解散・清算で、オーナーの所得税上、役員退職慰労金に伴う退職所得の支払いと、みなし配当・譲渡所得の支払いとでは、どちらを節税上、優先すべき?
問題の所在
解散・清算の、清算時には、最後、オーナーの所得税を考慮する必要がある。
すなわち、
- 役員退職慰労金を支払えば、退職所得が課税されるし、
- 残余財産の分配の局面では、みなし配当に伴う配当所得と、譲渡所得が課税される、
ここでの論点は、役員退職慰労金に対し、退職所得による課税がゼロではない可能性がある中で、「極端なケースで、「退職慰労金を支払わなくても みなし配当がゼロ」であるならば、わざわざ退職慰労金を支払う必要はないのではないか?」という発想、問題意識である。
結論
やはり、そう。
理由
参考記事。
http://www.masudazeirishi.com/article/14892740.html
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最後に配当所得についてです。財産の換価処分を行って、債権債務をすべてきれいにしたところで残余財産があれば、株主に分配することになります。この残余財産の分配は、所得税におけるみなし配当とされていますので、配当所得税の源泉徴収義務が発生し、現在であれば 20.42%の税金が差し引かれることになっています。
残余財産にみなし配当としての税金が課されるのは、残余財産額が税法上の資本金(資本金と資本準備金)を超えた部分ですので、残余財産額を資本金と同額にしておけばみなし配当課税の影響を受けることはないわけです。
従って、資本金と同額だけ残余財産として残すように役員退職慰労金の支払を行えば、みなし配当の手間は必要なくなります。
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補足
みなし配当についての解説の参考は以下。
資本剰余金がみなし配当の対象になることを明記している。
なお、退職所得の計算は以下:
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tebiki/2018/a/01/1_14.htm
その際、小規模共済から分配(=退職金)を受領している場合には、「 同一年に2か所以上から退職金を受ける」に該当することになるので、もれないよう、留意する:
参考記事:
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tebiki/2018/a/01/1_14.htm
また、役員退職慰労金周りの論点は、以下の記事が平易で見やすい:
https://hoken-kyokasho.com/retirement-allowance
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