当社が3月決算の場合、投資先である投資事業有限責任組合が2月決算ならば、その決算報告が令和6年5月に到着しようが、当社の令和6年3月期で取り込まないといけないって?

問題の所在

以下の事例:

・当社は3月決算である。

・国内の投資事業有限責任組合に投資している。計算期間のエンドは2月28日で、そのエンドの3ヶ月後の5月20日前後に当社へBSとPLが郵送到着するため、当社は毎年、その5月中の日付でPLの当期利益を受取配当金a/cで計上してきた。

(直近では、2024年(=令和6年)5月20日に計算書が到着し、令和6年5月31日付(=令和7年3月期)で当期損失264,122円を受取配当金マイナスで計上済)

・この点に関し、法人税等基本通達14-1-1の2のただし書きを字句通りに読むと、令和6年3月期に計上しないといけないと読める。つまり当社の従来の処理は1年遅れになると読める。。。

・しかし当社では令和6年3月31日には案内書が未着のため物理的に計上ができないため、通達どおりに処理できない。

→ 当該通達の読み方を間違えているのか? 従来の処理が間違えているのか?

 

結論

当該通達の読み方は合っている。従来の処理が間違えている。

ゆえに、以下のいずれかの方法に変更することになる:

① 令和6年5月に当社へ通知予定分について、令和6年3月期の決算に間に合うよう、事前に問い合わせ、先行して損益情報を入手して計上するか、

② 令和6年3月期の決算には計上せず、
(上場企業なので申告書も5月上旬で確定しているため、確定申告で申告加算もできず)その後で申告加算して修正申告をし、
翌年の令和7年3月期の確定申告で洗替処理をする、それを今後、毎年、励行するか、、、(おーめんどくさ ( *´艸`)

 

理由

・まず、法人税等基本通達14-1-1の2の読み方は以下の通り。なおこの事例の事情を【】朱字書きで付記:

法人が組合員となっている組合事業に係る利益金額又は損失金額のうち分配割合に応じて利益の分配を受けるべき金額又は損失の負担をすべき金額(以下14-1-2までにおいて「帰属損益額」という。)は、たとえ現実に利益の分配を受け又は損失の負担をしていない場合であっても、当該法人の各事業年度の期間【令和5年4月1日から令和6年3月31日まで】に対応する組合事業に係る個々の損益【▲264,122円】を計算して当該法人の当該事業年度【令和6年3月期】の益金の額又は損金の額に算入する。

ただし、当該組合事業に係る損益を毎年1回以上一定の時期において計算し、かつ、当該法人への個々の損益の帰属が当該損益発生後1年以内である場合には、帰属損益額は、当該組合事業の計算期間【令和5年3月1日から令和6年2月29日まで】を基として計算し、当該計算期間の終了の日【令和6年2月29日】の属する当該法人の事業年度【令和5年4月1日から令和6年3月31日まで=令和6年3月期】の益金の額又は損金の額に算入するものとする。

つまり、

・そもそもがいわゆるパススルー課税なのだから、会計帳簿上、投資事業有限責任組合の側で損益を把握したタイミングと同一のタイミング(もう同日くらい)で当社も損益を認識すべし、

・ただし同日は酷なので、会計帳簿上、期ズレが生じない範囲で、数日、数ヶ月程度ズレるのは許容しますよ、でも期ズレまではダメですよ、

という趣旨。

 

補足

以上の処理誤りにもかかわらず、従来の税務調査でも指摘されなかったそうで、、、(以下、自粛)

 

なお当方の理解あやまりについては、、、、言い訳がましいが、、、、実は上の通達14-1-1の2の前に、外国税額控除の損金処理に関する通達(=法人税基本通達16-3-5)を検討しており、
そちらでは、処理の継続性を前提に、外国税を納付した時点での費用処理を認めているので、てっきりこちらの同14-1-1の2も弾力的な取り扱いを認めているものと思い込んでしまっていた。

・投資事業有限責任組合等の方は、パススルーなのだから、期ズレは生じないのがスタンスで、
・外国税の方は、上の投資事業有限責任組合等と異なり、絶対に期ズレが生じるのがスタンスで、
だから両通達の間で、このように扱いの弾力性の度合いが異なるのは必然かも。

PS

なお以上は、某J○○○Aの某相談室の相談員(国税OB)に照会しての回答によっています。

通達14-1-1の2の解説に加え、通達16-3-5との扱いの違いも即答でコメント頂きました。さすが! \(^o^)