セーフティ共済は、個人事業主で加入して、法人成り後に引き継げるって?
問題の所在
セーフティ共済は、法人の場合には、出口戦略、すなわち、最後の解散時に、返戻金と退職金とを相殺すること、が可能なのであるが、
個人事業主は、(自身に給与所得がないこと都の対応上、)自身に退職金を支払えないため、出口戦略がとれないとどこかのセミナーでも解説されていたが、この点、条件付きで、法人成り後に引き継げるようなので、それをまとめたメモ。
結論
当事務所のお客様の場合には、そのまま引き継げると判断する。
理由
以下の①②の記事が端的で参考になる:
法人成り後の経営セーフティ共済は解約or引継ぎ?3か月以内にすべき手続きを徹底解説
(以下、一部抜粋)
引継ぎ:継続的な保障を受ける
法人化した場合、経営セーフティ共済を法人へ引き継ぐことも可能です。
通常、新しく設立した法人が経営セーフティ共済に加入するには、1年以上の事業実績が必要です。しかし、引き継ぎの場合は個人事業主としての加入期間もそのまま引き継ぐため、法人設立直後でも経営セーフティ共済の加入が可能になります。
引継ぎのメリットは、解約せずに保障を継続でき、法人の経費として掛け金を計上できる点です。
経営セーフティ共済「引き継ぎ」3つの注意点
経営セーフティ共済を個人から法人へ引き継ぐ際は以下の3つに注意が必要です。
- 法人成り後3か月以内に手続きをする
- 法人成り後も加入条件を満たすことが必要
- 個人時代の義務も引き継ぐ
順番に解説します。
法人成り後3ヵ月以内に手続きをする
経営セーフティ共済の引き継ぎを行うには、法人化してから 3か月以内に、登録取扱機関を通じて中小機構へ申請する必要があります。
もし3か月を過ぎた場合は、遅延理由書の提出が必要となります。さらに、契約者同士の引継ぎの場合、1年半以上経過すると審査が必要になり、2年以上経過した場合は引き継ぎができません。
必ず3ヵ月以内に手続きをしましょう。
引継ぎの手続きについては、「経営セーフティ共済の引き継ぎ手続き【3ステップ】」で詳しく解説します。
法人成り後も加入条件を満たすことが必要
引き継ぎをおこなうには、法人化後も経営セーフティ共済の加入条件を満たしていることが必要です。
例えば、以下の法人は加入できません。
- 医療法人
- 農事組合法人
- NPO法人
- 外国法人
- 森林組合・農業協同組合 など
また、株式会社や合同会社などが加入するには、以下の いずれかの条件 を満たす必要があります。
業種 | 資本金の額または出資の総額 | 常時使用する従業員数 |
製造業、建設業、運輸業など | 3億円以下 | 300人以下 |
卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
サービス業 | 5,000万円以下 | 100人以下 |
小売業 | 5,000万円以下 | 50人以下 |
ゴム製品製造業(一部除く) | 3億円以下 | 900人以下 |
ソフトウェア業 情報処理サービス業 | 3億円以下 | 300人以下 |
旅館業 | 5,000万円以下 | 200人以下 |
出典:経営セーフティ共済の加入資格 | 経営セーフティ共済
なお、通常新しく設立した法人が経営セーフティ共済に加入するには、1年以上の事業実績が必要です。しかし、引き継ぎの場合は個人事業主の期間も含まれます。このため、法人成り直後でも加入が可能です。
個人事業主の義務も引き継ぐ
経営セーフティ共済(倒産防止共済)を法人成り後に引き継ぐ場合、個人事業主時代に負っていた義務もそのまま法人へ引き継がれます。具体的には、以下の3つの義務です。
- 掛金の支払い義務
- 一時貸付金の返済義務
- 違約金の支払い義務
順番に解説します。
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補足
同じ記事に、法人成り後の具体的な引き継ぎの手続も解説されている!
(以下、一部抜粋)
経営セーフティ共済の引き継ぎ手続き【3ステップ】
経営セーフティ共済の引き継ぎは、次の3つのステップで進めます
- 必要書類の準備
- 申出書の記入
- 書類の提出
それぞれの手順について詳しく解説します。
必要書類の準備
引き継ぎに必要な主な書類は、以下の通りです。
必要書類 | 入手場所 | 入手方法 | 手数料の目安 |
個人の印鑑証明書 | 市区町村 | 窓口、郵送、 コンビニ | 100~300円程度(市区町村、交付方法によって異なる) |
法人の印鑑証明書 | 法務局 | 窓口、郵送、 オンライン | 390~450円(交付方法によって異なる) |
法人の商業登記簿謄本または履歴事項全部証明書 | 法務局 | 窓口、郵送、 オンライン | 480円~600円(交付方法によって異なる) |
共済契約締結証書 | ご自宅 | ー | ー |
契約承継申出書 | 登録取扱機関 中小企業基盤整備機構 | 窓口、電話、 オンライン | ー |
掛金預金口座振替申出書 |
出典:事業の全部譲渡(法人成り) | 経営セーフティ共済
以下から詳しく解説します。
個人の印鑑証明書(発行から3ヵ月以内)
個人の印鑑証明書は、マイナンバーカードがあればコンビニで発行できます。窓口よりも手数料が安く、近くのコンビニで取得できるため便利です。
ただし、市区町村によって対応状況が異なるため事前に確認しましょう。利用できる市区町村や詳しい手順は「コンビニエンスストア等における証明書等の自動交付【コンビニ交付】」をご覧ください。
法人の印鑑証明書・商業登記簿謄本または履歴事項全部証明書(発行から3ヵ月以内)
法人の印鑑証明書や商業登記簿謄本などは、法務局で取得できます。
オンライン申請も可能です。法人代表者のマイナンバーカードを使えば、法務局のウェブサイトから簡単に申請できます。
詳しい利用方法は「会社・法人代表者の印鑑証明書を取得したい方|法務局」をご覧ください。
共済に関する書類
- 契約承継申出書(法人へ契約を引き継ぐための申請書)
- 掛金預金口座振替申出書(掛金の支払い口座を法人名義に変更するための申請書)
契約承継申出書や掛金預金口座振替申出書は、登録取扱機関または中小企業基盤整備機構の窓口、電話、オンラインで入手できます。
ご自身の登録取扱機関は、共済契約締結証書でご確認ください。
- 銀行
- 信用金庫
- 商工会
- 商工会議所 など
また、中小企業基盤整備機構のホームページからも書類の請求が可能です。
書類の提出
必要書類と申出書がそろったら、登録取扱機関に提出します。
手続きが完了すると、中小企業基盤整備機構から法人名義の新しい「共済契約締結証書」が郵送されるため、大切に保管してください。
経営セーフティ共済引き継ぎ時の仕訳処理
経営セーフティ共済を法人に引き継ぐ際の仕訳処理は、納付期間によって異なります。ポイントは、解約返戻金が発生するかどうかです。以下の2つのケースに分けて解説します。
- 納付月数が12ヵ月未満の場合
- 納付月数が12ヵ月以上の場合
納付月数が12ヵ月未満の場合
解約返戻金が発生しないため、個人事業主・法人のどちらも仕訳処理は必要ありません。
納付月数が12ヵ月以上の場合
納付期間が12ヵ月以上になると、解約返戻金が発生するため、個人事業主と法人それぞれで適切な処理が必要になります。
- 個人事業主は、解約返戻金相当額を「雑収入」として計上します。
- 法人は、解約返戻金相当額を「保険積立金(資産)」として計上します。
- 解約返戻金相当額は、法人から個人へ支払います。
解約返戻金が100万円の場合の具体的な仕訳を確認しましょう。
個人事業主の仕訳
借方 | 貸方 | ||
現金預金 | 100万円 | 雑収入 | 100万円 |
法人の仕訳
借方 | 貸方 | ||
保険積立金 | 100万円 | 現金預金 | 100万円 |
このように、納付月数によって仕訳の有無や処理内容が異なるため、適切な方法で対応しましょう。
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