(個人の)不動産所得の家賃収入に未受領分をオンするのはマスト?

問題の所在

個人の大家で、個人の入居人の場合、家賃の入金が数か月漏れることが少なくないが、個人の不動産所得で青色申告決算書(不動産所得用)の賃貸料の金額に、未収入金相当分を計上する必要があるか?

 

結論

未収入金a/c(又は 事業主貸a/c)で計上する必要がある。

 

理由

所得税では、権利確定主義が採用されており、お金をもらえる権利が発生したときに、収入に計上する、となっているため。

 

補足

今後、その賃借人から家賃や地代をもらえないのであれば、その旨、両者で合意すべきである。
なぜなら、もらえないことが確定すると、今まで収入に上げていたものが0円となるため税金が戻ってくる可能性があるためである。

実務上、以下の3つの可能性がある:

  1. 資産損失(貸倒損失)として処理する方法
    →当期の確定申告書の青色決算書に「貸倒損失**円」と記載する。
    ※なお事業的規模の場合には、貸倒損失は更正の請求ではなく、貸し倒れた年度の経費になる。
    ・・・特に期限はないので、その年の経費にすれば良い
  2. (収入がなかったものとして過去の申告書を訂正する方法で)通常の場合の更正の請求
    →この未収家賃・未収地代が、売上(収入)の訂正と判断された場合、過去の申告書の数字を訂正することになる。
    この場合の更正の請求は、期限が法定申告期限から5年ですので、未収時点から5年(正確には法定申告期限から5年です)を経過してしまうと、税金を戻してもらえない可能性がある。
    →→未収状態が始まった年の確定申告期限から5年以内に更正の請求をする必要あり
    →→→当初の収入計上した年の法定申告期限から5年を超えてしまうと、更正の請求ができなくなってしまう(=税金が戻ってこなくなる)ため、クライアントには「5年以内に、もらわないという合意書を作りましょう」と助言することになる。
  3. (収入がなかったものとして過去の申告書を訂正する方法で)後発的理由による更正の請求(Cコース)
    →「後発的理由による更正の請求」とは、後から特別の事由が起きた場合、その事由が起きてから2ヵ月以内に更正の請求をすれば、税金が戻ってくる、という制度である。
    ですので、Cコースに該当した場合、もらえなくなった時点(=もらわないという合意書を作成した時点)から2ヵ月以内に更正の請求書を提出する必要がある。
    →→5年を超えても大丈夫だが、もらわない合意があってから2ヵ月以内に更正の請求をする必要がある。
    →→この場合、もらわない合意ができてから2ヵ月以内なので、クライアントには「もらわない合意書を作ったら2ヵ月以内に必ず知らせて下さい」と助言することになる。