当事務所用)所得税の不動産所得の申告業務で青色申告10万円控除のケースの場合に、「青色収支計算書の貸借対照表BSに①元入金と②青色申告特別控除前の所得金額 のみ金額表示させるために、敢えて「弥生会計AE→xtx形式で書き出し→e-tax(インストール版)に組み込む」という手間をかけるか?確定申告作成コーナーで済ますか?

1.問題の所在

個人の所得税確定申告で不動産所得で事業規模が2棟10室以下の場合には、通常、青色申告控除は、10万円のみです。

この場合、BSは添付不要ですが、税理士が関与している申告書では、「青色申告書上、BSは付けて、元入金の期首金額と期末金額のみ表示する」という作法をされることが多いです。(以下参照。上が全体。下がズーム)

本来、BSをつける場合には、事業主貸、事業主借、資産、負債の関連金額が、期首欄、期末欄に記載されているものが正しいBSです。ですので、これは不正確なBSをわざわざ添付していることになります。(おそらく、税理士向けの大手専用機メーカーの所得税の申告書が、そういう様式を採用しているためと推定します。)

なお、弥生会計ソフトでe-taxモジュールを組み込んで電子送信しようとしても、上の「」のような表示はできない仕様になっています。「申告書作成コーナー」でも同様です。

この点、e-tax(インストール版)であれば手修正で可能です。ただし、そうしようとすると、、、このためだけに、弥生会計AE→e-tax(インストール版)という手間を生じます。

 

2.結論

(事業所得はなく)不動産所得のあるお客様の申告作成業務では、以下の理由で、確定申告書等作成コーナーをメインにする:

★お客様の中には、税理士を代えても、同じような書類を求める人もいます。当事務所は、そのような前任税理士からの業務を引き継ぐことが少なくないですが、大丈夫ですときちんと説明しましょう。

★★なお、「賃料を持分で按分する必要があるお客様の場合には、〇不動産所得の収入の内訳 上で持分を乗する計算ができないため、事業所得の場合と同様に扱う(当事務所では、世田谷のお客様1名のみ)

 

3.理由

結果から述べると以下:

・上のBSの作法と若干だけ異なるが、以下のようになら、確定申告書等作成コーナーで可能。

・元入金が黒字なら「その他の資産a/c」一本、元入金が赤字なら「その他の負債a/c」一本で済ます。

・なお、

・「元入金」の金額は、単純に、前期のPLの「青色申告特別控除前の所得金額」

・「青色申告特別控除前の所得金額」の金額は、単純に、当期のPLの「青色申告特別控除前の所得金額」

 

(初年度)

(2年目以降)

以下の事例は現金a/cでやっているが、当事務所では「その他の資産a/c」で計上する:

 

なお、上を作成する方法は以下:

以下の、確定申告書等作成コーナーの画面の末尾で、貸借対照表を「作成する」をクリック:

(上の再掲)

なお、上で「引き続き貸借対照表を作成する」を「いいえ」を選択すると、以下の最後のように全部カラになる:

 

4.補足

以前は以下の記事を原則としていた(備忘メモとして残す)

 

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e-taxで、弥生会計の会計データファイル(xtx形式)を取り込んだ後に、申告画面で、BS上の金額を片っ端から削除してき、元入金の期首残高と期末残高の金額だけ残す。

もちろん、e-taxから、エラーメッセージが出るが、「そのまま保存」機能があるので、保存してしまえばよい。保存すると以下の青の行のようになり「手計算あり」と表示されるだけ:

→ 上のやり方だと、弥生会計での仕訳自体は修正しないので、翌期も、そのまま自然に取引を仕訳すればよい。

また、税理士の個人の所得税確定申告業務上では、極力、電子申告で処理する方針を採る必要がある。

紙で申告書を提出する場合には、所得税の要件を満たす必要な証跡を添付する必要があるが、一度に全部集まるとは限らないため、これにこだわると時間と手間がかかる。

この点、電子申告であれば、手元に保管する義務はあるが、申告時には添付不要で済むものが多いため、必要な証跡は後で整備すればよいからである。

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