別表十一(一の二)(一括評価金銭債権に係る貸倒引当金の損金算入)の「1 当期繰入額」の金額がいわゆる洗替法のグロスで、帳簿上の仕訳が差額補充法のネットなのはなぜ?

問題の所在

法人税法の別表十一(一の二)の「1 当期繰入額」の金額は、会計上、計上した繰入額を記載する。

町の税理士さんの実務上は、そもそも僅少額であること、また毎期、洗替処理になることから、、、→ そもそも計上しないことが少なくないと思われるが、それでも計上する場合には、

仮に金額例として、

  • 当期の貸倒引当金繰入の損金計上限度額が当期7、前期4
  • 会計上、計上すべき残高が、当期末は100、前期末は80、とすると、
  1. 【差額補充法】
    会計上、貸倒引当金繰入+20で起票し、
    そして別表十一で、貸倒引当金繰入+20とし、
    そして別表四で、申告加算を13する、
  2. 【洗替法】
    会計上、貸倒引当金繰入+100、貸倒戻入80で起票し、
    そして別表十一で、やはり貸倒引当金繰入+100とし、
    そして別表四で、申告「減算」76、申告加算93する、
  3. 【???】
    会計上、貸倒引当金繰入+20で起票しつつ、、、
    そして別表十一で、やはり貸倒引当金繰入+100とし、
    そして別表四で、申告「減算」76、申告加算93する(洗替法)、

3.は、アリなのか?

 

結論

3.はアリ。

 

理由

法人税の基本通達11-1-1で、上のような泣き別れを認めているから。

具体的には、帳簿上、差額補充法で起票していても、別表十一(一の二)で洗替法のグロスの金額を記載していれば、(その差額分を含めて)記載した金額で損金処理をしたと見做す、と規定したから。

だから、別表五(一)に計上される金額も洗替法ベースになる。

だから税効果の計算上も洗替法ベースになる。

参考記事はこちら:

差額補充法における貸倒引当金の計上と損金経理要件について

 

 

補足

基本通達11-1-1は、平成30年に改正されたと逐条解説に書いてある。