投資先の米国の投資事業有限責任組合からの決算報告の前に先行して一部入金があった場合の会計処理と税務処理は?

問題の所在

以下の事例:

・当社では、みずほ信託銀行が組成したいわゆるプライベート・デット・ファンドで投資をしている。

★なおそもそも、プライベート・デット・ファンドの解説

https://www.tr.mufg.jp/houjin/jutaku/pdf/u201702_1.pdf

(以下、一部抜粋)

1. プライベート・デット・ファンドの概要
プライベート・デット・ファンドとは、専門性を備えたファンド運用者が、機関投資家や
個人富裕層から集めた資金で、企業のデットに投資を行い、得られた収益を分配することに
より、投資家に還元するものである。投資先企業の発掘は、金融機関やプライベート・エク
イティ・ファンド等との独自のネットワークを通じて行い、企業の財務体質や業績見通しの
蓋然性等を検証の上、運用者の定める水準を満たすと判断された場合に投資を行う。ファン
ドからは複数企業へ投資を行うが、運用者はリスク分散を勘案しながら、投資先企業の業種
や地域、規模等が過度に重複しないよう、選別的に投資を行う。それら投資先のデットから
の利息収入により、高いキャッシュ利回り(インカムゲイン)の獲得を目指す。企業のエクイ
ティに投資を行い、株式の値上がり益(キャピタルゲイン)の獲得を目指すプライベート・エ
クイティ・ファンドとは、この点において異なる。

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・当社の会計処理は、無限組合員から「組合財産分配通知書」が半年ごとに郵送されてくるが、これがわかりにくい。そこには、

「2)貴法人当期損益分配額 (例 88,930 USD)」

「3)①貴法人現金分配金額(外国税額控除前) (例 88,930 USD)
②貴法人外国税額控除         (例  9,318 USD)
③貴法人への送金額         (例 79,612 USD)」

とあって、わかりにくい (^o^)

会計的に考えると、米国の投資先の配当金額が確定した時点の、当社の事業年度に受取配当金を計上すべきだが、ちょっと考えても、米国の投資先が決算→投資事業有限責任組合が決算→その後配当決議し送金、となるので、2)と3)は期ズレは不可避。

ゆえに、法人税等基本通達14-1-1の2のただし書きで、(①年1回決算をしている、②決算後配当確定まで1年以内、の要件を満たす場合に)期ズレで計上してOK、とされている。

具体的には、受取配当金の計上は、上の通知書が到着した月に、 「2)貴法人当期損益分配額 (例 88,930 USD)」を円換算して計上するだけ。

投資事業有限責任組合はいわゆるパススルー課税であり、当社の持分相当の利益情報が送付されてくるので、その利益分を受取配当金a/cで計上するだけである。

これに関し、今回、通知書が到着前に、(投資先自身が保有する社債が高値で売却できたとかで、その売却益の当社持ち分相当割合を、いつもの配当の送金の前に送金してきた!

実は、同種の取引は過去にもあったようで、当時はそれはイレギュラーとして仮受金a/cで処理し、確定した配当金が送金されたときに取り崩してしたそう。

ただし、今回は金額が多額なので、仮受金処理が許容されるのか心配。

しかし上場会社なので、有報で、BSの流動負債で、で財規の10%基準で内容を開示されると面倒だし。。。。

では当該社債売却益を当期に益金計上「しないといけない?」

しかし上場会社なので、有報で、PLの営業外収益で、財規の10%基準で内容を開示されると面倒だし。。。。

 

結論

・過去のときと同様に、仮受金a/c。

・好運にも、毎年決算で未払賞与a/cが巨額に計上されるので、仮受金a/cは10%基準で埋没されるので、開示不要の蓋然性がある。

 

理由

以下の定番の解説書の、14-1-1の2の解説欄の(2)で、ここでの前提の考え方として、

「なお、組合事業から生じる利益等は、各組合員に直接帰属するものであるため、各組合員が現実の分配を受けているかどうかを問わない。」

と明記されているため、当該社債の売却益相当額の分配も問われないと考える。

 

 

補足

なお、当社は従来より税引前当期純利益を相当計上しているため、この社債の売却益の持ち分相当額を、冬期に敢えて先行的に益金(会計上、営業外収益)で計上することで、粉飾決算だのと言われるリスクはないが、、、、

じゃあ、この分に係る外国税額控除の金額はどうする云々、、、となるともう大変!