)解散・清算時の決算上のポイントは?①要約
問題の所在
解散・清算の際には、取引を収れんさせる必要がある。
特に、(清算開始BSではなく)清算結了時BSは、
- 資産 現金
- 負債 未払法人税等
- 純資産 ①資本金ゼロ+利益剰余金ゼロ、又は、②資本金(例えば)1千万円+利益剰余金1千万円
に会計上、収れんするように持っていく必要がある。
結論
解散BSの決算整理上の留意点
- 時価評価の対象になるものだけは、処分してもらう
→ 基本的に資産。
例 棚卸資産、有形固定資産、無形固定資産、投資有価証券、
敷金(∵原状回復費次第で金額が変わる) - 大きい支払(例 役員退職金)や、税金の還付(繰戻し還付)などは、清算時ではなく、解散時に実行する。
- 税金の還付口口座の記載は何度も確認する!(間違えると、次の入金まで1か月待たないといけないため)
清算BSの決算整理上の留意点
清算事業年度の取引がポイント。
「融通が利く取引」を用意し、それを活用して、上の清算結了時BSに持っていく。具体的には、
- 「利益剰余金をマイナスにする」。その候補は、
- 清算人に支払手数料(円単位)
- 役員退職慰労金を円単位の金額で支払う
- 上で、利益剰余金>資本金、になってしまったら、=に持っていく。その候補は、
- (会社から見て)残余財産の分配の債務免除益
理由
特記事項なし。
補足
平成22年改正前は、清算BSは、「資本金ゼロ」しか、あり得なかったが、改正により、極端な話、資本金が残ってもokになった。特に、
- 役員退職慰労金
- 残余財産の分配に伴う、みなし配当課税 + 譲渡所得課税 の合計
の両方を試算して比較し、納税額が少ない方を選択する。
なお、上の債務免除益は、株主側からは、理屈上は、債務免除「損」であるが、所得税法上は、有価証券の譲渡損なので、譲渡所得上、マイナスではあるが、いわゆる一般株式なので、
- 分離課税であり、損益通算できない。
- 繰越控除もできない
- (一般株式に譲渡利益が生じていても)上場株式等に係る譲渡損失との通算もできない
ので、使い道がない(=税理士的には、切り捨ててOK)。
ただ、意外だが、概算では、みなし配当課税 と 譲渡所得 の合計に対する課税額は変わらない。つまり、「配当所得に課税」か、「譲渡所得に課税」かの、いずれか。(まあ、算式上は、そうなるか)
また、解散BSについては、専門書では、財産目録が必要だの云々言われているが、あまり気にしなくていい。
また、役員退職慰労金を未払金計上する要否は、株主がオーナー100%であれば、不要。
(清算事業年度に計上しても損金に計上可能であることは通達上、明記されているし、敢えて解散事業年度に未払金a/cで計上しても、退職金は支出前の時点では損金に算入できないので、申告加算が必要になる等、無用な手間が増え、ケアレスミスのリスクが生じるだけなため)
最後に、想定外の入金等があり得ることに備えて債務超過基調にし、最終的に若干の債務超過でフィニッシュし、当該マイナス分を清算人(=オーナー)自身に負担させるのが、着地点。
■