T様用)フリーランス新法で、フリーランスへの支払日が、再委託30日ルールを適用すると、60日ルールよりも後になる場合の対応は?

問題の所在

以下の事例:

・デザイナーで、フリーランスのT様。

・取引の構図は、D発注元-E委託者-Fフリーランス。

・令和6年末、E委託者の2社(P社(資本金 6000万円)とC社(資本金 1000万円))から、支払条件等の通知書とセットで再委託30日ルールを適用し、従来より1ヶ月後の支払予定日を通知された。

 

結論

P社については、下請法の役務提供の制限に該当するので、60日ルールの適用がマストになるので、下請法に違反になる。

(C社は下請法の制限外のため、フリーランス新法の再委託30日ルールの適用を拒否できない)

 

理由

以下は、以下の書籍に依っている:

まず、「再委託30日ルールでの支払日と60日ルールでの支払日の両方の支払日の前後関係」は、当然、前後することがあり得る。

60日ルールでの支払日が前に到来すれば、Fフリーランス的には従来通りである。

逆に「後」だと、E委託者的にはラッキーであるが、Fフリーランス的には60日以上後になる不具合が生じる。

この点に関し、解釈ガイドライン(★下のリンク先!「解釈ガイドライン「でググると、別のなんちゃらガイドラインに遷移するので注意!)のp22にも、以下の引用のように、

https://www.mhlw.go.jp/content/001259281.pdf

(以下、一部抜粋。太字は引用者追記)

(ア) 元委託支払期日から起算して三十日の期間内
「元委託支払期日から起算して三十日の期間内」とは、元委託者と
特定業務委託事業者が元委託業務について従前から定めていた元委託
支払期日から起算して30日の期間内をいう。元委託者が、特定業務
委託事業者に対し元委託支払期日として定めていた期日よりも早く元
委託業務の対価を支払った場合であっても、特定業務委託事業者から
特定受託事業者に対する再委託に係る報酬の支払期日が前倒しとなる
ものではない。
また、本法第4条第3項の趣旨は、特定業務委託事業者から特定受
託事業者に対する業務委託が再委託に該当する場合、一律に同条第1
項を適用することで特定業務委託事業者の資金繰り悪化や特定受託事
業者への発注控えが生ずることを防止する目的で、同条第1項の場合
に比べて支払期日の延期を可能とすることにある。そのため、「元委託
支払期日から起算して三十日の期間」が同条第1項に定める期間より
前に経過するとしても、特定業務委託事業者から特定受託事業者に対
する報酬の支払期日は同条第1項に定める期間内において定めれば足
りる。

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(注)

なお上の同条第1項=フリーランス新法第4条第1項は以下で、60日ルールを指す:

① 給付を受領した日から起算して60日(給付を受領した日を算入)の期間内において、かつ、できる限り短い期間内

つまり、解釈上、上の「後」場合であっても、本来はフリーランス保護の観点が、60日ルールが優先されるようにE委託者が定めるべきと述べている、、、、が、上述の本によれば、現行のフリーランス新法の第四条の規定を弁護士的に文言解釈すると、そうは読めないそう。

つまり、再委託30日ルールを優先適用することを止めることはできないとのこと!

他方、派遣法の従来からの定めは、

・役務提供の制限に該当する場合、

・E委託者が資本金が5000万円以下(1000万円超)の場合、かつFフリーランスが資本金1000万円以下(通常そう)の場合には、60日ルールの適用がマスト、

だそうである。

以下の解説が参考になる:

下請法の対象取引は?親事業者・下請事業者の定義や禁止事項を解説

https://www.freee.co.jp/kb/kb-deals/subject-to-the-subcontract-acts/#content3-2

(以下、一部抜粋)

②取引内容が「情報成果物作成委託・役務提供委託」の場合

取引内容が「情報成果物作成委託」「役務提供委託」のいずれかである場合も、親事業者と下請事業者の資本金区分によって2つのパターンに分けられます。

情報成果物作成委託・役務提供委託
●●

取引内容によって、下請法の適用となる資本金区分は異なります。そのため、自社の取引について調べる際は取引内容だけでなく、資本金区分がどのパターンに当てはまるかも忘れずにチェックしましょう。

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ここで、いわゆる下位法令パブコメの4-3に、下請法に違反する場合には下請法が適用されるべきの旨がある。

https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2024/may/02_fl_opinionandthinking.pdf

(以下、一部抜粋)

本法と下請法のいずれにも違反する行為については、
原則として本法を優先的に適用しますが、具体的には
個別の事例ごとに判断します。
なお、執行ガイドライン3の記載は、本法と下請法のい
ずれにも違反する行為について記載したものであり、
御指摘のような下請法のみに違反する行為について
は、下請法が適用されます。

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ゆえに、令和6年末、E委託者の2社のうち、P社(資本金6000万円)だけは、(フリーランス新法ではなく)派遣法の規定のいわゆる60日ルールが適用になるので、再委託30日ルールに変更することは、派遣法に抵触することになる。

 

補足

上の、下請法に従わない場合の扱いは以下:

下請法の支払期日とは?問題となるのはどのような場合?具体例とともに解説

https://www.freee.co.jp/kb/kb-trend/subcontrac-act-payment-due-date/#content4

(以下、一部抜粋)

支払期日を決める

発注した物品や役務を受領した日から起算して60日以内の範囲で、親事業者は下請代金の支払期日を定めなければなりません。

支払期日を定めなかった場合は「物品や役務を実際に受領した日」、60日を超えて定めた場合は「60日を経過した日の前日」が支払期日となるので注意しましょう。

【関連記事】
下請法の支払期日とは?問題となるのはどのような場合?具体例とともに解説

遅延利息を支払う

親事業者が支払期日までに下請代金を支払わなかった場合、年14.6%の遅延利息を支払わなければなりません。

遅延利息は、「受領日から起算して60日を経過した日」から、支払いが行われる日までの遅延日数に応じて発生します。なお、当事者間で別途年約定利率を定めている場合も年14.6%が優先して適用されます。

下請法の禁止事項

親事業者が以下にある禁止事項を行って下請法に違反した場合、下請代金から減額していた金額や遅延利息などを速やかに支払わなくてはなりません。

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なお、P社からは、支払明細書の前に、今般のフリーランス新法に対応した「ご案内」が来ており、

そこでは、

尚、弊社の⽀払期⽇に関しては、毎⽉ 10 ⽇ご請求書必着にて翌⽉末振込とさせて頂いて
おりますのでご協⼒の程宜しくお願い申し上げます。

とあるので、一見、従来の下請法を遵守するよーな文言にはなっているのが、謎、、、、、(*^^*)