婚姻等で相続人の氏名が当初申告時と変わっている場合、修正申告書の記名は旧姓?現姓?
1.問題の所在
修正申告をする際に、当初申告後に、相続人の中には、婚姻等をして、氏名が変更になっていることがあります。
ここでは、修正申告の内容が、「遺産分割協議書の変更を伴わない、単なる計算上の修正」の場合を検討します。
2.結論
仮に、
当初申告時には、「佐藤花子」であったのが、
当初申告時には「田中花子」に改姓されてる場合、
当初申告時には、「佐藤花子」であったのが、
当初申告時には「田中花子」に改姓されてる場合、
には、以下のとおり:
- 第1表の氏名欄の記名 → 「田中花子(旧姓佐藤)」
(なお、第2表以下では、単に「田中花子」だけでOK。 - 第1表の押印 → 「田中」印。
- 別紙で、佐藤花子から田中花子へ改姓した事情
- 戸籍謄本
参考リンクは なし
3.理由
- → 提出時の氏名を記載するのが基本であり原則。現在の事実は、田中花子であるため。
なお、第2表以下にも、5,6か所、氏名の記載が登場するが、さすがに第1表にそう書いてあればそれ以降には、もう「(旧姓佐藤)」を重畳的に記載する必要はない。 - → 上の1.が佐藤太郎なので、印鑑も「田中」印。
なお、遺産分割協議書の変更を伴わないので、実印はマストではない。 - → 私見では、税理士法第33条の2の書類中に書き込むのがスマート。
- → 住民票でもOKであるが、戸籍謄本が無難である。
(無難の意味は、このような場合には戸籍謄本が添付されてくる事例が相対的に多いため、税務署の担当者も、戸籍謄本が添付されてくるものと想定しているため。そのような作法に従うのが、相続税申告実務では大事)
4.補足
JDL相続税システムで修正申告書を作成する場合
相続税システムの仕様で、上のような、第1表は「田中花子(旧姓佐藤)」、第2表以下は「田中花子」と書き分けられればベターであるが、少なくとも、JDLの相続税システムにはそのような気の利いた機能はない。そうすると作成方法としては、
- システム記名は「田中花子」と登録し、第1表上だけ、記名のすぐ右側「(旧姓佐藤)」と手書きする
- システム記名を「田中花子(旧姓佐藤)」と登録し、す田中花子(旧姓佐藤)」と表記されるように設定する。
のいずれかが考えられるが、そもそもJDLの相続税システムでは、2.のように多くの文字数が入力できないため、結局、1.にならざるを得ない。
マイナンバー
相続税等の場合には、修正であろうがなかろうが、税務署に提出するものは逐一、「マイナンバー」。
本人が税務署に直接、提出する場合には、見せるだけでよいが、
税理士が代理で提出する場合には、毎回、マイナンバーのコピーを添付することになる。
前提で、
・(氏名の変更の有無に関係なく)マイナンバー情報のコピー添付が原則で、
・代替で、いつもの、通知書+顔写真付きの証明書 が必要である
が、姓が変更になった人だけ 旧姓と現姓がわかるものが必要になるが、それは上の、3.で兼ねられる。
税理士にとっては、マイナンバーの運用が数年経過している現時点では、通常の法人税、所得税等ではマイナンバーを提出しないので、留意する必要がある。
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