税効果会計上、事業所税は繰延税金資産の対象外?

問題の所在

昨日、会社の担当者との雑談で、「以前、某会計士から、税効果会計上、事業所税は繰延税金資産の計算から外してください、と言われたことがある」という話があった。これはどういうことか?

 

結論

繰延税金資産の回収可能性があると判断されている限り、申告書の別表4で加算している分は、当然に、繰延税金資産を認識する。当たり前。

 

理由

まず、税務上は、
事業所税は、(帳簿上の計上時ではなく)、翌期首の申告書提出時に損金に算入される。

次に、会計上は、
期末に、租税公課 xx / 未払事業所税 xx と仕訳を「計上」する。
期末日の後日に申告書を提出するため、この分は、別表4に加算する。
だから、将来減算一時差異なので繰延税金資産の対象となる。

他方、翌期には以下の2つの取引が考えられる。

  1. 上の未払い分を支払ったら、
    未払事業所税 xx / 現金預金 xx で、
    翌期の申告書上、減算される。
  2. 上の未払い分とは別のもので、「事業所税の罰課金」等で、
    租税公課 XX / 現金預金 xx と、未払い分計上を経由せずダイレクトに支出することがある。
    これは翌期の申告書の別表4では、加算も減算もされない。

上の2.は、確かに、税効果会計上、繰延税金資産を認識しない、のは正しい。しかしこれはレア取引である。

 

補足

当該会計士の間違いでは?

なお、「実効税率の算定上、所得に連動する税金をカウントする」が、その意味では、事業税はカウントするが、事業所税はカウントしない。

しかし、これと、繰延税金資産(→将来減算一時差異)か否かは、別次元の議論である。